「お茶を手にチャンネル変えたら、そのまま釘付けに…」LOVE LIFE Hisako abe Matsumotoさんの映画レビュー(感想・評価)
お茶を手にチャンネル変えたら、そのまま釘付けに…
お茶を飲みながらチャンネルを変えたらそのままエンドロールを迎え監督名を確認するまでトイレも我慢してしまった。
チャンネル変えたら、団地の台所から隠していたであろう花束をベランダの老年男性(田口トモロヲ)に渡す場面だった。憂いを帯びた女性(木村文乃)が俯き加減で直ぐ台所に戻る様子に訳ありの家族だと肌で感じ取れ、その直後思わぬ事故が……途中から観たのにその30秒程でその空気感に引き込まれてしまったのだ。
淡々と物語は進むのに次から次へと読めない展開が繰り広げられ、鬱々としたシーンの度に自分にも覚えのある感情が沸き立ち、悶々とし時にあっ!と声をあげていたり。
完全潔白な人などこの世には居ないだろうし、大きな悲しみから抜け出そうと過去の姿に救いを求めてみたところでまた同じ思いを繰り返し既に違う道を歩んでいるのだったと惨めになったり仇となって返ってきたり…
悲しみを誤魔化し感情を押し殺しながら日常を送り、正しいかどうかなんてもう判断のつかない精神状態の中で、モラリティの下どん底から這いあがろうと静かにもがく姿はとてもリアルで、それでも時間は流れ目の前のものと日々を営もうとする姿その積み重ねこそが人の一生「LOVE LIFE」だなと、最後のシーンは愛おしく感じながら見送った。
久々に長々と綴りたくなる映画と出会えた。
wowowって不意にいい作品に出会えていいな。
始めの20〜30分位まだ観てないから見直そう。
それより何処かの映画館で上映あったら観に行こう。
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