「月の様に死んで、そして生まれ変わる」月の満ち欠け bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
月の様に死んで、そして生まれ変わる
第157回直木賞受賞した佐藤正午の同盟小説の映画化。「私は月のように死んで、生まれ変わる」・・・そんな輪廻転生をテーマにした物語。3人の男達と1人の女性・瑠璃を巡る物語として、30年もの時空を超えたファンタジーであり、純愛物語。愛おしい日々が、交錯する中で紡いでいく、愛の奇蹟が描かれていく。
ストーリーの前半は、大泉洋が演じる主人公・小山内堅が、東京で大学生活を送る中で、同郷の梢と知り合い、結婚をし、娘の瑠璃も生まれる幸せな生活のシーンが続く。ちょっとわざとらしい程の幸せシチュエーションと演技に、普通の家族模様としてのリアリティーには欠けていたが、その愛娘の瑠璃が、18歳になった時、母の梢と共に交通事故でこの世を去ってしまう。
もう一つの物語として、その20年ほど前に遡り、三角哲彦は、大学時代のバイト先で知り合った人妻・瑠璃と恋に落ちる。その瑠璃の夫・正木竜之介は、当初の優しさとは裏腹に、瑠璃が、子供ができない体と知ると、咬み合わない夫婦生活の中で、手を挙げるようになり、瑠璃は家を出ることを決意する。その矢先、こちらの瑠璃も、正木から逃げる途中、電車に引かれて命を落とす。
それぞれが愛おしく、大切に思っていた同名の瑠璃が亡くなり、瑠璃もまたこの世に未練を残す中、彷徨った魂は、別の女の子の体を借りて、3人の前に姿を現す。荒唐無稽な物語ではあるが、瑠璃を巡っての時空を超えた、純粋なラブストーリーとして、ラストは感情も揺さぶられた。
小山内役の大泉は、妻子を失くして、希望を失くした哀愁漂う男を演じている。またその妻、柴崎コウも、スクリーンを通して、小山内を心から慕う優しさが滲み出ていた。また、田中圭が珍しく、憎まれ役に徹していたし、伊藤沙莉は、高校生から7歳の子供の母親役を演じていたが、高校生役は、年齢的にもやや無理があったように思う。
そして、何と言っても、有村架純。人妻でありながら、年下の恋人・三角に恋に落ちる葛藤で揺れ動く、大人の女性を演じていた。特に年下の三角役の目黒連を上手くリードする、ミステリアスな人妻役を演じきっていたことに、女優としての確かな成長を感じた。
今晩は。
今作、原作も読んでいたからか分かりませんが、凄く沁みたのですが、多くの方の評価が厳しくって・・。
私は、有村架純さん、大泉洋さんのとても悲しくも素敵な演技に魅了されたので・・。
映画って、観る人によってこんなに感じ方が違うんだと思った作品でした。では。返信は不要ですよ。