劇場公開日 2022年6月18日

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「日本に希望などあるのだろうか」百年と希望 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日本に希望などあるのだろうか

2022年6月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 日本共産党のプロパガンダ映画だが、ちゃんとまともなドキュメンタリーになっている。その理由は長回しにあると思う。発言を切り取らずに前後の文脈も含めてひとつのシーンとすることで、発言者の人となりが見えてくる。ドキュメンタリーの王道の手法だ。
 最も多く映されているのは元衆院議員の池内さおりである。この人の主張はわかりやすくていい。主張以上にわかりやすいのが、国民から話を聞くという姿勢だ。従来の枠組みについての質問に従来の枠組みで答えるのは不合理であると、実にわかりやすい主張をする。
 彼女を応援しているのが、社会活動家の仁藤夢乃(にとうゆめの)で、TBSテレビのサンデーモーニングに出演しているのを何度か見たことがある。とても頭がよくて弁が立つ。ただ、既存の抵抗勢力を「おじさん」や「おじさんたち」と一括りに表現するところがあって、個人を救済しようとする彼女が他人を一括りにするのはよろしくない。石原慎太郎の「ババア」と同じである。

 個別の発言についてレビューすると共産党の応援みたいになってしまうのでここでは控えるが、総選挙のときの自民党の当時経産大臣の萩生田光一の選挙応援演説には、その低劣さに胸が悪くなった。こういう人間が当選するのが日本の選挙だ。本作品のタイトルは「百年と希望」だが、こんな日本に希望などあるのだろうか。

耶馬英彦