破戒のレビュー・感想・評価
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60年ぶりにリメイクされた見応えのある不朽の名作
現在でも存在すると言われる日本の部落差別をテーマに自分の出自を隠し生きている人々やその周辺で起きる出来事を描く骨太のドラマ
テーマは重いですが、作品全体の雰囲気はそんなに暗くなく、むしろ爽やかな後味の残る秀作で観やすいです
島崎藤村さんの名著の3度目で実に60年ぶりの映画化とのこと
主人公である被差別部落出身の青年 瀬川丑松を間宮祥太朗さんが熱演
見た目が男前でシュッとしてて誠実そうで、且つ出自をひた隠しにして生きているためか常に不安を背負いどこか落ち着かない雰囲気と憂いのある難しい役をしっかり演じており素晴らしかったです
瀬川が惚れる女性 志保役を演じた石井杏奈さんが和装が似合い清楚でとても綺麗です
志保もまた瀬川に思いを寄せますが告げられない、控えめな女性を確かな演技で好演しています
明治後期を描いた映像もノスタルジックで美しい
所々酷い差別描写がありますが、今でも根深く残ると言われる本当にあった日本の歴史、皆が知っておくべきと思いました
名作を損なわない出来栄え
島崎藤村の破戒、中学で受験のために読んだときはあらすじを追っただけで終わってしまったが、大人になって読んだ時、ものすごく衝撃を受けた作品だった。
どの国にも身分制度の歴史はある。日本にももちろんあった。けれど、差別はそれとは根本的にちがうのだと思い知らされる。
この時代の部落民の扱われは壮絶で、でも事実なのだ。
丑松が親友に漏らす心の叫び、そして最後に子供達に語る言葉の一つ一つが心に沁みた。子供達が強い心で差別とは無縁の大人になってくれる、そんな未来を描ける良い映画だった。主演の間宮祥太郎の演技が素晴らしかった。
部落差別問題を扱った重厚な作品。 部落出身であることを堂々と明かし...
部落差別問題を扱った重厚な作品。
部落出身であることを堂々と明かして活動する作家が最高にかっこいい。
一方、出身地を隠しながら教師をする主人公も決して責められない。
部落差別は現代でも存在すると聞いているので、明治時代はまだまだあからさまに行われていたことは想像に難くない。
その中でも希望を持ったエンディングは爽やかだった。
勧善懲悪っぽい。辛口でしょうか。
原作を読んでいないのですが。
多分、人生は複雑です。多層的で、矛盾だらけで、混とんとしている。一部を切り取ると、そこには一定の一貫性はあるのだけれど、それだけでわかったつもりになるのは表面的にすぎない。明治の文学を現代によみがえらせるとしたら、複雑さの味付けが不可欠です。
明治においては藤村は偉大な作家であったろうし、部落差別は重い問題なのだけれど。これは児童向けの映画を見ているような気分になりました。
差別する側にも、される側にも、もっと何かがあっていい。
いつかもう一度、どこかの監督に、大きくアレンジした現代の『破戒』を描いてほしい。分かりにくさの中に、真実のようなものが滲み出してくる、味わい深い『破戒』があるとすればどんな作品になるのか。そんな作品を見てみたい。
ちょっと、欲張りでしょうか。
藤村藤村
昔のお話ということもあり間宮祥太朗さんがどのような演技をするのか楽しみにしていました。しっかり馴染んでいました。変にエロ要素など入れてないので見やすいなと印象がありました。上手く恋模様が描かれていて良かったです。
研修会で鑑賞。でも自腹でも見たい作品。
戒を破るというのは、2つの意味があると友人が教えてくれた。
・僧侶が不倫するという不邪婬。
・自分の出自を明かさず、誰も信用してはいけない、という父親の言いつけを破るということ。
人権問題だとも思われていない時代。穢多という身分だとバレるとどこでも生きていくことができない。それを隠して教員になったものの、バレないかヒヤヒヤしている。
そんなところに神経を使わないといけない現実。これは遠い昔のことではなく、今も根強く残っている。それに対してどう向き合うのかは自分次第。
池の水面に波紋が広がる!!
