神は見返りを求めるのレビュー・感想・評価
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残念ながら自分は梅川
底辺YouTuberの優里が合コンで出会った何でもしてくれるおじさん田母神と共に動画製作を楽しくやるが、、という話。
人の承認欲求の満たした方はSNSなどでの目に見える数字による肯定か、誰かからの感謝。それが優里と田母神が体現するもの。そしてもう1人梅川は、他人を落とすことで 自分で自分を承認するタイプ。
私は3つとも全部自分の中にある。インスタで映画の投稿するのも結局はいいねかフォロワー欲しいからだし、人に優しくしたりプレゼント上げたりするのも感謝されたいからだし、そのどっちも見込めなさそうな時は人の事ケチつけて色々言い訳して自分を認めてみたりする。もし本当にこの3つ全く自分の中にない人はそれこそ"神様"だよ。。
でも、そういう承認欲求を完全に否定するでもないのが吉田恵輔監督。人を否定もするし肯定もする姿勢にいつもニヤニヤしちゃう。人が承認欲求から解放されるのは、現代の人の繋がりの象徴であるスマホが無くなった時。その時発する田母神のひとことに泣けてくる。
あとYouTuber描写がリアルで良かった。優里の再生回数がおそらくボディペイントメインで回ってるのとか、YouTuberの投稿動画一覧で再生回数を見てると再生回数が伸びてる動画とは違うことをやってたけど伸びてるからこれやってんだろうなって人結構いる。
優里が田母神の悪口を動画にするのは一見やりすぎに見えるけど、人の悪口を話すことも面白いコンテンツにしてるYouTuberも実際いる(態度の悪いタクシー運転手とかありえない異性の話とか)。そういうのってYouTuberの話を聞いているのが友達と話す感覚に似ていて面白いし、普通に友達とならこの程度の悪口は話してる。でもそれを全世界に公開するとなるとまた話は違うよな〜。
ホントに体当たりさせていた
いつもの映画館で
今日は仕事が休みで午前中の回を鑑賞
少し前にチラシを何気なく手にしたら
今いちばん好きな監督の最新作
あらすじを読んだだけであぁ嫌なところに触るなぁ
この監督の世界だなぁと
音楽ライターのレビューによると
ミュージシャンがメジャーになるときは
この手の話はあるあるだとか そうだろうなぁと
BLUEのいい人なんだけど弱いボクサーとか
空白の正義感丸出しの店員とかに通じる
主人公にはしづらいキャラクターにスポットを当てる
いやぁ面白かった ムロツヨシそのものの映画だった
微妙な設定の調整が利いていて そこまで嫌いにならない
あそこで終わらせてあげたかったなぁ
やっぱりこの監督はしつこくて意地悪い
まぁそこが好きで観ているのだけど
彼はヒメアノ~ルにも出ていて
これは続編といってもおかしくないくらいのトーンだった
主役になった そんなに好きな役者ではないが
頑張ってきた経験の集大成かなぁと
岸井ゆきのもいい
最初の空回りっぷりから成り上がっていく様がたまらない
ホントに体当たりさせていたのを今思い出した
彼女は偶然と想像に出ていたあの小悪魔だっけか
(それは古川琴音だった 似てないか)
若葉竜也は最近オラが観る映画にことごとく登場するなぁ
AmazonのCMも彼だよな なんか複雑そうなキャラクターの…
メインの二人の口からはっきり言わせているように
監督はこういう人種が大嫌いなのだろう
しかし彼女がブレークしたのは
奴が適当にツテを紹介したことから始まっており
労せずして付加価値を生み出すことができる人物だ
いわゆる生産性が高い人材
監督は奴をさほど酷い目に遭わせない
こういう奴を利用するんです と
折り合いをつけているメッセージと解釈
(それに比べてのムロへの仕打ちよ…)
初めの方のデカい竹とんぼを飛ばしたり
どうしようもないことを笑い合いながら
ふたりで撮影するシーン
なんともいえない切ない気分になった
その後の展開が想像できるから
このときが一番幸せなんだろうなぁと
(で やっぱりその後ぐちゃぐちゃ)
脇役も妙
BLUEのジムの会長とかアンダードッグのデリヘルの店長とか
男前のデザイナーもどこかで見たような…
映画終了後は
期日前投票に行って 出口調査に協力して
ドン・キホーテで第3ビール2本を買い
青天の下 駅前でグビと
その後は神田そばでざるそばとコロッケ
いい気分で帰途についた
いい休日だった
いい人は都合のいい人 神とは?
