セイント・フランシスのレビュー・感想・評価
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まさに女性の映画
レストランで給仕として働いている平凡な30代の独身女性ブリジット。彼女が同性婚(女性同士)家庭で育てられている6歳の女の子フランシスのナニーとして働いたひと夏に起きたさまざまな出来事を綴った映画。
同性婚と偏見、女同士の夫婦間の嫉妬、セックスと避妊、中絶と宗教また男女間の負担の違い、中絶後の身体の変調、産後鬱、やたらに出てくる生理の話。ブリジットの母親の子育て時の話(育児ノイローゼ)等々。また、公園で授乳するマヤにクレームをつける白人女性とのやりとりは、所謂典型的な保守的常識的女性たちの考え方を表したものなのだろう。そして、ギターを習うフランシスを褒める時にギターの講師は、懐かしい女性だけのロックグループ、ランナウェイズのギタリスト、ジョーン・ジェットを引き合いに出す徹底ぶり。まさに女性の映画なのである。じゃあ、男にこの映画は関係ないのか?男の回りには妻、恋人、娘、憧れの人、都知事、文部科学大臣(関係ないか)、…会社にも学校にも女性はたくさんいるよね。男なら尚更女性について知り考えるべきなんじゃないですか?(因みに僕は男です)
20年の変貌。
女流監督シャロン・マグワイアが2001年に公開したコメディ「ブリジット・ジョーンズの日記」は、レニー・ゼルウィガーが、恋を求める32歳の独身女性を演じて、大ヒットした。
主人公は、イマイチ恋愛に不器用な、小太りなアラサー超えのプチブスなキャラクター設定。理想のイケメン&玉の輿へなかなか到達できないチグハグ、感情のスレ違い、間の悪さ、ゴージャス&ナイスバディ女性へのコンプレックス、など盛りだくさんの恋愛喜劇だった。当時はそれで、観客席は沸いていた。
20年後に、いみじくも『ブリジット』という同名で34歳の独身女性が主人公。彼女がナニーとして雇われる先は、黒人と白人のレズビアンカップルで、そこの黒人側の娘の子守り。白人側は子供を出産したばかりで、産後鬱に悩んでいる。一方ブリジットも行きずりの性交渉で妊娠し、中絶したばかりで体調はすぐれない。こちらのブリジットは20年前と違い、恋愛にこれっぽっちも憧れを持ってないようだ。それでも、温かみあるエンディングは(とりあえずの)ハッピーエンドなので、コメディと言って良いのだろう。
この20年の間に、ここまでアメリカの文化は変貌しているのだ、という驚き。2001年は平成なら10年以上経っている。それから考えれば、僕らにとっては、つい昨日のような「昭和」は、世の感覚では、遥か古代の歴史でしかないのだろう。
現代のいろいろな考えるべき要素が盛り込まれている
どう評価すべきか?
さりげなく現れた奇跡のような傑作だ。
予想を遥かに超えた傑作。すべての女性に観てほしいし、すべての大人の男性にはもっと観てほしい。ひと夏のナニーの仕事を得たフリーターの30代女性。対象の子供やその家族、ボーイフレンドらとの関わりの中、生理や経口中絶薬による中絶等の女性性をユーモラスにリアルに描く。
ボーイフレンドが、こういう場合によくあるクズとかではなく常識もあり優しい点や、ナニーをする相手家族がレズビアンカップルであったり、これまで「常識」と思っていたことを「思い込み」として払拭することで、更なる「ほんとう」が見えてくるのがとても面白く、奇跡のような作りだ。
中絶に対する彼女の気持ちや選択はこれまでの「女性へのお仕着せ」を脱ぎ捨てさせる。レズビアンカップルの葛藤や悩みが男女の夫婦とまったく同じなのも、子育てやパートナーとの問題に性別は実は関係ないのだと気付かされ面白い。かといってフェミニズム的啓蒙映画ではなくとても愉快で温かいのだ。
経血とか普通に出てくるけど、ところどころクスクス場内には笑いが起きるようなユーモラスな描き方。でもわたしは何ヶ所か、笑いが起きてる場面やシリアスな場面、いろんなシーンでけっこうな涙が出たわ。なんか隠して我慢してたところを掬い上げられた感じ。でもほんと「男女みんなの」映画だと思う。
幸せの形は自分が決めればいい
男で性的にはストレートである自分にとって、共感できるポイントは少ないにもかかわらず、なぜか自分も救われた気がする。
夏休み中の6歳児とナニーの日常を中心にストーリーは進んでいく。大きな事件が起こるわけでもなく、燃え上がるような恋があるわけでもない。それでも、スクリーンに観客を惹きつける力がすごい。
リー・オサリヴァンが素をさらすようブリジットを演じていることが伝わってくるし、演技をしているようには見えないほど、自然な表情を見せるフランシスを追いかけていると、あっという間に時間がすぎてしまう。
幸せの形というのは、周りが決めるものではなく、自分が決めればいい。フランシスの笑顔を見て、そう思った。
