彷徨う魂のレビュー・感想・評価
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愛猫を殺された夫婦の苦悩の日々
2017年に実際にあった猫の虐待、斬殺動画配信事件をモチーフに愛猫を殺された夫婦の苦悩の日々を通して、動物の命をあまりにも軽視している警察や司法など動物愛護法の問題点を暴き出した、ある種告発映画ですね。冒頭は刑務所から男が出てくるシーンだから、ああ、やっちまったのねと早くも察しがついてしまうでしょう。
まあ、家族同然のペットを遊び半分で殺された被害者の側に立てば反省の念さえない犯人を憎む気持ちは察せられますが復讐は犯罪ですね。
映画では間をおいて主人公の葛藤を暫く描きます、妻が精神障害を起こしたり、自身も事故を起こしたりと疲弊の末、復讐を思い立つ流れにしています。
本作の前に製作陣はドキュメンタリー「動物愛護法」を作っており、本作はその姉妹篇と有りましたので観てみましたが、ドキュメンタリーでは硬すぎてアピールに欠けると思ったのでしょう、思い切りフィクション、ドラマ仕立てにして訴えています、司法が公正性を欠いたなら歴史が表すように目には目をでありませんが、私的報復の風潮が頭をもたげかねないですよとの指摘でしょうかね・・。
動物はモノじゃない!
美浜ねこの会さん主催の上映会にて、鑑賞しました。
海浜幕張の打瀬公民館です。
猫を虐待死させても執行猶予付き。
その理由は個人情報を晒されたりして十分に社会的制裁を受けているから。動物はモノ扱い。
その犯人を包丁で殺そうとしたら実刑。
猫虐待犯は執行猶予中に子供が生まれ、幸せな生活を謳歌しそうなのに対し、その犯人を包丁で殺そうとした主人公は家族も何もかも失いました。
そのような理不尽な現実を描いていました。
最愛の家族が殺されても、あまりにも軽い日本の法律、動物の愛護及び管理に関する法律第44条が適用されない法律の運用には疑問が多過ぎます。
動物がモノ扱いとなっている、明治時代に制定された古い民法を、一刻も早く改正する事が必須だと思われます。
彷徨う魂とは?猫ではなくて主人公の魂なのかも。
ところで、小坂明子さんの主題歌「あなた」が頭の中でヘビロテしています。
やはり昭和の歌謡曲は素晴らしいです。
動物の命の軽さと司法のおかしさ
私もこの映画のモデルになった事件で、動物虐待の闇の深さに気が付き、問題意識を持った者です。
人間がここまで、抵抗のできない小さい弱い存在に対して残虐非道になれるとは...。
当時、余りの衝撃に必死で署名を集め、その総計が22万筆となったと聞いたのに、蓋を開けた判決は、懲役1年10ケ月、しかも執行猶予付き…。
余りの刑の軽さに愕然としました...。
被害者が動物であること、犯人が初犯であること、前例が無い事?などが理由だったようですが、そんなものを軽く超える程の、稀にみる猟奇残虐連続快楽殺事件ですし、22万筆超えの民意は全く無視の驚き...。
この映画でも、そのおかしさが見事な対比で描きだされており、動物のあまりの命の軽さと、被害者が人間なら、未遂でもその前の経緯を鑑みても即収監で刑執行される重さ...。司法のおかしさ、壊れてゆくささやかな普通の幸せ...。
その悲しさとやるせなさ、行き場のない怒り…、往年の名曲も相まって、号泣のラストシーンでした...。
動物の物扱いのおかしさと、司法のおかしさ、自分よりも弱い者を虐めて快感に浸る異常な輩の存在―。
今までなし崩しにされ闇に葬られていたたくさんの問題に光を当て、白日に晒してくれた凄い映画だと思います。
ただ、見落としていたかもしれませんが、映画中に実際の虐待映像が使われており、その残虐さを伝える為には必要とも思います...が、最初にその旨のテロップが無いと、よく知らずに観た人は心的に病む可能性があると思いました。
観て良かった
家の猫でも野良猫でもこうした被害に遭うことは絶対無いとは言えず、主人公を自分と置き換え悔しさと苦しさに押し潰されそうになりました。
でもみんなが自分のこととして動物虐待問題を考えないと、この国は変えていけないと思います。
配慮によって切り取られた虐待場面が映し出されますが、真実を知ることはそのためには必要であると考えます。
観ると苦しくなりますが、動物の命を大切にしていない日本の法律をもっと変えていくために、多くの方に観て欲しいと思う映画でした。
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