この映画の第一印象は『青くて痛くて脆い』を極限まで胸糞悪くした感じ。女の子の髪型が似ているのがまたこれ。
作中のYouTuberは派手な格好をして暴れ回り再生数を稼ぐためなら他人に迷惑をかけることなどお構いなし。監督はYouTuberに恨みでもあるのかと思うくらい登場人物みんなクズ。
でも多かれ少なかれこの要素を持った人はたくさんいるのではないか。
いい人は舐められやすい。「情けは人の為ならず」という言葉があるが恩を返してくれる人は少ない。優しくするのには人を選ぶ必要がある。
ここらへんは私自身の実体験もあり胸が苦しくなる。
かと言って田母神が神というのも少し引っかかる。
田母神の転落のきっかけはゆりちゃんではなく借金の連帯保証人になったこと。
ギャンブル狂の後輩にお金を貸し、借金の保証人になることは、本当に後輩の将来を思ってやったことなのだろうか。
お金を渡してもすぐにギャンブルに使ってしまうことは目に見えているし、借金返済どころか借金を増やしてしまい余計に彼の立場を苦しくしてしまうと予想できなかったのだろうか。
親でも兄弟でもない田母神ができることはお金を渡すことではなく、医療機関への受診を進めること。そうしていれば、可能性は低いと思うが彼が命を落とすことは回避できたのではないか。
田母神は頼られることで自らの自尊心を満たす。満たされ続けるためには問題は解決せずに頼られ続ける必要があるのであえて問題を解決しようとしない。
そして、この借金の連帯保証人というのも恐らく碌でもない高利貸しから借りているのだろうから弁護士に相談すれば何か他に方法があったのではないか。
ゆりちゃんには見返りがどうのこうの言わず、借金の連帯保証人になって苦しいことと、いくらかお金を融通してもらえないかと相談すれば良かったのではないか。
田母神がゆりちゃんに執着し感情的になることで余計に事態はややこしくなる。
前述した『青くて痛くて脆い』は大学生のお話で、若さ故の青さでまだ救いがあるが、こちらはいい年をした中年。比較にならないほど痛い。思わず目をそらしたくなる。
でも、それが人間らしい。人は理屈通りには動かない感情の生き物だから。
リアルなYouTuberを描けていたか?
(完全ネタバレなので必ず映画を見てから読んで下さい)
私的にはこの映画に出てくるトップYouTuberがリアルに描けているのかは疑問でした。
個人的な実際のトップYouTuberへの印象は、扱われている内容がくだらなくて軽薄で大金を湯水のごとく使う中身でも、内容やコメントに対する根底に流れる姿勢や心情はあくまで真摯で真剣だった印象です。
つまり、私が(底辺YouTuberは分かりませんが)実際のトップYoTuber達に感じていたリアリティは、大げさ軽薄無駄遣いの悪印象と、対象に真摯に向き合う好印象の、重層的な好悪混合の姿でした。
この(軽薄な内容でも)内容や視聴者への真摯な姿勢がないと、とても100万回以上の再生を毎回叩き出すことなど難しいのだな、との個人的な印象です。
吉田監督はYouTubeやYouTuberへの取材をしたとのことでしたが、私が彼らから受けていた重層的リアルをこの映画で描けているとは思えませんでした。
むしろ、よく知らない世間がステレオタイプ的に嫌悪して安心する描き方だったと思われます。
例えば最終盤で川合優里・ゆりちゃん(岸井ゆきのさん)は、トップYouTuberのチョレイ(吉村界人さん)とカビゴン(淡梨さん)とのYouTube撮影で実際に火だるまになり大やけどの重傷を負うのですが、この内容をチョレイとカビゴンは病院で撮影し配信?しています。
しかし同様の生死に関わる案件を配信した場合に、批判的な大炎上になるのはYouTubeでも同じです。
つまり、生死に関わる案件を(YouTube初期はいざ知らず)ここ数年でトップYouTuberが流すのはリアリティに欠けると思われるのです。
また、この映画でのトップYouTuber達が流す映像も映画でのセリフにも反してセンスがあるとは思えませんでした。
実際のトップYouTuber達は、その評価は別に、着ている服装も部屋の中のインテリアも、高級品をまとっていてバカみたいにリッチです。
もちろん、内容のくだらなさ軽薄さに対して背景のリッチさを皮肉るやり方ならあったとは思われます。
しかし映画の中のトップYouTuberのチョレイやカビゴン達は、単に貧乏くさいダサさとして描かれていたように感じました。
そのリアリティを無視してこの映画のような表現にしたのは、ひとえにYouTuberをステレオタイプ的にどこかで否定したい吉田監督の欲求があったのではと感じられました。
そのようにYouTuberを描いた方が、主人公の田母神尚樹(ムロツヨシさん)との対比で、田母神の価値観が分かり易く際立つことになると思われるからです。
これは、主人公の価値観を際立たせるために、逆側の人物をモノ的に扱ってしまっているこの映画の本質的な弱点から来ていると思われました。
例えば、Yurichan-channelの海岸砂浜でのYouTube撮影で、石を叩き落とし続けている話が通じなさそうなおかしな男が出て来ます。
主人公の田母神は、映像デザイナーの村上アレン(栁俊太郎さん)に、その石を叩き落とし続けている男をドローン撮影の画面に入らないように排除するように命じられます。
ところでこの石を叩き落とし続けている男はどうしてそこにいるのでしょうか?どうやってこの海岸までやって来たのでしょうか?
