「「きっと”人生の宝物”になる」」かがみの孤城 TCさんの映画レビュー(感想・評価)
「きっと”人生の宝物”になる」
キャッチフレーズのとおり、本当に素晴らしい作品でした!公開からだいぶ経ってしまいましたが鑑賞できてよかったです。
「こころちゃんがわるいんじゃない。だって、こころちゃんは毎日戦っているんでしょ。」喜多嶋先生の優しい言葉に、中盤から早くも涙してしまいました。(宮崎あおいさんの語り方、素晴らしかったです!泣)
心ないひどい言葉や教師を利用したあまりに意地の悪い立ち回り。それを行う真田さんに対して、消えていなくなってほしいと願うこころの気持ちはよくわかります。
ただ、この物語では「ああいう人ってどこに行ってもいるから」(萌さん)、「私も知らないうちに嬉野くんだからいいやって思っていたかも」(こころ)との描写もありました。
たとえ強烈な悪意を持った一人がいなくなったとしても、別の場所で同じことは起こり得るし、気づけば知らないうちに自分も加害者に加担してる可能性すらある、ということを示唆していたように感じます。
(後半心を改めて娘を支えようとしたこころのお母さんでさえ、最初は無意識にこころを苦しめていたりしたのですから。。)
ひょっとしたら、いじめや不登校の原因はこの先もずっとなくならないのかもしれない。
でも、学校に行けない子が悪いのでは、決してない。
いつの時代もあるこの悲しい現実に対して、本作品が出したひとつの答えは、「そっと子どもに寄り添うこと。(決して大人の解釈を押し付けるのではなく。)」ということだったのかなと思います。
エンドロールで流れた「大丈夫、大人になって。」というメッセージは、シンプルながらも包み込むような温かさと未来への希望が感じられ、まさに宝物になるような言葉でした。
自分は思春期を過ぎましたが、娘はまだ小さいです。
この映画で感じたことをずっと忘れないようにしたいと思います。