「あーん!スタ様が死んだ! つーかもうヤル気がないなら辞めてしまえッッ!!」エクスペンダブルズ ニューブラッド たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
あーん!スタ様が死んだ! つーかもうヤル気がないなら辞めてしまえッッ!!
消耗品の傭兵軍団「エクスペンダブルズ」の活躍を描く『エクスペンダブルズ』シリーズの第4作。
核兵器により第三次世界大戦の火蓋を切ろうと目論む謎のテロリスト「オセロット」の野望を砕くため、バーニーとクリスマスが率いるエクスペンダブルズはリビアに向かうのだが…。
○キャスト
リー・クリスマス…ジェイソン・ステイサム(兼製作)。
バーニー・ロス…シルヴェスター・スタローン。
バーニーとは古い知り合いであるCIA職員、マーシュを演じるのは『オーシャンズ』シリーズや『運び屋』の、名優アンディ・ガルシア。
クリスマスの恋人、ジーナを演じるのは『トランスフォーマー』シリーズや『ミュータント・タートルズ』シリーズのミーガン・フォックス。
『エクスペンダブルズ』シリーズ、約10年ぶりとなる新作。主人公バーニーを演じるスタローンは本シリーズの製作にも深く関わっており、第1作目は監督/脚本、第2作と第3作では脚本を務めているのだが、今作にはノータッチ。というのも、企画開発の段階でスタローンと製作サイドの間に意見の相違が生じてしまい、一時はスライがこのシリーズから完全に抜けてしまうという事態にまで発展したため。『クリード』シリーズ(2015〜)といい、最近のスライはこういうことをしがち。大丈夫なのかしら?
スライが裏方から抜けた代わりなのか、相棒のステイサムがプロデューサーに名を連ねており、今作の実質的な主人公も務めている。
そんな事情もあっての事だろう。今回のスライのヤル気のなさは尋常ではない。最初と最後にだけ登場し、一応は花を持たせてもらってはいるものの、やる事といえば虚な目でノソノソしながらボソボソ喋っているくらいのもの。省エネ演技とかそういう次元ですらなく、『オーバー・ザ・トップ』(1987)で腕相撲チャンプを演じた男が今作では指相撲すら怠ける始末。もうやる気がないなら隠居してしまえッッ!💢
そんなダメになってしまったスライの穴を埋めるため、一人必死に汗をかく漢ステイサム。泥舟と化した『エクスペ』シリーズを延命するべく、裸一貫で虚しいアクションを繰り広げる彼の姿は、涙無くしては観られません😭よく頑張ったステイサム、もうゆっくり休んでくれ。
ステイサムの頑張りには感服するし、彼のスター性のおかげでなんとか観ていられる代物になっているのだが、チームものとしての面白さは完全に崩壊。シュワちゃんやジェット・リー、テリー・クルーズ、アントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプスといったスターたちは皆抜け、『3』で大量投入された若手も誰一人として登場しない。残ったのはドルフ・ラングレンとランディ・クートゥアのみというなんとも悲しい事になってしまった。
代わりにチームに加わったのはミーガン・フォックスや50セント、トニー・ジャーといった面々。あれ?50セントって前も出てなかったっけ?とか思ったけど、そういやあれは『大脱出』(2013)だったわ。トニー・ジャーも前からいたよね?とか思ったけど、そういやあれは『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)だったわ。あーもう何が何やら…。
まぁ新生エクスペもそこそこのスターが揃っているのだが、過去シリーズと比べるともう完全に開店休業状態。残念ながらというか何というか、全員が勢揃いしてGメン歩きをされたところで1mmもワクワクしない。完全にステイサムとその他の人たちになってしまっている。
敵側の配役も微妙。イコ・ウワイスとアンディ・ガルシアという、豪華なんだかチンケなんだかよくわからない2人が揃っているのだが、ほぼウワイス1人が頑張って実務をこなす。ガルシアのおっさんは何のためにいたのかよくわからん。
イコ・ウワイスのアクションのキレは確かに素晴らしいが、ステイサムとはスター性の釣り合いが取れていないため、この2人が戦ったところでワクワク感はない。これが中ボス戦だったのなら問題ないのだが、前述した通りアンディ・ガルシアはただの置物なので、実質はウワイスがラスボス。これまでのメインヴィランを演じていたのがヴァン・ダムとかメル・ギブソンだった事を考えると、ちょっとこれにはがっかりしざるを得ない。ウワイスが名アクション俳優である事に異論はないが、やはり適材適所というものがあるのだ。
ストーリーに関しては何が何やら全く分かりません。マジで超難解。『インターステラー』(2014)の100倍難しい。何でスタローンが死を偽装しなければならなかったのか誰かに教えて欲しい。
あまりのつまらなさ…もとい難解さに、途中から完全に興味を失ってしまい「足の小指だけを動かせるか?」というプチチャレンジに意識を集中してしまった。このチャレンジの方が本作の100倍はスリリングである。
1億ドルという大予算を投入して製作された本作だが、興行収入はその半分ぽっち。これ以上ないほどに大爆死してしまった。興行成績的にも映画の質的にも、これ以上ないほどに惨憺たる有様。これでこのシリーズも、巨大タンカーもろとも海の藻屑と化したとみて良いだろう。
ただ、ステイサムが警備のバイトをする件はかなり面白かったので、今後はステイサムがムカつくインフルエンサーたちをただただボコボコにしていくという世直しエンタメ映画としてシリーズの舵を切り直せば良いんじゃないでしょうか。それなら全然観に行くぞ!
…にしても、ジャンボ・シュリンプさんはあんな目に遭わされるほど悪い事したんすかね?指輪を奪ったのは賭けに勝ったからだし、これ完全にバーニーの逆恨みじゃない?燃やされるのがあのクソインフルエンサーなら観客の誰もが納得しただろうが…。うーん…。
※本作で最も印象に残ったのは、リビアの将軍の息子が人質に取られてしまうシーン。ここでの息子役の男の子の演技がまぁ酷く、全く怯えているようにも怖がっているようにも見えない。ここを観ただけで「あっ…この映画ダメだ…」とわかってしまう、最高の迷シーンなのであります😅
このところ、スライの考えることとハリウッドのスタジオが求めるエンターテイメントにはかなりの差が生じているようです。
でも、スタローンが権利を持つキャラクターに頼らざるを得ない情けないハリウッドなのです…。
孤高であれ、スタローン‼️
共感ありがとうございます。
そろそろ潮時ですかね・・と思っていたらランボートリロジーの予告篇で「エクスペンダブル・・」の台詞が。まだやる気なんですか?! まぁ完結篇と銘打っても誰も信じないシリーズですが。