私にはこの男がそこにいる必然性が伝わらず、こういう男がそこにいたら面白いよね、とモノ的に配置されているように思われました。
とてもその男の人物背景が考えられそこに存在させているようには思えませんでした。
この人物をモノ的に配置して面白がるやり方は、表現として15年は古くてダサいとは私には思われました。
人物の背景を深く考えぬままモノ的に登場させている場面は、田母神がバスケットゴール近くで撮影している時にやって来る怒鳴り散らす男にも感じられました。
この映画には様々な人物が登場しますが、そのいずれも表層的に露悪的に描かれているように感じました。
つまり川合優里・ゆりちゃんだけでなく、主人公の田母神も、他のYouTuberも、その他の登場人物も、相手の背後の重層的な部分をしっかりと想像できていない描かれ方になっていると思われました。
それはラストにそうなるよな‥とは私には思われました。
この映画は他者への深い重層的理解のないまま、演出している側の固定された善悪の線引き(価値観)で人々を断罪している(あるいは嘲笑している)と思われました。
であるので、この映画を私は評価できないな‥とは残念ながら思われました。
川合優里・ゆりちゃんやYouTuberをもっとリアルに重層的に描いても、善悪をはっきり線引きせずグラデーションの中の価値観でも、十分、というか逆にもっと深く、田母神の悲劇は描けたと思われます。
なぜなら他者をどんなに想像し深く重層的に描いても、必然と偶然でのその人個人の底からの悲劇はどうしようもなくやって来てしまうと思われるからです。
私は自身と違う人間(他者)をモノ的に描いてはダメなのではないかと思われています。
話の筋は面白さはあったと思われます、ムロツヨシさんと岸井ゆきのさんの演技は素晴らしかったと思われます。
点数はそこも合わせた評価となりました。
(辛い評価で申し訳ありませんでした‥)
ムロツヨシ、岸井ゆきの、吉田恵輔監督オリジナル脚本による自称異色恋...
ムロツヨシ、岸井ゆきの、吉田恵輔監督オリジナル脚本による自称異色恋愛ドラマ。ムロツヨシの二面性のある演技がまず凄い。確かに神様みたいな優しいおじちゃんっているし、実際そういう人が切れたら一番怖いよねっていうあるあるをここまで濃縮したキャラクターは初めて見た。岸井ゆきの演じる優里ちゃんも底辺ユーチューバーをこれでもかという嫌味な役で演じていたし、成り上がっていくと人ってああなるよねっていうあるあるをこちらも濃縮した権化。
吉田恵輔監督は、人の嫌な部分を濃縮させてこれでもかと観客に見せつける性格がある(良い意味で)。主役2人以外にも若葉竜也演じる梅川が個人的には一番嫌だった。一番身近に感じて、何だったら出会ったことがあるかもくらいにリアルに最低野郎を演じていて最高だった。
最後に、監督はユーチューバーに何か恨みでもあるのか?笑
しんどい
ムロツヨシと岸井ゆきのだったから耐えられた
そうでなかったら最後まで観れなかった
だいぶ気分悪くなる
裏切り、ストーカー、暴行、自殺
人間、富名声を手に入れると豹変する
人間、余裕がなくなると豹変する
他人と比べたり、他人を求めたり、つかれちゃう
嫌な人ばかりでてくる
でも見返りを求めてしまう気持ち、わからないでもない
ご祝儀の内祝いみたいに見返り1/3出しますよーって決まりにしておいたらいいのかな
時と場合によるから難しいか
トラブルは避けたいものだ
メンタルが安定してるときに観てほしい
『ヒメアノ〜ル』誰も殺されないversion
誰も死なないヒメアノ〜ル と
キャッチコピーをつけてるつもりだったが
死んでた、、、ギャンブルデブ
YouTuber好きにはさらにリスペクトの念が増長され
YouTuberに対して良い印象を持たない層はさらに嫌悪感か増すような不思議な印象コントロールで、光と影とはまた違う巧妙な描き方でした
ゆりちゃん役の岸井ゆきのちゃんは
メインキャストではないももの、出演した作品には大きなインパクトを残しながらも主演が引き立つ素敵な女優さんで以前より応援していたので、今回ヒロイン?役に抜擢され嬉しい限りです
