「孤城に カガミ オオカミ カオナシで ミ(私)が残る」かがみの孤城 Don-chan(Daisuke.Y)さんの映画レビュー(感想・評価)
孤城に カガミ オオカミ カオナシで ミ(私)が残る
原作未読。
前情報一切無しで視聴。
序盤で7人が集められ、ルール説明の時、あ!っと思った。
それは、仲間が信頼しあって何でも相談し、嘘も隠し事もせずに全てをさらけ出して協力すれば謎が解ける!ということを言いたい話か!という、あ!だ。
もしその通りだとしても、大長編のアニメ作品『ひぐらしのなく頃に』の大事な部分を2時間位で伝えてしまえるなら凄いことだと思った。
予想の斜め上の展開を期待しつつも、期待し過ぎないように抑え込む複雑な氣持ち。
それがまた登場人物達の期待と不安のような氣持ちとシンクロしていくのだった。
孤城の各部屋の扉の巨大さと天井の高さが、城らしくて良いが装飾がチープでオモチャっぽい。巨大なドアにしては取っ手の位置が下過ぎる。暖炉の火も焚べる描写が無い。
不思議さは現実世界と区別するためなのだろう。
トイレに関することも言及すらしなかったが、生活感の描写は敢えて伏せられていたのだった。
こころたちが孤城と現実世界を行き来し本音を言い出した頃、学校で待ち合わせする展開は嬉しかった。冷静に考えると学校以外でも待ち合わせ場所を決めれば良いのだが、その時点では私も既にかがみの孤城に入り込んだ中学生のひとりになって視聴していたので氣が付かなかった。
終盤の種明かしパート後に更にひとひねりオチがあって良かった。予想の斜め上というほどではないが満足出来た。
連帯責任というくらいなので、リオンだけではなく7人全員が記憶を持っていた。そして、それぞれ現実世界で会おうとするので嬉しい。アキが、あの仕事を選ぶ理由として辻褄が合うし、すばらしいハッピーエンドになった。ある意味リオンの願いは既に叶っていたし、さらに新たなる願いまで叶えてくれたのだ。
考察としては
…狼の真の目的は7人の望みを叶えること。
…狼が7人を赤ずきんと言った理由は、狼が犠牲になるという展開だから。赤ずきんはハッピーエンドの物語。
…狼のお面を外した顔を画面に出さない理由、そしてその顔を見たリオンが泣いた理由、狼の能力の謎。
…そもそも記憶を消す事が狼に出来たのだろうか。
…狼はどこまで知っていたのか、この先も知っているのか。
狼様は、生きたかったんだと思いました。
生きるつらさに嘆く若者たち。
彼らに少しでも救いの手を差し伸べたかったんだと思いました。
狼様は最後まで正体を明かしません。
多感な時期の傷つきやすい心と、生きたくても生きられなかった狼様の心情が、かがみの孤城として表現されたのでしょう。
そう思うとボヤっと涙が浮かんでしまいました。