劇場公開日 2022年4月15日

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「呼吸と循環」杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦 osincoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0呼吸と循環

2022年6月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

風の目線で見て、
風が通り抜けられるように
枝や葉を切り込んでいく。

すると、木々はしっかりと根を張り自立する。

土に水が流れるように、
水はけを良くしてあげる。

すると、大地が呼吸する。

・・・

人の体で目指してることとまったく同じ。

呼吸と循環が健全の要。

呼吸が浅くなる要因はそこら中にありますし、時に呼吸を浅くするのは、体の防御にもなりますが、守りすぎて固まると不具合が出てきます。

現代医療も薬の処方も、コンクリで固めたり、ダムを作ったり、といった整備に近いです。

経済も同じく、どこかに集中すると、どこかが破綻し崩壊してしまう。

呼吸と循環がスムーズに行われたら、
代謝が起こり、自然のサイクルが回り出します。

矢野氏の手が入ると、木々達の間に空気が流れだし、スコップ一つで土を掻いていくと、溜まった水はぐんぐん地中へと流れ込んでいきます。まるで水脈が見えているかのように。ユンボの動きですらベテラン治療家と重なりました。

コンクリートも悪者扱いせず、穴を開けたり、組み直したりすることで、大きな岩のような役割を持たせていたのが印象的でした。

"杜"の意味も納得。

矢野さんに惚れ込んで映画デビューしたという監督さんの熱意に感服です。
どうしても、関心の高い人しか観られないテーマでありますが、良質なドキュメンタリーでした。

osinco