かがみの孤城のレビュー・感想・評価
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原恵一監督の新たなる挑戦
原恵一監督といえば
言わずもがな「オトナ帝国」など、
クレヨンしんちゃんやドラえもんなどの
アニメ制作においてその腕が評価され、
しんちゃんを抜けてからは
「河童のクゥ」「カラフル」「百日紅」「バースデーワンダーランド」と、
数年に一度のペースで
主にアニメ映画の監督を務めており、
国内外から多くの授賞経歴を持つ方。
そんな原監督が
今までとは明らかに異なる映画を作ったのが今作。
これまでの原恵一映画は
よくいえば「芸術的な魅力のある作品」が多かった。
しかしそれは悪く言ってしまえば
「誰もが楽しめる作品とは言いづらい」という見方も出来る。
「カラフル」や「百日紅」など、先にも書いたように
国内外から様々な賞を貰えるくらいには
評価されている作品にも関わらず、
そこまで映画に興味のない人、
特に子供には楽しみづらい点を感じていた。
実際、映画館には純粋に原監督の作品を好きなのであろう大人がほとんどだった気がする。
まぁ元々ドラえもんやしんちゃんとは違い、
それらは原作からしてあまり子供に向けられた作品ではないのですが。
しかし、今作「かがみの孤城」は違った。
若者が映画館に観に来ている。
中には子供もいる。もちろん大人もいる。
中身もそこまで難しくなく、
上映後には若い子たちの感想が飛び交う。
端的にいえば、「アノ原恵一監督がガッツリ老若男女に向けた作品を久しぶりに作っている」という事に驚いた。
なによりすずめの戸締まり、スラムダンク、アメコミ映画や福田雄一作品など、
さまざまな話題作が公開されている中で
客席がほぼ埋まっていた事に驚いたし、
原恵一作品好きとして、すごく嬉しい。
原作は辻村先生の人気タイトルなのだが
上下巻二冊分の小説作品という
それなりに長い物語になっており、
これを二時間に収めるのがまず難しいとされていた。
実際に映画公開前は「小説二巻分を二時間に収めるのは難しいから期待できない」
という意見をチラホラ見かけていた。
しかし、そんな難しさを感じさせない位
キレイにまとめられており、
一本の映画としてキチンと完成されている。
原作の良さを崩さず、
「映像作品である意味」も出ていた印象。
キャラクターのトラウマを描く場面では
本当に胸が痛くなるような演出・構成で
映画に引き込まれる。
かつて「カラフル」を観た時にも
そんな感情を持った覚えがある。
悪い人を描くのが上手い人だなぁ、と。
ここにきて原恵一監督は
今までとは異なるアプローチを見せてきており、
なおかつそれが世間から高く評価されている。
同じ所にとどまらず、挑戦し続ける精神に脱帽。
観て損はないかと思います。
劇場で観るなら今年1番かも
ファンタジーだからと敬遠するのはもったいない
予想外にリアル描写が鋭いファンタジー
原作未読でしたので宣伝にあるアニメ絵を拝見した段階では、いわゆるラノベの「なろう系=転生先で無双を尽くす」のアニメ化と思って、あまり期待せず鑑賞いたしました。
物語はラノベ的な唐突な入りで始まります。
周囲が海に囲まれた孤城に全体的に雰囲気おとなしめな7人の男女の中学生がほぼ強制的に各ご家庭に鏡経由で集められてます。そこで狼の仮面を被った子供にしちゃかなり弁がたつ幼い少女(狼様)にいろいろシステム・・・報酬、日々の時間制限、開城される期間、怖い怖い連帯責任?についてなど注意事項を説明されます。
ここから、この孤城に閉じ込められて、皆で協力して謎解きをする脱出ゲーか・・・と思ったらこの孤城への出入りも自由というのだからなんとも緊張感がありません。