妙にいろいろなものを突っ込んだ結果、難易度が高くなりすぎ…。
今年251本目(合計527本目/今月(2022年8月度)27本目)。
30代女性と6歳の少女のひと夏を描くヒューマンドラマ。主人公を誰にとるかは難しいですが、ブリジットさんととるのが妥当でしょうね。
ブリジットさんは良い人で、たまたまうまく回らないがためになかなか良いことに恵まれない、「それだけ」なのだけど、さらにこの映画には「血」というものが多く登場します。「女性に特有の現象」です(一応ネタバレ回避)。この「血」の描写も結構出ますので(グロ映画ではない)、それにも何らかの意味があるのかな…というところです。
一方、この映画がそれらを超えてさらにわかりにくいのは、突然男女同権思想の話や黒人差別の話(出てくるのは看板だけ)、さらに「持続可能な社会」がどうだのという話まで出るかと思えば、今度は教会のシーンだったりと、映画のストーリーやここの紹介に反して出るものは結構多いです。
こういった事情もあって、主人公のブリジットさんはそんなに「悪物」でもないのに、ストーリーがあっちこっち飛ぶために、「結局、彼女誰だっけ?」となりかねない(余計なストーリーが多くてブリジットさんさえ忘れそうになる)点など、「妙に関係のないシーンが多くて混乱させる」パターンです。正直「オムニパス方式」だとか「2話連続放送」でもやってるのか??とすら思ったくらいです。
なお、「ナニー」という語(ここの特集にも出てきます)は立派な「とある職業」です。このことを知らないと映画でハマリが生じますが、これを書くとネタバレになります(ただ、一般的な日本の教育を受けていれば、「ナニーをやらない?」と呼ばれていった先で何をやっているかで「ナニー」がどういう職業かはある程度推測はできる)。
採点に関しては下記を考慮しました。
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(減点0.3) ブリジットさんは良い人で彼女こそ描かれるべきなのですが、他にLGBTがどうだの地球温暖化がどうだの持続可能がどうだのといった(多分、どこかから横やりが入って)話を入れまくった結果、あっちこっち話が飛んでわかりにくい点は確かに存在します。中には「どう考えても無理やりのセリフでしょ」みたいな「一応入れましたからね」みたいなセリフすら存在します。
ただ、他の方も書かれているように、ブリジットさんがそういう活動をしているシーンがいっさい存在しない以上、LGBTだの地球温暖化だの何だのというシーンは、横やりが入って無理に入れた結果理解が困難になっているのだろう(換言すれば、それで映画の製作費の一部を、それらを主張する方から寄付していただいているのだろう)と考えることができる現状では、減点幅としてはこの程度です。
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ほぼあらすじなのは、好きを説明したい「一心」の裏返し。。。
34歳、「何者でもない」自分に引っ掛かりがあるものの、日々をやり過ごすブリジット。
けして「自己肯定感」が低いわけではありませんが、時に他者からの目線や扱いが「否定」と感じてしまうことは否めません。
そんなブリジットが「ナニー(Nanny)」として雇われた家族との出会いと、自身にまつわる大きな出来事が彼女に「大切なもの」を気づかせ、そして得難い経験となる物語です。
何と言っても6歳の少女フランシスを演じるラモナ・エディス=ウィリアムズが素晴らしく、抜群に愛らしいです。
「ナニー初経験」のブリジットは当初、利発で絶妙に子憎たらしいことをするフランシスに巧く距離を縮められず、また自分のことで仕事に集中力を欠いて失敗をしたりします。
でも、実は子供から信頼される「隠れた才能」でもつブリジットは徐々にフランシス、そして親であるマヤ、アニーらとも本音で付き合える仲になっていくのです。
と、今回の映画評、ほぼ「あらすじ」になってしまって大変申し訳ありません。
正直、後半は落涙しそうになりながら観続けました。まぁ、おじさんの涙腺は少々バカになっていることもあり、単純に「評価に影響」するわけでもありませんが、少なくとも「今後もたまに観たくなるであろう1本」確定のこの作品となりそうです。
そもそもかく言う私が、自身を「何者でもない」と自認していることもあり、「優しさに浸りたいとき」にまた観たいですね。
何をすべきかは人それぞれ
レストランでサーバーの仕事をする34歳未婚彼氏なしの女性が自身を見つめる話。
大学を1年でやめて以来サーバーの仕事をしている女性が、将来を少し考え始めてシッターの仕事を探してみたら…とはじまって行くけれど、経済的にもスキル的にも何も持たないフリーターみたいなものですよね?
