「頑張った、頑張った。」アイ・アム まきもと せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
頑張った、頑張った。
小さな市役所で働く、身寄りのない遺体を"お見送り"する牧本の最後のひと仕事の話。
イギリスの作品をリメイクらしく、なぜ今リメイクする必要があるか不明な作品が多い中、今作は「孤独死」というテーマだけで充分今の日本でリメイクする必要あるだろうなという納得観。というか邦画高確率で死の匂いがするテーマが入ってくるんだが、どんだけ日本は暗い国なの(笑)
葬儀は遺族のためか亡くなった人のためかという話が途中でてきたのだが、私はやっぱり遺族というか今生きている人達のためのものだと思う。牧本自身は死者のためを思っておみおくりをしていたのだろうけど、その中で故人の人柄と人生を知り、人と交流して、徐々に何かを得ていく。これは身寄りのない牧本自身の終活でもあったんだなと。
死ぬ瞬間1人ぼっちで外だけど、白鳥も見えておばあちゃんから教わった「頑張った」を唱えれば、ほんの少しだけ怖くない。報われないように見える牧本の死だけど、最後の最後の瞬間にはちゃんと報われてる。なので個人的に最後お墓の前に故人達が来るのわざわざなくても良かったかなぁと思った。
葬儀って、ちゃんとたくさんの親族に見送られてても、親族が多ければ多いほど香典返しやら座る位置やら花の位置やら、全く知らない親戚に挨拶するやら、結構会社の業務みたいなとこあって意外とちゃんとおみおくりできてるかは疑問。
昔は家族が皆同じところに住んで、親戚も近所にいたからこの形で良かったのだろうけど、葬儀も時代と共に形式を変える必要あるんでは?と思った。私はもし自分が独り身のまま死んだとして、火葬場まで着いてきてくれるのは親族よりその時に交流が深かった他人が良い。