「もっともっと見ていたかった…」さかなのこ 百万両さんの映画レビュー(感想・評価)
もっともっと見ていたかった…
個人的には沖田修一さんの最高傑作と思います。
内容的には横道世之介の進化系。と言っても全く新しいんだけど、一本通った魅力的主人公が、世知辛い世の中で生きる周りの人たちを癒やし、そしてハッとさせていく、その展開には監督の信念を感じました。
ギョギョおじさんはパラレルワールドから来た未来のミー坊であり、はたまた苦難の逆境下を乗り越えてきた先輩世代の代表でもあるのかな?、、、
「大人になれよ」と言われて我々が次第に失ってきたモノをミー坊は失わずに全うしている。そのマバユイばかりのキラメキに、総長やカミソリ籾のみならず、見ている我々はその欠けがえの無さをジンワリと思い知る…。
「気がついたらここにいました!!」
おんなじ天真爛漫猪突猛進でも、ガキンチョから逃げ回られるギョギョおじさんと追いかけ回されるミー坊、時代の違いで結果に大きな違いが出るのよね…。
それにしてもミー坊に引き込まれていく柳楽優弥、夏帆、磯村勇斗、岡山天音他他他の「調子狂っちゃう」ぶりと深い愛情の表現が改めて素晴らしい!
特に柳楽優弥とのレストランのシーン、「普通って何?」って夏帆にあえて問い返すシーンはスゴイ。
そしてそれらが凝縮され炸裂するのがエンディング前のTV出演シーン。
この大団円には、もう堪えられない…、
とにかく圧倒的な読後感。
こういう人が淘汰されず、力を存分に発揮できる社会、
もしかすると日本再生の鍵もこんな所にあるのかもね、
ノンは完全復活、というか紆余曲折があったからこそ、今訴えかけるものがある。これからに大いに期待したい!
そして沖田作品いつものことだけど隅々まで素晴らしい役者が力一杯(力ぬけぬけ?)に圧巻の演技を披露している。(シソンヌ長谷川、いい仕事!)
140分という「実に短い」時間、もっともっと見ていたかった映画。