グッバイ・クルエル・ワールドのレビュー・感想・評価
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狂乱というよりも意外に閉塞感や悲哀を感じさせる一作
予告編からは、うたい文句の通りの”狂乱”ぶりが漂ってきて、否が応でも期待が高まりました。実際の物語は、確かに銃弾は激しく行き交い、バイオレンス描写も盛りだくさんであるものの、組織や年長者にいいように使われる若い二人(宮沢氷魚と玉城ティナ)の悲哀っぷりが際立っていて、予想していたよりもウェットな内容でした。薄暗い屋内での陰影を効かせた画面が続いた後、急に映し出される青空と海の美しい光景は、地べたに這いずるようにして現金と血、猜疑心にまみれていく登場人物達の虚しさを際立たせていて、印象的です。
斎藤工が本作の「狂乱」の側面を一挙に引き受けてしまっているため、彼の出番がないところの描写がおとなしめになってしまうのは仕方ないところなのかな。もう一人、西島秀俊演じる安西の元舎弟を演じた奥野瑛太の振る舞いや眼光もなかなかの狂いっぷりで、西島秀俊が絶賛するのも納得でした。
無謀な強盗計画を企んだギャング団達の顛末、ということで鑑賞前は『現金に身体を張れ』(1956)や『レザボア・ドッグス』(1992)みたいな内容なのかな、と思っていましたが、無謀ゆえの自滅っぷりという点では、『キリング・ゾーイ』(1993)や『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994)も連想しました。とにかく洋邦問わず、無数のバイオレンス映画を咀嚼して、一つの回答として提示した作品であることは間違いないでしょう。
バイオレンス描写は全体的に力か入っていて迫力も十分でしたが、ショットガンを乱射する場面では、あんなに撃つ方も撃たれる方も、何の反動もないものなのかな、と不思議に思いました。銃器に全然詳しくないので、これが正しい描写、と言われたらそれまでなんですが。
楽しみにしてたけど、自分には合わなかった感じ。
覚悟の足らない脚本(偉そうな言い方ですみません😫)
『楽園』とか『ひとよ』もそうでしたが、いわゆる〝世間〟を一括りに描き過ぎではないでしょうか。
地方の狭い人間関係の中ではありがち、ということ自体決め付けが過ぎると思います。地方に暮らす方々を舐めてませんか。
かと言って、日本社会が平均的に寛容で多様性や更生に対して成熟した対応ができているのか?と言えばかなりお寒い状況なのも事実です。
要は、村落や住宅圏の規模に関わらず、元異分子だって今ちゃんと努力している人を、排除するのではなく受け入れようではないか、という寛容な考えの人だっているし、本音はともかく、同調圧力だけで手のひら返しに加担するなんて、俺はできない❗️という人は少なからずいるはずです。
仕事だろうが、人間関係だろうが、〝複雑〟なものには調整するための労力や時間的なコストがかかります。物語を複雑にすることに対して、丁寧にテーマを掘り下げたり、伝える努力を惜しむというか覚悟の感じられない脚本になってしまってるような気がします。ラストの二人の出会いの安易さはかなりいただけないものでした。
『ブレットトレイン』などは、初見の人には分からないところまで(これはこれで別の意味で、覚悟がいる構成だと思います)、キチンと伏線を張り、しっかりと(決してとってつけた感じではなく)回収を図っているから分からないままでも面白いし、また見たくなる。そして二度目の鑑賞ではなお一層面白い‼️
この辺りの比較をするには、ちょうどいいタイミングなので、未見だけど確認なさりたいという方は是非‼️
9月に3週連続公開されるクライムアクション映画の第2弾。次回作に期待です。
9月初頭からクライムアクション映画が3週連続公開されます。
・ブレットトレイン(9/2 ブラピ)
・グッバイ・クルエル・ワールド(9/9 西島秀俊)
・ヘルドッグス(9/16 岡田准一)
ブレットトレインはハリウッドが描いた変な日本と言うことでおかしな脚本も大目に笑って見てましたが、日本で製作した作品でおかしな脚本はダメでしょう。後半部分は特に酷かった。
・最後2人はどうやって遭遇した?そもそも移動する前に手当だろ。
・〇〇と△△が殺戮しまくる理由は?
