「懐古厨が咽ぶシーンがなく、今更ながらの核兵器ネタには失笑してしまう」エクスペンダブルズ ニューブラッド Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
懐古厨が咽ぶシーンがなく、今更ながらの核兵器ネタには失笑してしまう
2024.1.7 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年のアメリカ映画(103分、R15+)
『エクスペンダブルズ』シリーズ4作目にしてクリスマスを主役に添えたスピンオフ
核兵器の危機に陥った世界を救うために、非合法部隊が暗躍する様子を描いたアクション映画
監督はスコット・ウォー
脚本はカート・ウィマー&タッド・ダッカード&マックス・アダムス
原題は『Expend4bles(The Rxpendables 4)』
物語は、リビアにて「核兵器のスイッチ」がスアルト・ラフマト(イコ・ウワイス)に強奪されるところが描かれて始まる
その頃、アメリカのニューオーリンズでは、痴話喧嘩に明け暮れるクリスマス(ジェイソン・ステイサム)とその恋人ジーナ(ミーガン・フォックス)の元に、エクスペンダブルズのリーダー・バーニー(シルベスター・スタローン)が訪れていた
バーニーは、酔った勢いの指相撲に負け、その代償として愛用の指輪を奪われていた
そして、その奪還の助っ人としてクリスマスを必要としていた
二人は場末のバーに出向き、そこで指輪の主ジャンボ・シュリンプ(マイク・モーラー)と対峙する
クリスマスは指相撲には興味がなく、力づくでシュリンプ一味を倒し、指輪を奪い返すことに成功した
その後、バーニーはCIAオペレーターのマーシュ(アンディ・ガルシア)に呼ばれ、クリスマスも「ある作戦」に参加することになった
それは、リビアの化学工場に潜伏しているラフマトを追うというもので、掲げられたミッションは「核兵器の起動を阻止する」というものだった
エクスペンダブルズには、バーニーとクリスマスの他に、現行メンバーのガンナ(ドルフ・ラングレン)、トール・ロード(ランディ・クートゥア)に加えて、新メンバーのガラン(ジェイコブ・スキピオ)、ラッシュ(レビ・トラン)、イージー・ディ(カーティス・ジャクソン)が作戦に参加することになった
バーニーの愛機にてリビアに到達した彼らは、工場に潜入しラスマトを追う
ラフマトは奇襲を予期していたかのように逃亡し、去り際にバービーの乗った飛行機を撃墜させてしまう
バービーは墜落死し、そしてミッションは失敗に終わってしまうのである
映画は、このあたりまで予告編でバラされている感じになっていて、本当にバーニーは死んだのかと観客の戸惑いを誘発しながら、「どこで生き返るのかな?」を期待させる内容になっていた
ほとんどジェイソン・ステイサムが主役の映画で、ステイサムと愉快な仲間たちという感じになっていた
元々はスピンオフの計画だったのに、シリーズに組み込んで続編扱いしているようで、これまでのテイストとは少し違う趣がある
前作までは「懐古厨が咽び泣く」というキャラが登場してきたが、今回に関しては「懐古厨」が咽ぶような瞬間は皆無だったりする
また、今更核兵器の強奪を設定し、ラスボスは味方の中にいたというシナリオを惜しげもなく展開するのだが、中東あたりを舞台にして核兵器で遊ぶのは時代遅れにしか思えない
ラスボスはそこまで意外な人物でもなく、あっさりやられるので、予定調和の無味無臭が好きな人ならアガるのかもしれません
いずれにせよ、前作までの記憶は失くしていても問題ない作品で、「ステイサムと愉快な仲間たちテイスト」が受け入れられるならOKだろう
映画としての見どころとしては、バーニーの旧友として登場する元エクスペンダブルズのデーシャ(トニー・ジャー)の格闘シーンぐらいなので、彼のナイフ捌きに2000円払えるかどうかという感じになっていた
ジーナの造形がほぼ生成AIで不気味の谷を感じさせる修正になっているのは、狙っているのか偶然なのかはわからないが、ぶっちゃけると「怖い」としか言いようがない
命令無視でクリスマスの代わりにリーダーになる彼女だが、この起用方法を考えると、マーシュにはある思想があると見て良いのだろう
本作のような、抜擢しておいて無能に描くというのが最近多いのだが、これこそ「失礼」というものではないのだろうか