しかし・・・この見た目緩いファンタジーと対照的に主人公のこころさんの置かれた境遇が過酷でリアルでした。
こころちゃんはどうも学校に行きたくても行けなくなってしまった様子。最初は断片的にしか語られなかったその詳細が、孤城に集まるメンバーとの交流や関係性の変化によって徐々に明らかになっていく様、リアル世界への影響など、なかなか現実の社会問題に則して上手く描けていたと思います。
たぶん映画の尺の都合で7人のメンバーのすべてのエピソードは語り尽くせなかったのだと思います。唐突な展開、他メンバーの境遇の説明不足感は否めませんが、主人公のこころさんのメインストーリーが丁寧に描けていたので個人的には気に入っております。
読後感も良好、最後に若干のチート設定はありますがラノベのノリで許したくなってしまう良作でした。
では。
小説具現化の難しさを感じる作品。ピンチだったから…
内容は、主人公は雪科第五中学に通う中学一年生の安西こころ。とある理由で登校不能になり、突然鏡に映る🪞自分が見えず身体ごとかがみの世界に吸い込まれる。その異世界で出逢うこころと同じ様な境遇の6人との冒険を中心に現実問題と繋げ解決策を模索しようとする物語。原作ファンタジー小説・辻村深月の『かがみの孤城』監督は、原恵一によるアニメ映画作品。印象的な言葉は『どんな事にも代償はある。』オオカミ様🐺の言う言葉に深く納得してしまいました。現実世界の厳しさを簡潔に表した真実のうちの一つで共感しました。印象に残った場面は『早く大人になってね』と喜多島先生がこころと初対面挨拶の場面。同時に机の下から差し出された見えない手での握手は原恵一らしい演出だと感じました。貴方の悩みは広い視野を持てば解決する。その手助けをしたい…昔自分がそうであった様に…との心の声が聞こえて来そうで良い演出だった様に感じます。アニメーションの回り込みからのアップや引きも臨場感あり手を握るタイミングや口元の演出や目の微妙な表現は、心像描写が映えた素晴らしく分かりやすい作品だと感じます。いかんせん原作の様に、より個人に焦点を寄せた群像劇の面白さや奥深さを出せなかった様に感じるのは、非常に悔やまれるし難しさを残す問題の様に感じます。この映画で興味を持たれた方は原作も読んでみる事をおすすめします。より深く面白さが感じられると思います。映画を見た後に飲む🍓紅茶や🍎紅茶はいつもと違う味わいがありました。キルケゴール曰く『死に至る病とは絶望の事である』その事を深く感じさせられる素晴らしい作品だと思います。
今年の劇場納めがこの作品で良かった
たいへん良かったです。
今年自分が見たアニメ映画で1〜2を争うくらい良かった気がします。この映画.comレビューをしだしてからは最高点です。
実は冒頭から30分くらいは「あ、つまんないかも?」と思いはじめてました。が、話が進むに連れてじわじわと物語に惹き込まれていきましたね。エンディングではちょっと涙ぐんだりしましたよ。
見終わったあと、思い返せばあの冒頭のつまらなさも必要だった伏線のように思えてきました。
脚本、構成がしっかりしているんだと思います。
物語の全てのつじつまが合っています。
そりや何度も見返して重箱の隅を突けば何かしら荒があるかもしれないけど、初見一回見ただけなら充分納得できる仕上がりではないでしょうか?
オオカミ様ときたじま先生の声優良かったです。
ほんま芦田愛菜は何やっても優等生やな。
宮崎あおいの「大丈夫」と言うセリフのあの柔らかさ、落ち着くと言うか、安心します。
作品として誰かにお薦めしたいなと思える良い映画でした。ただし見た目は冒険ファンタジーぽいけど、大人から子供まで楽しめるファミリー向けではないので小さい子連れには向きません。
実際に子連れ家族は途中で帰っていきました。
やっぱり中学生以上かな?