あまりこういったジャンルの映画は好きではないのですが
評価の高さにスルーする訳にはいきませんでした😅
観てよかった!という作品ではないのですが
忘れられない1作となりました
勧善懲悪など、ない
「ヒメアノ~ル」「告白」も劇場で観たが、やはりその後に引きずる「胸糞感」は否定できず、今回もある程度覚悟で予備知識ナシで劇場に向かった。
数日前に観た「メタモルフォーゼの縁側」とは真逆で、登場人物ほぼ全員が嫌なヤツ。
結果的にその嫌なヤツらが罰を受けるかというとそうではない。
もちろん「気分悪い」と思うけれども、現実はどうか。
善人は皆救われているか。
悪人は懲らしめられているか。
そうでないからこそ、施した善意には見返りが欲しいと思うのは必然的なことであり、その見返りとは決して「金」や「名声」である必要もない。
心からの感謝の言葉ひとつで、それまでの苦労すべてが報われたという思いになれることも少なくない。
スマホの画面に表示される小さな動画、その評価や登録者数を気にするあまり、そのスマホの後ろに広がる現実の広い世界を喪失してしまう。
少なくとも田母神さんはスマホを失うことで、現実の青い空の存在に気付くとができた。
それだけで、この映画は決して単純な「胸糞」映画ではないのは明らか。
むしろ私は(胸糞を覚悟していた分)清々しい気分で観終えることができた。
たぶん、テーマ曲の良さもそれを手伝ってると思う。
万人向けではないけど、楽しめた。
全員怪演
『ヒメアノ~ル』や『空白』に比べて画面は明るめなのですが、今作が一番現実と地続きな気がして、別の角度から刺された気分です。
序盤の微笑ましい関係はどこで崩れてしまったのか。個人的には田母神の嫉妬心が始まりだと思う。
ゆりが相談しなかった部分もあるが、距離を取り始めたのは田母神から。結局どっちもどっちの泥試合になるわけですが。。
ムロツヨシの上手さは知っているつもりでしたが、岸井ゆきのがここまで出来るとは。豹変後の演技は新鮮かつ鮮烈。何より、田母神の最後の動画を観た時の複雑な表情は今作の白眉かと。
また、梅川やYouTuberから浜辺のおっちゃんまで、全キャストが観客に与えるべき印象と感情をしっかり与えてきおり、どこかで見た気がしてしまうという点で、脇役含めて全員怪演といえます。
単純にYouTuberを否定的に描かないバランス感覚や、PARCOのクレジットをYouTube広告のように出す遊び心など、細部まで行き届いた傑作だと思います。
登場人物全員に共感できるところがあった
他の方のレビューを読んでみると、登場人物に全く共感できなかったという人がちらほら。
ほとんど全員に共感できた私は性格がちょっとあれなんだろうな笑
田母神さんの急に見返りを求めたくなった気持ちも
ゆりちゃんの調子に乗ってしまった感じも
梅川さんのように人の話にちょっと悪口を乗せてしまう癖も
YouTuberたちがゆりちゃんの事故をまるで責任を感じず他人事ように語っていたことも
全部全部共感できてしまった。
もちろん毎日こんな悪魔のような所業で生きているわけではないですが、なんというか、こういう気分になる時ある〜という共感。
急に何もかも嫌になる時も、周りに乗せられて調子に乗ることも、ちょっと人間関係拗れたら面白いかもと思ってしまうことも、他人を自分にとって価値があるかどうかだけで見てしまうことも、身に覚えがあることだった。
人の性格ってひとつではない。とても難しいと思う。
同じ選択を迫っても、時間や場所や昨日何があったかで返答って変わるものだと思う。
そういう人間の難しいところを吉田監督は描こうとしているのではないかと勝手に思っていて、それが見たくて、明るい気持ちにはなれないとわかっていても、仕事で疲れた足を映画館に向けてしまった。
人間が生きていくって難しい。
でも尊い何かがそこにはあるんだと、足元を照らされたような気がして、いつもと同じ一歩をきちんと踏み締めたくなるような、そんな映画でした。
昔を思い出しました
自分語りで恐縮ですが、、
昔、好意を持ってる人が自主映画を作っていて、ロケハンや撮影、取材の交渉などを手伝っていたことがありました。
