「消耗(パワーダウン)軍団」エクスペンダブルズ ニューブラッド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
消耗(パワーダウン)軍団
シルヴェスター・スタローンの招集で新旧アクションスターが集結した人気アクションシリーズ。
シリーズ毎に面子が“アベンジャーズ級”になっていき、4度目となる出陣の面子は…
スタローン!
ステイサム!
レギュラーのドルフ・ラングレン。
ランディ・クートゥア。
新たに、カーティス・“50セント”・ジャクソン…。
ミーガン・フォックス…。
司令塔にアンディ・ガルシア、旧友にトニー・ジャー、敵にイコ・ウワイスも配しているが…、
何か今回、地味じゃね…?
地味なのは面子だけじゃなかった。
バーニーのかつての仲間が殺された因縁の敵“オセロット”が国際的テロリストのラフマトと組み、核爆弾を所有しているとの情報が。第三次世界大戦にもなりかねない。
バーニーは相棒のリー、新旧仲間と共に奪還作戦に挑むが…。
冒頭の奪還作戦を皮切りに、今回もアクションをたっぷり。核絡みの危険ミッション。
迫力や見せ場や危機設定も設けられているが…、見るからに前3作よりスケールダウン。
予算も削減されたのか、クライマックスバトルは貨物船内のみ。
ビジュアル的にも単調なアクションが続く。CGも粗い。
何故かちょいちょいグロ描写。
新監督(『ネイビーシールズ』『ニード・フォー・スピード』のスコット・ウォー)のセンスや嗜好が今一つ…。
これまで監督や脚本も兼任してきたスタローンは今回ノータッチ。
一旦手を離れたらここまでB級に落ちるのか…。豪華面子も集まらないのか…。スタローンの手腕や人望を痛感。
そんなバーニーが…。
作戦は失敗。バーニーは死亡。炎上墜落した輸送機内で丸焦げ…!
仲間はバーニーを追悼。リーはショックを隠せない。
が、いつまでも悲しんでいちゃあ俺たち“エクスペンダブルズ”じゃない。弔い合戦じゃあ~!
スタローンからバトンタッチ。いよいよステイサムがアクション野郎どもを率いるのかと思いきや…
作戦失敗と命令無視により、“ゴッドファーザー”からお払い箱にされる。
新たなリーダーはまさかのミーガン・フォックス。ちなみにCIAエージェントでリーの元恋人役。
ミーガン・フォックスを先頭に、“ニュー・エクスペンダブルズ”結成!
しかしそれが、何処ぞのB級アクション…?
ミーガン・フォックスなんてケバいメイクとセクシースタイル強調の格好で、一人だけランナウェイに行く感じ。完全なる場違い。こりゃラジー賞も妥当だわ。
ラフマトの貨物船に潜入するも、あっさり捕まるし…。内通者が…?
一方のリーはSNSインフルエンサーのボディガードなど新たな職をするが、性に合わず。
やはり俺には命が幾つあっても足りない危険な仕事。運び屋とかスパイとか巨大サメと闘うとか。
そして、バーニーとの絆。
単身で動く。バーニーの凄腕旧友と組み、貨物船に乗り込む。
一応クライマックスは仲間と合流するが、ほとんどステイサム・アクション。
強いて言うなら、ステイサムが『マッハ!!!!!!!!』とバディを組んで『ザ・レイド』と闘うのが唯一の面白味。
実質ステイサムが主役なのだが、ポスターではスタローンがデカデカと…。
内通者は予想出来る。
何となくそう思ってたけど、死亡は主犯を炙り出す為の偽装。
減らず口を叩きながらもバディ復活はほっこりだが…。
ハリウッド映画定番の核への軽い扱い。核積んだ貨物船にヘリから集中砲火して海中に沈めて爆破させるって…。
う~ん…、何と言うか…。
初期メンバーにジェット・リー、後にアントニオ・バンデラスやウェズリー・スナイプスも参戦。強力助っ人にシュワちゃんやブルース・ウィリスやチャック・ノリスやハリソン・フォード。敵にヴァン・ダムやメル・ギブソン。
もうこんな豪華面子や旨味あったアクションに期待するのは無理なのかなぁ…。
ステイサムB級アクションとして見ればそれなりに。
『エクスペンダブルズ』としては…。
当初はレギュラーメンバーの続投、ピアース・ブロスナンの出演、クリント・イーストウッドやジャック・ニコルソンへの打診もあったらしいが…、ナシに終わり、それがシリーズの現状を物語る。
“消耗品軍団”が完全に“消耗(パワーダウン)”してしまった…。