・銃の描写が雑すぎ。ついでに言えばガソリン撒いた描写も・・
・汚職警官は警察の捜査無視して勝手に動けるのか・・
等々 書き出したら両手両足使っても足りんかったのであとは省略。
ということで、第3弾のヘルドッグスに期待です
(原田監督が岡田准一組んだ作品は出来がイマイチなので不安ですが)
ホンモノの危ない人が出てる?
生き残りサバイバルやな
まさかの大嫌いな殺し合い。
西島秀俊演じる主役の安西が元ヤクザで、強盗をしているってのは知ってたんだけど、こんなに殺しまくりの映画だったとは!
たくさんいい役者が出てるのに、出てくる奴らは皆んな人殺しで殺しまくって自分も殺される。斎藤工君なんて、すぐ殺されちゃってビックリ。
大声出してぶん殴って撃ち殺す連続。途中で席を立ちたくなるくらい嫌いな展開だったので感想も何もあったもんじゃありません。
残念でした。
カメラが見つめる
似非韓国映画?
真面目ちゃん
ヤクザ映画、だーいすき。
西島秀俊、斎藤工に加えて、アウトレイジの三浦友和、初恋の大森南朋という最高メンツ。ちゃんとR15だし、雰囲気・音楽ともに予告からして最高級。んー、こんなの期待しないわけ無い。今月期待度ベスト2(1は来週公開)。
このレトロ感、人間臭さ、そして血しぶき。合格。
想像通りの上質ヤクザ映画。血とか暴言とか暴力とか、そんなのが飛び交うのに、なにこの上品さ。汚いのに綺麗。撮影・照明が素晴らしい。大森立嗣監督らしさもありながら、新境地。テンポが良くて非常に見やすい。なんだか、とても居心地が良かったです。
キャラクター設定が明確じゃないのが、やばい現場を目撃しちゃった!みたいに思えて、ストーリーへの興味が増す。が、ストーリーに見応えがないのが残念。なんか、濃いようで薄い。ただひたすらに奪って、殴って、殺しているだけ。グロ描写は結構好みだから、それでも飽きはしないのだけど、今までヤクザ映画で散々描かれていたことが盛り込まれているだけし、それもオマージュでしかなく、歴代に勝るものは無し。もっと、目新しいものが見れると思っていたが、見たことあるようなことばかり。するなら、もっと深く掘り下げて欲しかったしな。もっと狂っていて欲しかったし。
しかし、役者陣は最高品質。
他が強すぎるせいか、宮沢氷魚が弱く見えちゃう。汚職警察官の大森南朋、今の日本に不満を持つジジイの三浦友和、お金と暴力が大好きな取り立ての斎藤工。そして、普通の人生を送りたい主人公の西島秀俊。イケおじたまんねぇ!!改めて、自分ヤクザ映画好きだなぁと。玉城ティナの体当たりな演技にも衝撃を受けたし、配役がカンペキでしたね。
想像よりは面白くなかったけど、ヤクザ映画としての描写・演出は上手くて、そこそこ楽しめました。ラストはヤクザ映画らしくない爽快な締め方で、気持ちよく劇場を出ることが出来たし、満足とまではいかないけど、見てよかったなとは思えました。斎藤工&玉城ティナ好きは是非。
此処ではない何処かへ。{アメリカン・ニューシネマ}の系譜
先日、「NHK」の〔ファミリー・ヒストリー〕を見ていて、
『麿赤兒』⇒『大森立嗣』『大森南朋』の系譜を知り
かなり驚く。
なるほど、なので監督の作品には
この二人が度々出演しているのだなと納得すると共に、
そこそこ重要な役柄を割り振られるのが多いことも理解。
さすれば、本作とて同様、
『西島秀俊』『斎藤工』『玉城ティナ』『三浦友和』の四人が前面に出る告知にはなっているけど、
そこに『大森南朋』がどのように絡むのかが楽しみに。
本編はヤクザ組織がマネーロンダリングのための集積所に
ラブホテルを使っているとの情報を得た件の四人組(プラス一名)が強盗団を組織し
急襲する場面から始まる。
その手際は見事なもので、一人の怪我人も(味方にも相手にも)出さずコトを終え、
あっさりと引き上げ、大金を手にする。
しかしその後がイケない。
ドライバーとして使っていた『武藤(宮川大輔)』をないがしろにしたことが禍根を生み