好意を持っていたから(気に入られたいから)という気持ちもがあったのに、自分は純粋に相手の夢を応援したいんだ。と自分に言い聞かせて、見返りを求めない良い人になろうとしていたなと今は思います。
途中で仕事のスケジュールなどで手伝うタイミングがなかったり、相手も1人や仲間と作ることが増えて後半はあまり関われなくなって寂しい?嫉妬?のような感情を持ったのを良く覚えていて、田母神の徐々に相手にされなくなっていった時の気持ちはよくわかるような気がしました。
映画の後半で、まだ底辺 YouTuberで必死かつ楽しそうにしているユリちゃんの映像をみて、自分は純粋に応援したかったということを田母神は思い出して争いをやめたのかなと思いました。
そして、最後に「ありがとう」という言葉(見返り)をなんどもみる田母神の姿は切なかったですが、ずっと欲しかった(確認したかった)言葉をもらえて自分の中で区切りがついたんだと思いました
久しぶりに面白い邦画みれて嬉しかったです。
承認要求
勿論、フィクションだがこの、人間の本性というものをデフォルメされると、つくづく山奥で1人で暮らしたいという諦観が心を支配する
『ありがとう』なんて言葉のなんて薄っぺらいことよ・・・ あの世界の連中達が普通に周りにいるんだけどってレビューにあったけど、そうか、これは今の紛れもない事実なんだと、"道徳"を必須科目にした現政権の意図は意外に間違っていないのかも知れないと考えさせられる
ここまで拗れたのって周りのやつらのせいでは…?
吉田恵輔監督の最新作。私にとっては『机のなかみ』『ヒメアノ~ル』『空白』に続いて四作目の吉田監督になります。今の邦画界隈では一番注目度の高い映画監督じゃないかと個人的には思ってます。
予告編を鑑賞していたので、ざっくりとしたあらすじだけは知っている状態での鑑賞です。
結論ですが、面白かった!!序盤は田母神とゆりちゃんのラブコメのような雰囲気でストーリーが進んでいきますが、物語の中盤に差し掛かったころから急に雲行きが怪しくなり、どんどんと悪い方向に話が進んでいきます。吉田監督の過去作『ヒメアノ~ル』は中盤のある時点で一気に雰囲気が変わる作品でしたが、本作は雰囲気の明確な分岐点は無く、徐々に徐々に雰囲気が暗くなっていく映画でした。
主演のムロさんも岸井さんも良かったんですが、個人的MVPは若葉竜也さんですかね。観た方には分かると思いますが、絶妙なリアリティと嫌悪感を感じさせる演技で最高でした。公開前のインタビューでムロさんが若葉さんの演技を絶賛していたのも頷けます。本当に素晴らしかった。
・・・・・・・・
「Yuri-chan」としてYoutubeで活動する川合優里(岸井ゆきの)は、その努力とは裏腹に全く結果を出せず、登録者数も再生数も伸び悩んでいた。そんなある日、合コンでイベント会社で働く田母神尚樹(ムロツヨシ)と知り合い、Youtube活動を手伝ってもらうことになった。田母神と二人三脚で活動を続けるも、結局鳴かず飛ばずの底辺Youtuberのまま。バズるヒントを得るためにワークショップに参加した優里は田母神の同僚でイベントスタッフをしていた梅川(若葉竜也)と再会し、彼の伝手で人気Youtuberとコラボをすることになる。このコラボをきっかけに一気に登録者が増えた優里は、次第に田母神のことをぞんざいに扱うようになる。
・・・・・・・・
吉田監督は、とにかく人間の描き方が上手いという印象。本作は登場人物全員がどうしようもないキャラクターなのに、何故か彼らのような人間に今までの人生のどこかで実際に出会ったことがあるような気がする、絶妙なリアリティで描かれているように感じます。
吉田監督の人間の描き方には他の作品にも共通して、「無自覚な人間の加虐性」について描かれているような気がします。自分が相手を傷つけていたり攻撃しているという自覚を持たないキャラクターというのが他の作品にも頻繁に登場しているんですが、本作に登場した若葉竜也さん演じる梅川はその最たる存在だと感じました。ああいう他人の悪口を媒介する人、誰もが人生の中で一人くらい出会ったことがあるんじゃないでしょうか。
