劇場公開日 2023年9月1日

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「おそらく、監督自身が語っていたことだが、アップのカットを多用したこ...」スイート・マイホーム ST.Fさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0おそらく、監督自身が語っていたことだが、アップのカットを多用したこ...

2023年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

おそらく、監督自身が語っていたことだが、アップのカットを多用したことで、彼の意に反して平板な印象を与えることになった。モデルハウス、この日本家屋の撮影がまずい。建築基準法で地下室といっても納戸扱いというセリフは笑えた。地下室をきちんと撮影してしまっているので、奥行きや陰影がわかりすぎるのだ。リアルサイズの日本家屋の地下室(納戸)は、怖さの演出とは程遠く、狭さを映し出していることで原作の内容から外れていく。天井裏も、なぜか明るく撮影。子供の頃押し入れや天袋を覗き込んだ時の怖さを感じたことのある人は多いはず。暗さが底なしの深淵に感じられるところからくる恐れ。それは再現できずに映像が進行していく。空間のスケールって、個人の身体スケールや視覚的なスケール、イメージの中のスケールといくつか積層して把握され、その重なりの度合いやズレから、不思議さや恐れといった感情が表出するものだが、監督はそんなことはつゆ知らずといった感じ。全体の演出のぎこちなさが目立った作品だった。

ST.F