「Irishman In London」シェイン 世界が愛する厄介者のうた ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)
Irishman In London
映画「バスキア」のオープニングで Fairytale Of New York が流れたとき僕はポーグス(シェイン・マガウアン)を初めて知った。聴いた瞬間に気に入ってすぐにCDを買った。そしてその美しいメロディとは裏腹にうらぶれた詞の世界にさらに魅了された。
そのポーグスが70,80年代前半にパンクバンドとして活躍していたこと。そしてパンクムーヴメントが去ったあと、彼(等)のルーツであるアイルランドの音楽を取り入れたパンクロック(アイリッシュパンク)を作り歌い人気を博したことをこの映画で知った。
シェインの10代20代のアナーキーでパンクな生きざまに僕は魅せられた(すいません、非常識で)。階級社会のイギリスにおいて下流に生まれ育った若者たちの歌い踊り熱狂する姿に、70年代に起きたパンクムーヴメントの根底にあるものが分かったような気がした。そしてシェインは30代になり人気ミュージシャンとなっても変わらない。顔自体がパンクでアナーキー(これ笑うとこ)。生きざまはまさにハチャメチャ。テレビでのインタビューでもやらかさないかとハラハラ(シェインのやらかしを期待するかのような煽り気味な司会者)。結局30代40代50代と相変わらずの酒浸り(アル中)、薬物漬けはそのまんま。今じゃ60にしてジャンキー。
彼の最大のヒット曲 Fairytale Of New York はシェイン憧れの地でもあるニューヨークに生きるアイリッシュの悲哀(なんてもんじゃない、堕ちてしまった人々を歌っている)を描いたもの。そして彼の音楽そして人生は大国イギリス、大都会ロンドンで生きていくアイリッシュの悲哀、生きざまそのものである。