Youtuberを扱った映画は他にもたくさんありますが、彼らを小馬鹿にしたような描写の映画も少なくないと感じています。その点で本作は彼らの裏の苦労なども描いていて、単純なYoutuber批判になっていないのが好印象ですね。
随所で挟まれる「Youtubeっぽい編集の動画」とか今話題になっている「暴露系Youtuber」とかも印象的でした。Youtube風の動画を作成するために実際のYoutuberさんが監修に入っていたり、この映画の撮影当時には今ほどメジャーな存在ではなかった暴露系Youtuberを登場させているなど、Youtubeに対する綿密なリサーチの上に成り立っている映画だったと感じます。吉田監督のインタビューによると2021年の初め頃には既に本作は完成していたそうですので、今話題の某暴露系Youtuberの活動開始(2022年2月)よりも前です。図らずも絶好のタイミングでの公開になりましたね。
物語中盤から田母神もゆりちゃんも豹変したような印象はありますが、実のところ二人の行動原理は最初から一貫性があって変わってないんですよね。田母神さんは最初からゆりちゃんに感謝してほしくてYoutubeの撮影に協力していますし、ゆりちゃんは最初から再生数や登録者数を稼ぐことに躍起になっています。それは、「豹変した」と言われる映画の中盤以降も変わることはありません。
行動経済学者のダン・アリエリー氏は自身の著書『予想通りに不合理』の中で、この世界には相手の行動に感謝の言葉などでお返しする「社会規範」とお金などでお返しする「市場規範」という二つの規範が同時に存在し、その二つは相容れないということを述べています。感謝の言葉を求める田母神と再生数や広告収入などの数字を求めるゆりちゃんは、まさに「社会規範」と「市場規範」を体現したような存在であり、二人が相容れないのは必然だったと思います。
まぁ、上記のような小難しいこと考えなくても、コメディシーンは普通に笑えるし、人間描写は面白いし、田母神とゆりちゃんの対決は面白い。今公開されている映画の中では間違いなくトップクラスに面白い作品だと思いますのでオススメです。
とてもよかった
youtuberの地獄を描いているのだけど、それでも他人と関わり合って何か物事を成し遂げる様子が描かれていて、世の中には本当に孤独で誰とも心を通わせることなく、ましてや協力し合って物事を成すこともない人の事を思うと、そんな地獄でもまだずっと充実していると思う。最近そんな人の存在のことを多く考えているので、こんな見方になってしまう。
ムロツヨシがお人よし過ぎて、他に協力者が二人現れた時点でフェードアウトすればいいのにと思う。岸井ゆきのが厚かましすぎてすごく嫌だ。
田母神さんの未来が
面白くて先が見えなくて感情がジェットコースター状態、最後は切なすぎて泣いていた。
不思議とあのラストで清々しい気持ちになった。
内容、登場人物は結構な胸糞なのにもう一度観たいなと思える作品。さすが吉田恵輔監督。
ムロツヨシさんの目の奥から訴えかける何かに心を掴まれた。1つ1つのシーンが丁寧で繊細。
壊れてしまったけれど、完全にいい人を捨てきれない男を絶妙な上手さで演じていた。
岸井ゆきのさんの豹変ぶりも素晴らしくて、顔変わりすぎて怖かった。
そんな二人の相性の良さもあって演技合戦が見応えあった。どの役者もハマり役でリアルだった。
それにしても、その後がとても気になる。
吉田監督も田母神さん演じるムロさんもインタビューでその後のことをうっすらと予想してお話されてたので、田母神さんは大丈夫だと解釈しました。じゃないと救われない…
きっとあの大事な動画もクラウドに保存されているよね?とプラスに考えてどうにか補完した(笑)
かみさま
吉田監督の新作、YouTuberを題材という中々責めた作品になるんだろうなと思ったら予想の斜め上をいくエグい作品でした。