実は子供のころ主人公と同じように自宅を取囲まれて嫌がらせされたこともありました。
自分には良い先生がいたので不登校にはならなかったけど、この作品がいじめや不登校で苦しんでいる子どもたちの癒しや勇気になれば良いのですが。そしてその子の周りの大人たちの気づきや対応の参考になれば良いなと思います。
たぶん今年の映画館で観る作品はこれが最後になるだろうけど、シメがこの作品で良かったと思える映画でした。
今年のアニメ映画トップ
良い作品だと思いました。
予告編で、上から目線で命令口調で話す、オオカミの仮面をかぶった少女という特異なキャラクターが気になり、その正体を知りたいという軽い気持ちから、観ることにしました。
お城に、7人の中学生が集まるという物語の設定なので、観客の大多数が親が同伴の小学生や中学生で占められていたら、さすがに恥ずかしいと思いましたが、普通に成人の男性・女性の観客が多数いたので、安心しました。
内容は、子供の不登校、いじめ、虐待という、現代日本の深刻な社会問題を扱っており、物語が進むにつれて、「かがみの孤城」というタイトルに込められた、作者の想いが、次第に分かってくるような感じがしました。
この作品の良さは、実際に観なければ、理解できないと思います。
私には、ファンタジーでミステリアスな、良作のアニメーションのように思えました。
終盤のたたみかけは原作に劣らない
中盤までは原作小説と比べると表現が軽く、仲間の描写も物足りなく感じるが、終盤のたたみかけで一気に取り返した。
概ね原作通りだが、それならもっと尺が欲しかった。
絵や声についても少し物足りなく感じる。
とはいえ今年のアニメ映画の中でも屈指の出来だと思う。
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2023/02/18
なんだかんだ10回以上観てなお観ようと思えるぐらい魅力があるので評価あげました。
不満なところが納得できたわけではないけれど、ゆったりしたテンポで上手くまとめてるともいえる。
中高生向けで日テレが製作に入ってるから120分以内なのは分かるけど、やっぱり完全版として各キャラのエピソードを入れて、電気の通った孤城が観たい。
終盤で感動するシーンが多目な邦画アニメ。 本年度ベスト級。
鑑賞目的は主役、こころのCV。
當真あみさん。
以前観たテレビドラマ。
フェンシング選手の役の演技を観て、この方はこれから人気が出る役者さんの予感。
本作のCVは素晴らしかったです。
訳アリの中学生7人を軸にしたストーリー。
何の繋がりも無い7人なんだけど、後から解る予想外な繋がりがファンタジー。
自宅の自室の鏡を通じて海の孤島のお城に瞬間移動。
お城に隠された鍵を探しだすストーリー。
鍵を見つければ誰かのひとつの願いが叶えられる。
見つけなつけもOK。
緩すぎるルール(笑)
唯一、危険なのはお城に居られる時間は9時から5時。
それを守らないと殺されてしまうルール。
お城に籠城されるストーリーと思いきや、自由に帰宅出来る展開(笑)
ある理由で選ばれた7人が自由にお城に行って寛ぐ感じか羨ましい(笑)
心を閉ざしたこころ。
お城で仲間達と素直に話せる感じで、他の仲間も多分同様。
中盤までは落とし処が解らなかったけど、終盤は感動するシーンが多目。
ぶっちゃけ、ここで感動して良いのか不安になる(笑)
主役こころの感動シーンより脇役に感動する方が多い感じ(笑)
ラストの感動シーンは良いけど、もっと他のキャラとのシーンも観たかった。
こころの服が全て可愛いのが印象に残る。
當間あみさん。
これからも期待してます( ´∀`)
イジメやハラスメントを乗り超えるトリセツを知りたく無いですか‼️❓
この映画のイジメやハラスメントは、犯罪そのもので、それぞれが本当に存在する、リアルそのものです。
その多くは自殺に追い込まれ、闇に葬られています。
そして学校や教育委員会、児童相談所、行政機関の多くは隠蔽し、加害者に加担しています。
それならどうするか。知り合いの弁護士によると、加害者を殺すくらいの覚悟で戦うしか、術はありません。
でも、それは困難ではありません、声を上げれば必ず助ける人たちはいます、必ず。
この映画はファンタジーのテイですが、現実にも、助ける人はいます。
毅然として、正しく、前を向き、ヒロインのように生き抜けば、明るい未来がある。
パラレルワールドやタイムマシンでは無くリアルタイムで希望はあります。
加害者は優しく弱い人を狙い撃ちするのです。
