「想像以上にめちゃめちゃ変な映画。けれど不思議な感動が押し寄せてくる大傑作。」さかなのこ 最凶線さんの映画レビュー(感想・評価)
想像以上にめちゃめちゃ変な映画。けれど不思議な感動が押し寄せてくる大傑作。
観る前から全く想像もつかないようなめちゃめちゃ変な映画でした。
まず幼少期のミー坊が家族で海水浴に行くシーン。
体に巨大タコを巻きつけたミー坊が海から出てくるとこで、あまりにも意表を突かれ過ぎて思わず声が出ちゃいました笑
しかもその巨大タコを飼おうとしているミー坊の前で、タコの頭を引き千切りコンクリートにタコの脚を叩きつける父親。
予想外の展開すぎてこれは一体何を見せられてるんだろうって感じで開いた口が塞がりませんでした笑
他にも、高校生になったミー坊が不良に絡まれながら行うイカの捕獲大作戦、日本初のカブトガニの孵化の成功など、全く予想外の展開がこれでもかとばかり繰り広げられる。
ただ単に変なだけな映画じゃなくて、ちゃんと不思議な感動を感じさせてくれる本格的な人間ドラマにもなっている。
まず井川遥演じるミー坊の母親が素晴らしい。
子どものことを全面的に信頼して、子どもの興味のあることを最大限応援する。
「勉強が出来る子がいれば、勉強が出来ない子がいてもいい。ミー坊は魚を好きでいてくれたらそれでいい」って何の迷いもなく言い切るシーンは感極まりそうになってしまいました。
これはなかなか出来ることじゃないし、全国の教育者は是非見習ってほしい姿勢だと思いました。
あとはミー坊の幼なじみ役の柳楽優弥も素晴らしかった。
ミー坊の夢を馬鹿にするような最低な恋人よりも、ミー坊との友情を選んだ彼に拍手を送りたくなりました。
好きって気持ちを貫くのは本当に難しい。
もちろん好きって気持ちだけで全てが上手くいくほど世の中は甘くはない。
映画のなかのミー坊も、理想を抱いて就職した水族館では現実とのギャップに苦しんだり、せっかく来た水槽のプロデュースの仕事も上手くいかなったり、好きな気持ちだけではどうにもならない大きな壁にぶつかったりしている。
けれど、どんなに周りからバカにされようとも壁にぶつかろうとも、純粋に自分の好きな気持ちを持ち続けていれば、いつかどこかで自分の好きが形になる瞬間がきっと来るかもしれない。
そんな素敵なメッセージを伝えてくれる素晴らしい作品でした。