まずYouTuber描写には違和感を感じざるを得ませんでした。そんなコッテコテな編集とか今更ある?と思ってしまいました。数年前のYouTuberが多く登場してきた時期とは違い、YouTuberが職として定着してきた今にアレを見せられると普段ゆっくり実況・解説しか見ていない自分ですらモヤっとしました。あと登録者数十人クラスでのあのコメント量は変です。十分人気者になれているのでそんなに悲観しないでもいいのに…。ここは製作陣と受け手の捉え方次第だとは思いますが。あと個人YouTuberにあんなにスタッフはつかないはず…。リアリティの無さもやや問題です。
そんな欠点がありつつも、今作はとびきりのエグさが際立っていました。とにかく醜い奴らばかり、そして殆どが救われない異常さ。人の転落を見事に描き切った怪作です。醜いというか考え方が浅はかな人物しかおらず、善意をシンプルに踏み躙るゆりちゃん、とにかく悪態をつきまくるプロデューサー、悪口を吹きまくる田母神の同僚、突撃系YouTuber、見ていて中盤から後半は不快になる人物ばかりでした。そんな中優しすぎた田母神さんが豹変していく瞬間は鳥肌ものでした。感謝してほしかったのに様々なすれ違いが起こり本性が現れていく、しっかりとその悍ましさを表現したムロさん流石でした。
後半、いよいよ醜い撮影合戦、最終的にはゆりちゃん全身火傷、田母神さんは突撃系YouTuberに刺されると全く救われずに終わる胸糞エンド。早く劇場から出たいと思ってしまいました。映画を観て良い意味で不快になったのは久しぶりでした。製作陣、役者陣、お疲れ様でした。
鑑賞日 6/25
鑑賞時間 12:30〜14:25
座席 F-3
見事な演技!
今回は、ドキッとするエロ描写が少なく残念。
オープニングで、居酒屋で酔い潰れて女子のパンツが丸見えなところなんて他の監督さんとは一味違うとこはサイコー。(パンツが見えて喜んでいるわけではない)
全体的には満足ですが、YouTuberを題材にしているとは言え、基本的なストーリーは失礼ながら良くある展開と言ってしまえばそれまで。
しかし、そこに微妙なスパイスをまぶして見る者を惹きつけていく。
ラストに向かう展開で、岸井ゆきの、ムロヒロシそれぞれに降りかかる不幸な展開は見事。
それにしても失礼ながらとびきりの美人ではない岸井ゆきのが、前半やたら可愛いく、後半は、自信に満ちている様子からかなり魅力的に見えた。
見事な演技でございました。
次の吉田監督作品はいつ?楽しみで仕方ない。
"あっ!こいつはおれだっ!笑…"な映画
「やっぱり私、あなたが嫌い」
このことばは、監督自身が誰かに向けた言葉?それとも、誰かから向けられた言葉?
面と向かって、半分呆れ気味に、こんな言葉は言われたことはないけれども、あの最初のムロツヨシな感じは、なんか見覚えがある…悲しかな、おれだよ(笑)
人の保証人になるほどお人好しではないけれど、自分の欲望に素直になれない、あの感じ…傍(はた)から見てると、余計に腹が立つ…あの煮え切らない感じ。
だから、他人につけ込まれるし馬鹿にされるんだよ。そして、気づいた時には、時すでに遅し…。イライラがまたひとつ溜まって行く…。
寛容な心があれば…坊主のような(笑)
でも、信頼していた人から裏切られると、突然顔貌が"無"になるか、大魔神に変貌するわな…笑
色々と注(つ)ぎ込んでもいれば、「それ返せ」って言いたくもなるよ…。カッコいいこと言う奴もいるけど、そんな奴ばかりじゃ、人生面白くないでしょ…笑
とても他人事とは思えない、素晴らしい作品でした!笑
オススメ!笑
*おおっ、そう言えば、この「映画.com」のレビュー・サイトもSNSではないかッ!笑
承認欲求の塊みたいな奴らの集まりだよ、ここも(笑)
*カンヌやベルリンにはかすりもしないけれど(そんなのは、是枝某何某一派に任せておけば良い…笑)、吉田恵輔監督…新作が今1番気になる監督さんだと、改めて気がついた(笑)
痛々しくリアルな男女関係
YouTuberを目指す女の子とイベント会社の男が主人公の本作。
集団におけるポジショニングがテーマでしょうか。
人が複数集まると、その中で階層が出来る。
冴えない女は冴えない男とカップリングされる、ということが、ど頭の合コンから描かれます。
本人たちがそれを無意識に判断して自分に相応しい相手を取りにいく感じが生々しい。
