「主人公を触媒としたおおらかな群像劇」さかなのこ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公を触媒としたおおらかな群像劇
沖田修一監督作の中では、大傑作『横道世之介』の系譜の作品。というのも、のん演じる主人公を描く物語というだけでなく、その主人公と出会った人たちの心に広がるさざなみを描くことで、それぞれの人生を点描する群像劇になっているのだ。
そして他人の人生の触媒としての主人公を演じるのに、のんほどの適役もいるまい。演技力はもちろんだが、性別はもはや関係ない抽象的な存在としての妙な説得力が備わっているから。地に足はついているのに現実感がない。得難い持ち味を発揮したのんと、その魅力をみごとに掬い取った沖田監督に拍手。あと脇役にいたるまでみんないい。
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