「日本発ハリウッド行き」ブレット・トレイン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
日本発ハリウッド行き
多くの作品が映画化されている伊坂幸太郎。
原作小説は読んだ事ないが、好きな映画化作品は多い。『アヒルと鴨のコインロッカー』『重力ピエロ』『ゴールデンスランバー』『ポテチ』『アイネクライネナハトムジーク』…。
その人気は遂にハリウッドへ!
原作の『マリアビートル』は『グラスホッパー』の続編らしいが(“殺し屋シリーズ”だとか)、これはこれで見れる。
と言うか、いい意味でB級おバカ映画。
ハリウッド映画に於ける日本描写はヘンテコなものが多い。
昨今はリアルさを追求したものもあるが、ここに来て、振り出しに戻った…?
日本が舞台なのに日本じゃない感。ヤクザやカワイイポップカルチャーなどのステレオタイプ。薄汚い路地裏やギラギラネオンなどの“ブレラン症候群”。
今更…!?
…と、目くじら立てるのはちょっと待って。
リアルにやってこれだったら言葉も出ない。
だけど本作は、ヘンテコ前提。監督が好き勝手やった“クール・ジャパン”。
この確信犯的な感じは『キル・ビル』に似ている。そういや作風もタランティーノを彷彿。
リアルでシリアスだったらこの作品には合わない。ブッ飛んだクレイジーだからこそ、ハイテンションなストーリーや二癖も三癖もあるキャラが活きた。
東京発京都行きの高速列車。
ブリーフケースを盗むだけの簡単な仕事を引き受けた殺し屋の“レディバグ”。彼は世界一運の悪い殺し屋で…。
高所から突き落とされ意識不明の息子の復讐を誓う“ファーザー”木村。危惧する“長老”エルダー。復讐の相手、見た目は女学生の“プリンス”に返り討ちに遭い…。
裏社会の大物、“白い死神(ホワイト・デス)”の息子を中国マフィアから救い、身代金の入ったブリーフケース共々送り届ける殺し屋コンビの“みかん”と“レモン”。
主にこの3エピソードが交錯して展開。
ブリーフケースを奪って降りられたら良かったものの、悪運重なって降りるに降りられず…。
みかんとレモンもブリーフケースを奪われたのみならず、何者かに息子を殺され…。
強運のプリンス。
木村の復讐は…?
裏で糸引く白い死神。
因縁持つ長老。
また一人復讐誓う殺し屋が乗り込んできて、車内には別の殺し屋が“被り物”してて…。
“類は友を呼ぶ”ならぬレディバグの悪運が殺し屋を呼ぶ。
気付けば列車内には殺し屋がいっぱい。“殺し屋特急”の終着駅は…?
ブラピの絶妙な二枚目半ぶり。ドウモ、アリガト!
ジョーイ・キングの小悪魔っぷり。
キレまくってるアーロン・テイラー=ジョンソンと“トーマス比喩”のブライアン・タイラー・へイリーのやり取り。
何かと“運命”を語る真田広之の存在感と剣さばき。
クセ者と言ったら、この人。マイケル・シャノンも登場。
この豪華キャストに加え、これまた豪華なゲスト出演も。
ブラピがゲスト出演した『ザ・ロストシティ』からアノ二人。
『デッドプール2』の監督繋がりで、アノ売れっ子スター。
一度でいいからこんな豪華面子と乗り合わせてみたい…?
あっちで復讐が始まり、こっちでも復讐が始まり…。
あっちでトラブルが起きて、こっちでもトラブルが起きて…。
あっちで派生して、こっちにも飛び火して…。
下手したら支離滅裂遅延しそうな所を、何とか脱線せず、因果ある人間関係、キーとなる伏線(脱走した毒蛇など)やアイテム(ボトルウォーターなど)や小ネタ(各々の背景や“きかんしゃトーマス”)などで連結。
巧みでもあり強引でもある特急ストーリーを、過激なアクションと笑い、日本の楽曲も流れるノリノリの選曲センスで、途中下車ナシでブレーキも効かぬほど一気に見せる。
ツッコミ所は満載。“ホワイトウォッシング”との批判も。それらも分かるが、端から理屈抜きで楽しむべし。
それに、我が日本の作家の小説がハリウッドでメジャー大作として映画化された事は誇らしい。
これからも続け! 日本発ハリウッド行きの快速エンターテイメント。
こんな列車旅はいかがですか~?
命の保証は無いけど…。
タランティーノ大好きは監督だけかと思ったら伊坂幸太郎氏もそうなんですってね。
それなら原作との親和性は高かったと言えるんだなぁと納得です。
ブラピ&真田の2人が美味しいところをすべてもっていくのは仕方ないにしても、アーロン・テイラー・ジョンソンとブライアン・タイリー・ヘンリーがものすごく頑張っていたなぁ、と思いました^ ^
近大さん、コメントありがとうございます♪
福田雄一監督作品『ブレット・トレイン』!
出演:山田孝之、橋本環奈、ムロツヨシ、佐藤二朗、他。
………🤢🤮
…絶対観たくないっす…💦