「ドリフかな?」ブレット・トレイン SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
ドリフかな?
井坂幸太郎の作品は1つも読んでないので、原作との違いはわからない。
少なくとも原作はもっと面白いんだろう。
コメディアクション映画って感じだけど、コメディというよりはなんだかお笑いのコントを観ている感じだった。
演技が大仰なのも舞台劇観てる感覚になる。
日本が舞台ということもあり、非現実的な描写がより非現実的に思えてしまい…。高速列車に飛び乗ってガラスを素手で叩き割るってとこ以降は完全にリアリティ・ポイント崩壊した。駅員とか安全装置とかどうなってんだ。
最後、列車が衝突して京都の街に放り出されるところは、なんだか狭いスタジオに無理やりつくったセットって感じがありあり。ドリフのコントで最後はちゃめちゃで終わる感じに似てる。
日本が舞台なのに日本人のモブがほとんど出てこないのも奇妙。
外国から見た日本のイメージって、富士山、京都、ウォシュレット、礼儀正しい、そんなもんだってことは分かった。
まあ、非現実的な描写を気にしなければ、愉快で軽快で楽しい映画だと思う。タンジェリンとレモンの回想で殺した人数を数えながら殺していくシーンは楽しかった。あの二人組以外のキャラはどうも好きになれなかったなあ。
ストーリーは「運命」がテーマかなと思う。「運が悪い」主人公と、「運がいい」というプリンス、「運命」に対する哲学をもつ長老など…。テントウムシは幸運の虫というけれど、実は背中の7つの星は7つの悲しさを意味していて、みんなの分の悲しさを引き受けている、みたいな話は面白かった。
運の良い悪いはとらえ方次第で、運が悪いと思えることでも違う見方をすれば運が良いと解釈できる、という境地に達したあとの主人公とマリア・ビートルとのやりとりは面白かった。