「当社比2.5倍くらい面白い」鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
当社比2.5倍くらい面白い
原作は全巻読破済み。アニメは見ていませんが、実写劇場版の一作目である前作は鑑賞済みです。前作もレビュー投稿済みです。金の掛かったコスプレショーだとボロクソに酷評し、私にしては珍しい☆1評価をした作品ですので、時間がありあまって2時間ドブに捨てたい不老不死の方にはオススメの映画です。
そんな私が本作を鑑賞した感想ですが、前作と比較したらだいぶ面白くなってます。あの前作と比べたらね。前作楽しめた方は今作も楽しめると思います。知らんけど。
相変わらずのコスプレ感や何でもかんでも台詞で説明してしまう脚本という悪いところはそのまま残ってはいましたが、私が前作で不満だったストーリーや、マスタングの炎のCGや、もっさりしたアクションシーンや、世界観に合わない明らかに日本っぽいロケーションなどは、幾分改善されていた気がします。
前作と比べると格段に面白くなっていたのは間違いないんですが、だからと言って人にオススメできるほどのクオリティではありませんでしたね。
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錬金術が存在する世界。最年少で国家錬金術師となったエドワード・エルリック(山田涼介)は、弟のアルフォンス(水石亜飛夢)と共に賢者の石を求めて旅をしていた。そんな中、国家錬金術師を狙った連続殺人が発生する。全ての国家錬金術師に注意喚起がされていた最中、エドワードの前に、国家錬金術師殺しの犯人であるスカー(新田真剣佑)が現れる。
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本作の美点は原作に忠実なところであり、本作の汚点は原作に忠実過ぎるところである。
前作のように余計なオリジナルストーリーを盛り込もうとしなかったおかげで原作の面白さがしっかり残っていた気がしますが、原作の台詞をそのまま登場人物に言わせたりしたせいで何となく違和感がありますし、後述しますが原作のストーリーを詰め込もうとし過ぎるあまり、随分急いだストーリー構成になっていると感じました。
本作は、国家錬金術師殺しの男・スカーを中心に添えた物語となっています。
スカーは、かつて行われたアメストリスによる大量虐殺「イシュヴァール殲滅戦」の生き残りであり、兄の研究成果でもある全てのものを破壊する右腕を持つ男。そして、戦場で人命救助にあたっていたウィンリィの両親を殺害した人物です。原作においても物語のキーを握る重要人物で、序盤から終盤にかけて何度も登場するキャラクターです。
本作はそのスカーの登場シーンを2時間にギュッとまとめたような内容になっています。、彼の登場シーンを繋げるには、当然ストーリーをかなり進めないといけません。限られた尺の中でストーリーを進めるために、原作のかなりの部分が飛ばされています。例えばホムンクルスのグリードはまるで存在しないかのようにカットされていますね。私の一番のお気に入りキャラクターなので登場しないのが不満ですし、ストーリーの後半でかなり重要な役割を果たすキャラクターなので、三部構成の二作目までグリード不在で、ここからどうやってストーリーを進めるつもりなのかと疑問が湧きます。その疑問を解決するために三作目を観たいかと聞かれれば微妙です。
私は原作ファン故に若干評価が低めになってしまっていますが、決してつまらない映画とは思いません。他の方のレビューを見て驚いたんですが、原作ファンからの評価が非常に低く、原作未読の初見の方の評価が比較的高い傾向があります。他の漫画原作映画とは逆の傾向なので、そういう意味では珍しい作品だと感じました。