「「怖くない」、これが貞子の狙いだとしたら」貞子DX サイレンスさんの映画レビュー(感想・評価)
「怖くない」、これが貞子の狙いだとしたら
他のレビューにも書いてますし、
なんなら公式の予告編で普通に言っている事ですが、
一言でいうと「怖くない」です。
これは「リング」を好きな人がその続編として見ると低評価なのでしょう。
「貞子はコメディ路線に走った」
「あれはもうリングの貞子ではない」という方もいるのでしょうね。
ただ個人的には割と好きです。
「リングの系譜」「ホラー」として見なければ好きな展開でした。
途中で「これどうやって締めるんだ?」と思いましたが、少なくともこの映画なりに答えを出していたので良かったですし、
ラストのオチも某ゾンビ映画のラストを彷彿とさせるような感じで好きです。
念を押しますがホラーとして見ない事をお薦めします。
ただちょこちょこ入るギャグが面白くなかったり、大きな効果音だけでビックリさせる回数が多かったので、そこは考え物です。
でもまぁそこ含めて、子供やホラーが苦手な人でも割と見られるくらいに怖くないので、学生や親子でも楽しめるのではないでしょうか。
さて、
そんな誰でも見られるようになった「貞子」という存在。
先にも書いたように、ホラーファンの中にはガッカリしている方もいる事でしょう。
しかし、もはや「リング」は20年以上も前の作品。
今の若者にとってはそれなりに映画やホラーが好きで自分から進んで見る人でもない限り、「貞子」という存在をちゃんと知ってる人も少なくなっている事でしょう。
そんな現代に公開された「貞子DX」という作品。ほとんど怖くなく、とてもとっつきやすいこの作品を観に行った若者やホラーが苦手な人も多いのではないでしょうか。
私が入った映画館にも若者やカップルがそれなりに観に来ていました。
これは今さらネタバレにもならないと思うので言いますが、貞子の目的は「増殖すること」、つまり多くの人が「貞子」という存在を認知し、貞子を「観る」事です。
「今まで貞子をよく知らなかった人間が貞子を知り、観る」。これも貞子の目的だとしたら。
YouTubeもそうですが、
あえて「怖くない貞子」を作りだす事で現代を生きる若者たち、今まで怖くてみようとしなかったホラーが苦手な人たちにも貞子の存在を植え付ける。
そういった意味で考えると、貞子の目的は実は達成されているのかもしれません。
今作で油断させておいて次回作あたりでガチガチのホラー出してきたら最高だなぁ、とか思いました。