綻びを見せ始める。
加えてヤクザ組織に、本職の刑事『蜂谷(大森南朋)』が雇われていたことも誤算の要素。
彼はソフトな人当たりを見せつつ、持ち前の情報網を生かし、
一人一人と犯人達を炙り出して行く。
本作に特徴的なのは、主役が次々と入れ替わって行くこと。
最初は先の四人組の内紛劇かと思っていたら、新たにペアの物語りが派生し、
最後は旧知の二人のドラマに収斂する。
しかし、全ての登場人物に通底するのは、
寄る辺ない身の上であることで、
それが事件の背景に潜むのは何とも痛ましい。
右代表として挙げられるのは、元ヤクザとの身の上の『安西(西島秀俊)』か。
足を洗い、真っ当な暮らしをおくろうとしていても、世間はそれを許さない。
イマイマの時代の縮図でもあるのだが。
{アメリカン・ニューシネマ}彷彿とさせるシーンが
其処彼処に偏在するのも見逃せない。
車といい、音楽といい、ややあざとさを感じさせるほどで、
わけても〔Bonnie and Clyde(1967年)〕を想起させるエピソードには
かなりニヤリとしてしまった。
題名の「cruel」は「残酷」等の意味だけど、
発音そのまま「狂った世界」と読んでも通じるのは、なんとも面白い。
まぁ自分的には〔101匹わんちゃん(1961年)〕の『Cruella De Vil』を
どうしても思い出してしまう(笑)。
西島秀俊と三浦友和は・・・イマイチ
お互いにどんな素性なのか知らない5人組の強盗組織(三浦友和、西島秀俊、斎藤工、宮川大輔、玉城ティナ)が、ラブホテルで行われていたヤクザの資金洗浄現場を襲い、1億円近い大金の強奪に成功した。強盗たちは下っ端の2人(宮川大輔と玉城ティナ)には数万円と借金チャラで済ませ、大金は残りの3人で山分けし、それぞれの日常に戻っていった。しかし、金を奪われたヤクザが現役の刑事(大森南朋)を金で雇い、警察組織を使って身元を調べ、5人を追い始めた。騙されて分け前をもらえなかった玉城ティナは斎藤工から殺されかけ、ヤクザ組織の情報を提供したラブホテルの従業員(宮沢氷魚)も殺される直前に救われ、ヤクザ組織と刑事に脅され斎藤工など喫茶店で大量殺人を実行した、元ヤクザの西島秀俊と元政治家秘書の三浦友和も狙うのだが、西島秀俊はやはり元ヤクザ(奥野瑛太)に付きまとわれ周りの人に元ヤクザだと吹聴し金をせびられた。
誰が生き残るのか、てな話。
強盗組織で金を分けた3人のうち斎藤工はそれなりに悪そうな演技をみせてくれたが、西島秀俊と三浦友和は全然ダメ。
全く怖さがない。この2人は善人役しか向いてないかも。
刑事役の大森南朋と宮川氷魚、玉城ティナ、鶴見辰吾、奥田瑛二はそれなりでそこそこ良かったかな。
西島秀俊を強請った身体中刺青の元ヤクザ・奥野瑛太は一番怖さが有って良かった。
西島秀俊の妻役の片岡礼子はさすがで悲壮感有って良かった。
ヤクザの目的だった奪われたお金の回収は出来たのか、出来なかったのか、ちょっと気になった。
普通に、まともに生きたかっただけ。
自己のみを肯定する犯罪者たち
無国籍な雰囲気を醸し出したい感じがしつつ、お金という蜜に蟻の様に群がる者たち。
それぞれが自己の理由を押し付け合う中には何も生まれない。
物語の中に善人は出なくても良いが自己の行いのみを肯定し、生きようとすることには違和感がありそれぞれが辿る結末にもモヤモヤが残る。
ヤクザからお金を奪い、奪ったままいままでの生活に戻れることが出来ること自体夢であるだろうことが、盗む者の中で誰も考えないなんてありえるのだろうか?
なのでその前提が崩れてる時点でこの物語には寄り添うことがどうしても出来なかった。
また若者たちがショットガンを放つのだが、ことごとく当たる。そんなことがあり得るのだろうか?なんか昔の勧善懲悪のヒーローの様に滑稽に映った。
日本ノワールの復権を
何かを入れ忘れた?
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