間宮祥太朗さんが役作りを通して
古い時代に部落差別があったことを
戒め、波紋が広がる、世間に影響を及ぼすことに例えていました。
部落差別がありそれを隠して生きなければ
ならなかった胸の内、教師だった瀬川丑松が
それを子どもたちに打ち明けたときの
面持ち、袴姿の凛とした佇まい、日本の美しい伝統を感じました。
自然豊かな山、水のせせらぎ
観終わった後に、行雲流水のように
淀みのない気持ちになりました。
いい映画でした
キャストがよかったのか古めかしさは感じられませんでした。
でも100年前の差別の実態は本当に厳しいものだったんだと実感。
瀬川先生が
「隠していて申し訳ありません。」
というようなことを子どもたちに謝っていたけれど
先生が謝ることは無くて
隠して生きなければならないような
世の中の間違いこそ申し訳ないことなのにと思いました。
ラストの志保や銀之助,子どもたちに救いや
先生のその後への光を感じました。
シンプルがゆえに物語の深さが沁み入る。日本文学の素晴らしさを再認識させられる作品
島村藤村の名作「破戒」60年ぶりの映画化だったそう。
日本文学と間宮祥太朗さんの組み合わせが眩しいほどに美しく、
間宮祥太朗さんってこういう雰囲気にもピタッとハマるのかと鳥肌が立った。
『部落』という差別問題も含むナイーブな題材ではあるが
時代背景もあって前を向き進んでいく意志の強さや
真っ直ぐに人を想う気持ちは
物や真相のわからない情報に溢れる今と比べて
改めてシンプルであることの直進性の大切さを考えさせられた。
今の日本って自由だとつくづく思う。
ただ自由があるから幸せとは限らないなぁ、とも思った。
苦しみや不条理や我慢があるから、打破や解放の自由をこんなにも感じることが出来る素晴らしさ。そして何より強さ。
真の意味で男も女もない強さが身体の底から炙り出され、
胸が苦しく涙が溢れた。
眞島秀和さんの孤高的存在感が時代背景も含めてさすがで
大東駿介さんの独特な悪色も素晴らしかった。
そしてウーイェイよしたかさんが良きアクセントでした
重厚なテーマではあるが、とても美しく
観終わった後にはどこか清々しく
苦しくも心が強くなる前向きな作品だった。
感動しました
先生から子供たちへの愛と子供たちから先生への愛が伝わってきてとても感動しました
大人が人類平等だと掲げた時代なのに、その大人たちの意識は変わらず残ったまま
仕事、教育、結婚、住む場所…自由に選べない時代とずっと戦っていかなければならない苦しさ
自分の代だけでなく後世まで続くかもしれない恐怖
自分がその立場であったらどう行動できるか考えさせられました
昔の言葉や言い回しがあったので時々『ん?どういう意味だ?(字幕であればわかるかな)』と思うことがありました
最初の懺悔も読めなかったし(笑)
勉強しよう!し続けよう!!と思いました!
日本人の差別意識の特殊性
私は生まれてから小学校6年まで愛媛県、中学から大学まで秋田、就職して横浜、西から北そして真ん中。
この地域と、時間(時代)の違いは、差別意識の格差を生んでいると思っています。
破戒の持つ差別意識は、地域によって、また時代によって違って見えます。
小学生の時に感じた2つの出来事1つは友達を、部落の子だからと、悪口を言ったりいじる子がいた事、私はなぜいじめるのか分からずいじめている子と喧嘩した事。後で部落だからいじめて当然ということに憤慨した事。
もう1つは、父が親戚の人の結婚に、猛反対した事(部落民だから)父がそんな差別をする人間だと思っていなかったのて凄くショックを受けました。友達ならともかく結婚は、血が穢れる事だ。親戚一同が困る。
これらの出来事から私は部落差別について凄く根深い日本人の、差別意識の特殊性を感じるのてす。部落の出身だから、といったところで何も変わったところがある訳では無いのだからそれこそ黙っていたら分からないはずなのです。だから余計に、レッテルを、貼ろうと、貶める言動を取り、それが長い間刷り込まれていくのです。明らかに外見が、違っていたら、そこまで貶める必要のないやり方で…
元々日本人は、島国なので江戸時代の長い鎖国政策から純血ということにこだわる所が、あり、それと身分制度が、もたらした差別意識が憎悪を伴いながら刷り込まれて行ったものです。これは今でも苗字で分かるなどと、YouTubeに、出ています。
地域にも格差が、あります。中学生の時に友達が、うちの部落は遠いから。と平気で話してので、私はびっくりした事を、思い出しましす。時代の流れにも意識の格差を、感じます。ただ私は差別意識後進国であるこの国は、長い間刷り込まれた部落差別の根深さの特殊性だと感じるのです。
長くなりましたが、この映画を、制作した皆様に有難うとお礼を言いたいです。
人間は愚かではない。弱いんだ。
映画中も、映画が終わった後も、いろいろと考えさせられた。差別とは何か、教育とはなにか、人が正しく(優しく?)生きていくためにはどうすれば良いのか。
役者さんたちの演技も、子どもたちの演技も、とても良かった。重いテーマだけど、不思議と見終わった後はなんか前向きな気持ちにもなれる映画。
ストーリーとは直接関係ないけど、120年前くらいの日本、少ない荷物で質素に生きていける世の中だったんだなあ、と。今の日本は物資的にも豊かになり過ぎたなぁ、なんて思いつつ‥。
王道な素晴らしさ
原作も木下版映画も観ていないが、素晴らしい。観にきている人は年配の方が多かった。若い人が観ても楽しめるのに。部落問題を社会問題の一つとして相対化させることを許さない厳しい態度は、あらゆる社会問題が連帯を呼び掛けている今の運動トレンドから考えると珍しいし、水平社創立百周年記念の映画としての意義もすばらしい。告白する彼を生徒が後ろに向くシーンが印象的。このサイトや他のサイトでも評価は高いけれど、それがかえって団体が動員しているように思えてしまのかもしれない。もっと見てもらいたい。
間宮祥太朗さんの演技! 本年度ベスト作!