だから、この映画のように苦しくても怖くても逃げずに立ち向かうのです。
悪を懲らしめ、生きる希望を掴むために、是非。
びっくりするほど良作、ネタバレ無しで鑑賞を
予告から、小学生のおとぎ話かと思っていたら、評価が高いので、今週末はこの作品から鑑賞です。
途中、ウルウルしながら見ていて、あるところで嗚咽レベルの急な波がありました。ネタバレ厳禁かと。
前情報はほぼ無しで鑑賞がオススメです。
感想書くとネタバレしそうですが、思っていたおとぎ話のようでもありますが、中身はもっと深刻な問題を扱っています。
正直、途中でストーリーのキー部分に気が付きましたが、それでも、嗚咽しそうになりました。
予想通りの進行なのに、あれほど感動してしまうとは。
本当の主役はあの人とあの人というですね。
何とも、観る前と観た後ではここまで印象が違うとは。
最後は何個か連続で、、、見応えがあった。
唯一文句があるのは声優ですが、前情報がほとんど無かったので、オオカミさまと藤森先生以外は誰か分からなかった。ちょっと違和感を感じつつ、あんまり気になりませんでした。芦田愛菜や北村匠海は俳優としても好きですが、声優の才能の高い方が多いですね。
小学生や中学生はもちろんですが、大人も楽しめる上質なおとぎ話です。
アニメは
見ないのだが、スライムダンクを観ちゃったので、
これも別日で見た。
原作は手にとって数ページ読んだけど、そのまま。
イジメ、児童虐待?親子間の問題・犯罪、不登校。
実際、学校の担任に期待してもいじめが起きている段階で、期待する方が間違い。
ポンコツだからそうなる。
真実は一つはよけい。
芦田愛菜は、あっていたのか?好きだけど、この役は?
読書家の彼女は原作読んでいるけど、お願いしたのかな?
まあ、良い映画だと思います。
悩み多き若者へ
2018年には本屋大賞も受賞し、発刊以来ベストセラーとして、現在も尚、揺るぎない人気を博している、辻村深月の長編ファンタジー小説のアニメ映画化。中・高校生の課題図書のようなストーリー展開だが、辻村氏独特のファンタジーな世界観と共に、思春期の少年少女の揺れ動く心の様を、原恵一監督が、心に熱いモノが込み上げてくるような感動的な展開で描いている。
主人公は、中学入学早々にいじめのターゲットとされ登校拒否に陥った安西こころ。友達や先生とも距離を置き、部屋に籠もる生活。そんなある日、こころの部屋の鏡が眩く光を放ち出す。そっと触れてみると、吸い込まれるように鏡の世界に・・・。その先には広い海の真ん中に佇む古い城が目の前に現れ、それと同時に、こころを含めて同じような境遇の7人の中学生が集められていた。
そこに現れたのが、真っ赤なドレスを着ているが、顔には狼の面をかぶった不思議な少女。城の案内人ごとく、7人にその城でのルールや集められた目的を話し出す。そして、この城の中にある秘密の扉の鍵を3月30日までに探せば、願い事を叶えるというもの。何故、この7人が城に集められたのか? また、狼少女の真の目的は何? 様々な謎が謎を呼びながら、7人の友情や心の成長が試されていく。
アニメは基本的にはあまり観ないが、本作は、原作にも感動し、映画化もされるのじゃないかと期待していたので、公開を楽しみにしていた作品。その期待に十分応えてくれており、謎がすべて明かされ、全てが繋がるラスト・シーンでは、原作以上の感動的な演出や展開に、女子中高生の観客が多かった中で、オジサンとしては、しゃくりあげる涙を抑えるのが大変だった(笑)
新海作品の様な、映像美の素晴らしさもない。『鬼滅の刃』のような派手なアクションも無い。『スラム・ダンク』のような、感動的なスポーツシーンも無い。どこにでもいる普通の少年少女が不登校になったシチュエーションではあるけれど、一人一人の心の襞に寄り添い、内に秘めた心の叫びを訴えてくるところに、誰もが共感できるこの作品の素晴らしさがあると思う。
主人公のこころ役に抜擢された富真あみは、声優初挑戦ながら、心を閉ざし、揺れ動くこころのか細さを上手に演じていた。その他にも、北村匠海、高山みなみ、梶裕貴、麻生久美子、宮崎あおい、そして、謎の城の狼少女には芦田愛菜と、実力のある声優、俳優陣が脇を固め、バックアップしている。
思春期の中で、様々な壁や人間関係に悩み、苦しんでいる若者に、新たな一歩を踏み出す為の勇気を与えてくれる作品になればいいなと思う。
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