「隠蔽体質」グッド・ナース 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
隠蔽体質
ネタバレを含む。
人からどんな反応が得られるかを見たり感じたりするためだけに罪を犯すシリアルキラーがいる。愉快かどうかはともかく、愉快犯とも称される。
チャーリー(エディ・レッドメイン)は謂わば緊急蘇生(コードブルー)に偏執するシリアルキラー。(──なのだろうか。けっきょく動機はあかされなかったが。)
点滴にインスリンやジゴキシンを混入させ、容体を悪化させる手口で患者を死に至らしめてきた。
にもかかわらず、医療事故を公表したくない病院に隠蔽され、チャーリーは職場を転々としながらも密かなシリアルキラーを続けることができた。
──実話にもとづいた話を、同僚看護師のエイミー(ジェシカ・チャステイン)の視点で描いている。
エイミーはシングルマザー、ふたりの子持ちで胸に心筋梗塞の爆弾をかかえている。
さいしょチャーリーは人のいい、頼りがいのある男に感じられ、ふたりはすぐに意気投合する。が、いったん嫌疑がかかるとひたすら怪しい。
無害にも狂気にも見える──たしかにこんな役はエディ・レッドメインにしかできなかっただろう。
心筋症をかかえたエイミーがおとり捜査に協力する構成が、はらはらどきどきを加速させる。脚色が大きいのかもしれないが、実話らしからぬサスペンスがあった。
終局のテロップも衝撃的だった。
『死刑判決を避けるためチャールズカレンは29件の殺人を認めた。じっさいの被害者は400人に上ると思われる。・・・。』
映画は病院の隠蔽体質に対しても責任追及をしている。結果的に殺人癖のある看護師をたらいまわしにしてきたからだ。
とはいえ「なぜ、そんなことを?」に尽きる。わたしたちが日々、ニュースに接するたびに問いかける言葉でもあるが・・・。