「赤ちゃんの匂いと紅茶の美味しさ」アイ・アム まきもと ベッラさんの映画レビュー(感想・評価)
赤ちゃんの匂いと紅茶の美味しさ
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まきもとが探し問いかけているのは「生きる」「生きている」という動詞ではなく、「生」。
そこには上も下も良いも悪いもなくて、誰も見ていなくてもそばに誰もいなくても、朝目覚め夜眠りにつくまでにすることが「生」であり死んでしまえば明日の朝は来ない。
彼がセンチメンタルに故人のバックグラウンドを収集しているのではなく、楽しんでいるのが良かった。そしておそらく同じ位に赤ちゃんのゲップの跡の色や匂い、ウェッジウッドでのむ紅茶の美味しさ、白鳥が来る田んぼの美しさを楽しんでいる。
ある意味、誰かの記憶に残っている間はその人は生きていると思う。たしかに私も両親も義両親も含め見送った人も少なくないけれど、ふとした匂いや音など見えないものの中に彼らが蘇る。だからといって誰の記憶にも残らずひとり逝った人達の「生」が消えてしまうとは思わない。たとえば今食べている肉まんの中にあるかもしれないしね。
アイ・アムまきもとという題に、私、「まきもと」を生きた彼が大きな声で高らかに「生」への讃歌を謳っているように感じました。
やっぱり阿部サダヲさんはすごい。
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