「表面的な「野球部あるある」だけにとどまっているのが惜しい」野球部に花束を tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
表面的な「野球部あるある」だけにとどまっているのが惜しい
野球部の理不尽さや不条理を笑い飛ばす映画ではあるが、高校時代に何らかの運動部に所属した者であれば、共感できるエピソードが多いのではないか。
ただ、公立校と私立校の違いなどには言及しているものの、野球部とその他の部活の違いなどについては、描き込みが不足しているように思う。甲子園に行けない99%の高校球児に焦点を当てて、その報われない努力が描かれてはいるが、野球部以外の部活では、例え全国大会に出場しても、甲子園ほどの注目を集めないのが実情である。そんな野球部優先主義のようなものも、面白おかしく描かれていれば、もっと奥行きのある物語になったのではないか?
また、主人公たちが、なぜ理不尽な目に遭いながらも部活を続けているのかが、しっかりと描かれていないのも物足りない。そこには、友達ができる楽しさだけでなく、上達し、レギュラーを取り、試合に出ることの喜びややり甲斐があるはずである。その一方で、そうしたことを感じられずに、退部していく者も必ずいるだろう。そうしたことも描かれていれば、さらに深みのある物語になったのではないだろうか?
着眼点が面白いだけに、今一つの描き込み不足が残念に思えてしまった。
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