YouTuberとして成功するに従い、
外見は垢抜け付き合う人も変わっていく。
そんなゆりちゃんにとって、ムロツヨシはイケてない時代の自分の象徴。
生まれ変わりたい時には邪魔な存在です。
だから避けて遠ざけて忌み嫌ってみるも、そうする中で自分が今いるステージにミスマッチであることに気付かされてしまう。
結局自分がどれだけ変わろうと、1人で何もできないと泣いていた頃から何も変わってない。
周りの人間は受け入れてくれている風でも、人に従って駆け上がってきたゆりちゃんは自分に自信がなく、居心地の悪さは拭えない。
何度も言い放っていた『あなたのことが嫌い』には自己投影を感じます。
一方で、ムロツヨシは人に親切にすることでしか自分の存在を保てない。何もないから自信もない。
ある意味、他人に執着して生きているだけだったのが、
ゆりちゃんに罵倒されたことで自立の道を歩み始めます。
これがこの物語のストーリーラインでしょうか。
最終的に生死は不明だけど、彼が自分の好きを見つけて人生を歩き出したラストシーンは、希望に満ちて美しかったです。
【”有難うって言って欲しかっただけなのに・・。”僅かな齟齬により、善意が憎悪に変わる時を抉り出した作品。今作は、SNS社会で生きる私達の姿を映し出しているのかもしれないな、と思った作品でもある。】
― ご存じの通り、𠮷田恵輔監督はオリジナル脚本で勝負できる、数少ない監督である。その作風に、人間の妬みや嫉みや、隠しきれない悪性を取り入れ始めたのは「ヒメアノ~ル」「犬猿」辺りからだと思う。
そして、個人的な意見だが、見事にそれらの要素が結実したのが「空白」だと思っている。-
◆感想
・今作を鑑賞後、爽やかな気持ちで”あー、楽しかった!”と言う人は少ないと思う。何か、人間の愚かしさや、
厭らしさを見せつけられた感じがするからである。
・”神”と揶揄される程のお人良しのイベント会社に勤める、田母神(ムロツヨシ:怪演である。)が、売れないユーチューバーのゆりちゃん(岸野ゆきの)をあるきっかけで手伝い始める。
ー 彼が、ゆりちゃんに何かを求めていたとは、思えない。正に、お人よしなのである。-
■だが、ゆりちゃんが人気ユーチューバーとの共演でブレイクし、一方、田母神が、いつも金を貸していた且つての同僚が飛び降り自殺し、彼自身がその同僚の連帯保証人であったが故に、彼は精神的、金銭的に追い詰められていく様を演じたムロツヨシの人が変わった様な姿が異様なまでに怖い。
・ゆりちゃんは、アッサリと田母神をパートナーから切り捨て、イケメンデザイナーと仕事を始め、たちまち人気者に・・。
ー 成程ね。ユーチューバーが、小学生のなりたい職業ランキングの上位に定着する筈だ・・。ー
・怒りを制御し切れなくなった田母神は”T-ゴッド"として、ユーチューバーデビューを果たすが、目的はゆりちゃんの人気を落とすというだけのモノ。
ー 二人で罵り合う、田母神にも、ゆりちゃんにも全く共感できない・・。そして、天罰のように、ゆりちゃんはユーチューブ製作中に、大やけどを負う。その様を病院で映す、ネズミの面を被ったユーチューバー気取りの少年の姿が、恐ろしい。田母神に一度は追い払われるも、彼は撮られた映像を田母神にSNSで流される事を恐れ。彼を傘で滅多刺しにする・・。-
<前半は、田母神とゆりちゃんのラブストーリーに展開していくのかと思わせつつ、急転直下の嫌な嫌な展開の落差が、不快だが、秀逸である。
他人の噂話を脚色し、自覚なく流す、田母神の同僚の男(若葉竜也)を含め、登場人物がほぼ総て共感出来ない稀有なる作品。
もしかしたら、この作品はSNS社会で生きる、私達の姿を映し出しているのかもしれないな・・、と思った作品。
ラスト、ゆりちゃんが”大っ嫌い・・。でも有難う・・。”と包帯でくるまれた身体で田母神に言うシーン。その彼女の姿を映しながら、後から”有難う・・。”と言うシーンを見返す田母神の姿が切ないと思った作品でもある。>
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