「ジノ監督らしく、綺麗で清々しさもある短編だが、物足りなさも。」二つの光 zx800さんの映画レビュー(感想・評価)
ジノ監督らしく、綺麗で清々しさもある短編だが、物足りなさも。
綺麗であり悪意がなく清々しさもある短編。
ホ・ジノ監督作品は比較的好きで見ております。
上映時間が短編とは知らなかったので、これからさらに展開があるのかなと期待していたところで終わってしまい驚きました。
監督の世界観は出ていると思います。
登場人物2人のファンは満足かもしれないです。
2人の美男美女が出たことでこの映画に清々しさを与えています。ただ、どこか綺麗事で現実感が足りない部分があるのも確か。写真やピアノなどより効果的に使う方法があった気がする。
多少なりとも作家性は出ているので、人間の描写は浅過ぎはしないが、やや軽め。
作品として全く浅いわけではないが、良くも悪くも浮かんだこういう話を作りたいなと思っていたものを短編にした自主制作映画の短編の様な印象を受けた。プロであるならば、もう少し俳優の演技や物語や映像の深みが欲しいところ。
ホ・ジノ監督の中でもユ・ヨンギルの映像もあいまって、代表作とも言える【八月のクリスマス】の映画としての密度。
それ以降、『春の日は過ぎゆく』の記憶や音や胸に何か残る感覚。
やや間延びした感もあり、大外的に映画化するような話ではなかったが、何度も見ると登場人物の微妙な心情が垣間見える四月の雪。
それぞれ娯楽映画とは一線を課した魅力はあるが、映画としての完成度はやや落ちている気がする。
最初の2作品を見て、これからの監督作に非常に期待を寄せていた立場としては、今後このような作品ばかりでは少々残念。
それでも、人の温かさがあり、不快な映画ではないので今作を見た人が良い映画だったと思えるならば、それはそれで悪い映画ではないと思いました。