シッターの仕事に有りついてからも、まともに仕事をする気もなければ責任感もなしというクソっぷり。
タイトルとあらすじ紹介からフランシスちゃんが凄いのかと思ったら、可愛らしくはあるし、「いつもそうだね」は強烈だったけれど案外普通で、兎に角主人公のクソっぷりからの脱却というか成長というかとか、そんな彼女にだって良いところはあるし、誰かにとっては大切な存在なんだっていう良くあるお話しで、面白くはあったけれど、特段唸る様なものはなかったかな。
それにしても某団体の方針のせいで人種とか信仰とかLGBTQとか、何でもかんでも詰め込まなきゃいけないのはなんとかならんのかね…。
痛々しくもあり勇気ももらえる
子どもがとても可愛いく、周りをよく見て容赦なく本当のことを言ってしまうのがとても楽しくて、それだけでも見る価値ある!
冒頭のシーン、パーティのナンパシーンのところから、あるあるな感じで、痛々しい。
付き合ってしまった漢がまあ良いやつでそこが救われるところ、
ベビーシッターの雇い主であるカップルも、今時の、多様性の中で既成概念に囚われてなんだかわからなくなり拗れたりするんだけど、つねに、自己点検、必要。当事者サイドも、
そして外野、いわゆる世間様も。きちんと関わろうとすれば理解も、理解に近づくこともできる。
かっこいいシーン!!
世間様のつもりの親御さんだって、自分の子どもに見られてるわけなのだ。多様性を理解できない不自由と理不尽の再生産となるか、子ども世代には違う世界違う風景見せることができるか。
ギター教室の件なんかも笑えるし、笑えて泣けてみんなバカねでも幸せになりたいね、、という気持ちになる。男子も見るべきだと思うけど、女子は泣いたり笑ったり子でスッキリしたい時、ちょっとしたリセットが欲しい時、見たら良い作品。多様性、寛容であること、子どもの眼差し。
キュートなフラニー。
これって女性あるある映画?
給仕をしているブリジットは34の未婚女性。店で出会った彼氏の子を妊娠し中絶。その後、お金の為だったかな、レズカップルの子守の仕事をする事になった。ん?女同士なのに子供いるんだ?と思ったら、1人は出産間近。ん?父親いるのかな?って思っていたけど、触れられなかった。それから、ずっと子育てあるあるの連続。自分は男だし子育てもした事が無いのでこの映画の中で起こる事が本当に起こる事なのかどうかがさっぱり分からず、共感度は低かったな。何より6歳なのに1番大人っぽいセリフを喋り続けるフランシスが可愛かった。現代の子供がジョーンジェットに憧れるってのはちょっと無理あったかな。とりあえずブリジットは人として成長できたかもね。
ほんの少し心を解放すれば…。
みんなそれぞれ成長してる
冒頭しばらくの間、先日観た「わたしは最悪」のデジャヴかと思ったが、見進める内に別物だということに理解が至った。
フランシスを軸に、それを取り巻く大人たちがそれぞれ葛藤を抱えながらも理解しあおうとし、少しづつではあるが成長していく様を応援しているような感情で最後まで見守る、ハートフルな作品だった。
メインの登場人物が良き人揃いだと安心して観ていられる代表のような作品ですね。
それにしても、富める人間の傲慢さや、あんなに血が出ているのなら医者行きなさいよ!と感じるのは、国が違うからなのだろうか、共感できない部分だった。
『カモン カモン』+LGBT+ポリコレ かな?
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