劇場公開日 2022年7月8日

「不器用な者同士の恋を上手く描く一方、予算の関係もあるのかセットが少し残念。ただ、キャスティングはセンスが良い。」モエカレはオレンジ色 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5不器用な者同士の恋を上手く描く一方、予算の関係もあるのかセットが少し残念。ただ、キャスティングはセンスが良い。

2022年7月8日
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本作はまだ連載中のマンガで、通常の映画化作品の中では、まだメジャーな原作とまでは言えなそうです。
タイトルの「オレンジ色」とは、消防士の知識が必要となります。
基本的に消防士は、火事が発生すれば、ホースで水を出して「消火する」ことや、ケガ人がいれば「救急車で運ぶ」ことや、逃げ遅れた人を「救助する」ことが求められます。
そのため、それらの役割に応じて消防士の服は色分けされていることが多く、基本的に、消火する「消防隊」はブルー、救急車で運ぶ「救急隊」はグレー、そして、救助する「特別救助隊」はオレンジ、となっているのです。
本作では、最も難易度の高い❝人命救助事案❞に対応する「特別救助隊」(「レスキュー隊」とも呼ばれます)に所属する先鋭部員たちが描かれているので、「オレンジ色」となるわけです。

冒頭のシーンから、やや唐突感はありますが、「特別救助隊」と女子高生が出会うシーンを作らないといけないため、こういうものだと受け入れることが重要でしょう。
主役はSnow Manの岩本照が映画単独初主演を務め、ヒロイン役をモデルの生見愛瑠が映画初出演となっていますが、「不器用な者同士」という設定なのでこちらも問題ないでしょう。
というより、主演のSnow Manの岩本照は物凄くハマっていました。
実際に見てみれば分かりますが「特別救助隊」を難なくこなせる俳優は非常に限られていて、訓練中に魅せる筋肉や表情など、このキャスティングセンスは抜群だと思いました。
メガホンをとったのは名作「一週間フレンズ。」の村上正典監督なので、もう少し人間模様も丁寧に描けるはずですが、舞台設定が「特別救助隊」と「高校」で登場人物が意外と多い事や97分といった尺の問題があったからなのか、少し急ぎ気味だったように感じました。
そして何より映画オリジナルとなるクライマックスの火災のシーンは、予算の関係か、ややセットに残念感がありました。
とは言え、トータルでは不器用な者同士の恋を上手く描き切れていましたし、最後に流れるテーマソングの「オレンジkiss」も作品のイメージそのもので良かったです。

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細野真宏