個人的に主演男優賞を差し上げたい作品。
特に男泣きのシーンが凄い。
もらい泣きしてしまいました(笑)
石井杏奈さん目当てだったけど、間宮祥太朗さんの演技に圧倒。
被差別部落(穢多)で生まれ育った瀬川(間宮祥太朗さん)。
その素性を隠し、小学校の教師として働くストーリー。
思想家の猪子を崇拝する瀬川。
猪子は穢多と言う事を隠さずに生きて行く姿に瀬川の心が揺らぐ展開が観ていて辛い。
猪子を演じたのは眞島秀和さん。
迫力のある演技が凄い。
石井杏奈さんは、その存在だけで大満足。
なかなか良かったのは瀬川の友人の教師、銀之助を演じた⽮本悠⾺さん。素で演技している感じでとても良い人!
小学生の生徒の皆さんの演技も素晴らしい。
クラスの生徒は25人なんだけど、ラストのシーンは10人位で少な目なのが気になるところ(笑)
島崎藤村さんの原作は読んで無いけど映画化された事に感謝です。
どなたかに本作の続編を是非作って頂きたいです( ´∀`)
正義の魂を継承する
2022年劇場鑑賞56本目 優秀作 71点
当初鑑賞予定ではなかったけど、当サイトにて高評価を受け鑑賞。
どうやら数年ぶりのリメイクみたいですが、長らく愛され続けた本なだけあって、よくできていました。
当方教員志望なので、主演の間宮くんの表情とか涙とか、まるで等身大のように感情移入して心を揺らがしてきたのを覚えています。
今の時代の生きづらさもあるけど、この時代の生きづらさの方がよっぽだと思うから、この時代この環境に生まれてこれたことを感謝しながら、感情を持って誰かに何かを残したり、変えたり、元のレールに戻せるような教員になりたいなあと、今作を通して思いました。
是非。
若者世代は見るべき
ジャニタレ映画や戦隊モノ、或はアニメ専門の東映が珍しく文芸作品をやってるわと期待はせずに入館したが、
かなり被差別部落のこと突っ込んで描いていた。
私の小さい頃はまだまだ同和地域の話や差別が横行している時代でした。
学生運動の大きなテーマでもありました。結婚就職就業と差別問題は人間関係の奥深いところで日本人の最も卑しい心を知らしめていたと思います。
この中世の身分社会を未だどこかで引きずっている現実を今の若者世代はもっと勉強してほしいと感じさせられて映画でした。
よく映画製作費をケチな東映が出したなあとエンドロールを見ていたらか「水平社100周年」という制作主体が表示されて納得。
差別する側の心をもっと掘り下げてほしかったなと思いつつ、○でしょう。
タイトルなし
最近「私のはなし 部落の話」を見たのでこちらも見ない訳には如何でしょう、水平社100年とのことで…と言いつつ原作は未読 島崎藤村が社会主義寄りな作品著しているとは意外でした 破戒って戒めを破るということなんですね 間宮祥太朗の清廉(これまた意外)な姿が感動的でした しかも演技上手い、見直した
先に触れた映画でも、何ら根拠の無い差別なのに、お付き合いする人に自身の出自を告げるべきか同様に悩んでおられました 明治維新→帝国主義→敗戦で民主主義と世の中変遷しても、差別(意識)も戦争も中々無くならないですね 区別して優越感持つのが人間の本質なのかと思うと悲しくなったけれども希望有るエンディング
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