ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grillのレビュー・感想・評価
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ライブハウスの配信映像のよう
映画というよりもライブハウスの配信映像を見ているかのような感覚、もちろん1959年にそんなものはない。
レディ・デイにとって最後のライブは良くも悪くもその人生の集大成になってしまった。
もしジャズか好き、音楽が好きなら高い金額を払って見ておく価値はあると思います。
具合が悪くなってレディ・デイが楽屋に一時的に引き上げた時に流行りの曲などと言ってピアニストはチャーリー・パーカーの曲、NOW'S THE TIMEをボーカルなしのトリオで演奏
カーネギーホールで演奏し、1955年にドラッグが原因で亡くなった黒人の曲をあえて演ったとしか思えない。当たり前だけどライブ会場でレディ・デイは生きている。
あのピアニストはある意味残忍だ。
薬物中毒、アルコール依存、黒人差別を背負ってレディ・デイは歌う
1959年7月に亡くなるビリー・ホリデイの最後のステージを再現(?)した映像。死の4か月前、フィラデルフィアの小さなクラブでビリーはグラス片手に10数曲を熱唱する。中には体調の異変によって声を詰まらせたり、酒のせいなのか歌詞を忘れたりで歌いきれない楽曲もある。
黒人差別の苦い(なんて簡単な言葉では言い表せない過酷で残酷な)思い出、自分を庇ってくれなかった母親への愚痴、奴隷だったひいおばあさんまで遡る悲しい生い立ち、ビリーに薬物を教えたクズ夫のこと、薬物で捕まり投獄された話、こうした残酷で悲しい思い出話を背景に「奇妙な果実」などの名曲を、クラブの客達は生で、そして我々はこの映像を通して聴かされるのだ。
これらの裏話によって「レディ・デイ(ビリー・ホリデイ)」に扮したオードラ・マクドナルドの一人語り、一人芝居、そしてジャズはさらに鬼気迫るものになる。
兎に角、また見たくなる。
映画としての次元を超えてしまったエンターテインメントだ。
どこからどこまでが演出なのか分からなくなる。
ブロードウェイの凄さで、僕の心が驚愕するくらいのエンターテインメント。
兎に角、凄くて、また見たくなる。
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