「人は皆1人なのです。」LOVE LIFE せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
人は皆1人なのです。
幸せに見える夫婦に突然おそいかかる不幸と共に、何かが少しづつ崩れていく話。
この作品妙子の母が言う「誰かがいても結局死ぬ時は1人」という言葉がすべて。登場人物達は全員誰かと一緒にいるのに疎外感を感じもするし、ここが自分の居場所だと感じもする。毎日一緒にいても所詮はお互い他人、お互いがお互い全く知らない世界を持っている。
例えば冒頭、妙子の息子敬太のオセロ優勝大会おめでとう会を身内だけでやっている時義父はどことなく浮いているけど、この集まりが同時に義父の誕生日会だったため職場の人達が合流した瞬間、完全にその場は義父のホームになり妙子は端に追いやられる。
こういう誰かが影になったり陽のあたる場所を得たりは繰り返されていて、結局誰かの100を独占することは出来ない。2人の住む家が元々義理の父と母が住んでいた場所であるように、かつては居場所だったところが失われることもある。こんなん、1人でいるより孤独が強調されて辛すぎる。
恐らくこの家族の中で妙子が居場所を作れたのは敬太がいたから。その存在が無くなった時、前の夫との絆を感じ始める。でも面倒を見てあげられるのは自分しかいないと思っていた元旦那にも、ちゃんと居場所があって妙子には知らない世界があった。そもそも敬太にもオセロ仲間という妙子が知らない世界を持っていた。それを悟った時に表れるタイトル『love life』が清々しかった。
個人的に、敬太の死は不運の事故というのは大前提として、義父がアホみたいな演歌大音量で歌ってなかったら倒れた時の衝撃音ですぐ駆けつけられたんじゃないか?ってだれか言ってよ!!と思った(笑)