ナイブズ・アウト グラス・オニオンのレビュー・感想・評価
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【”モナリザと共に・・”ナカナカ面白い、クローズド・サークル・マーダーミステリー。第一作と比べると、どちらが面白く感じるかは、貴方次第である。私は(以下、自粛)】
ー 一見、重厚なミステリーと思わせておきながら、随所にコミカルさを塗したライアン・ジョンソン監督の遊び心ある、クローズド・サークル・マーダーミステリーー
◆感想
・名探偵、ブノワ・ブランを演じるダニエル・グレイグの軽みを微妙に塗した探偵ぶりや、エドワード・ノートン演じる科学者で大富豪だが、実は中身のない軽い男、マイルズ・ブロン。
ー 絶妙な、キャスティングである。-
・孤島に集められた”破壊者たち”の偽りと真実を抱えた姿。
・なによりも、マイルズ・ブロンの島の豪奢な別荘の仕様がお金が掛かって居そうで、ゴージャス感満載である。
・マイルズ・ブロンのビジネスパートナーだった、アンディ(ジャネール・モネイ)が実は双子で、実際に島に来たのは、ヘレンだったという設定なども面白きかな。
ー やや、ありがちだが・・。-
<一見、複雑なクローズド・サークル・マーダーミステリーと思わせておきながら、実はシンプルなミステリー映画である。
今作、ヤッパリ、映画館で観たかったかな・・。>
そして誰もいなくなった
こんな探偵ミステリーが見たかった!…と心底堪能させてくれた新たなる名探偵ブノワ・ブランと、彼が解決した難事件『ナイブズ・アウト/刃の館の秘密』。
前作で「Netflixからオファーがあった」なんて台詞があったが、奇遇かそれを見越していたか、熾烈な続編権争奪戦を勝ち取ったのは、Netflix。続編2本で4億ドル以上という破格のオファー額で。
世界中で大ヒットしたエンタメ・ミステリーの待望の続編が配信でしか見られない事に疑問や不満の声が上がっているのも分かる。今回もすでに高評価を獲得し、劇場公開されたら大ヒットしていたであろう。
しかし個人的に、この作品を“今”見れた事が有難い。
と言うのも私、遂にコロナに感染してしまって…。12月29日まで自宅療養。
今年の劇場鑑賞は先日の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』でラストで、そもそも外出も出来ず、レンタル店にも行けない。後何本か見たいのあるのに…。
そんな時こそ、配信。暇を持て余しそうな一週間のコロナ療養時に、待ちに待っていた本作!
この12月、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』より楽しみにしていた作品かもしれない。
病院から薬を貰って、発熱・悪寒・だるさもだいぶ落ち着き、さあ再び極上ミステリーの世界へ。
前作は著名な名家の屋敷で起きた遺産相続絡む、横溝ミステリーをも彷彿させるTHE王道ミステリー。
ハリウッド作品でありながら、アガサ・クリスティーへのオマージュと本格英国ミステリーの味わいもたっぷり。
現代が舞台だったが、クラシックな雰囲気漂う。
今回は前作以上に“現代感”が出ている。と言うより、“現在”。
マスクを付け、リモートで顔を合わせ…。
ブランもホームステイ中。リモートで友人たち(“名探偵”アンジェラ・ランズベリー他カメオ出演の大物たち!)とゲームに興じるが、冴えない。
古今東西の名探偵然り。不謹慎な言い方だが、名探偵は難事件があって生き生きとする。
事件が無くしかもホームステイ中の名探偵は廃人同然。
ずっと風呂に浸かったまま、アルコールを飲み、ゲーム三昧…。引き籠りか!
そんなブランの探偵魂が再びたぎる“招待状”が…。
IT億万長者のマイルズ。
ゲームやミステリー好きで、所有するプライベート・アイランドで“マーダー・ミステリー・パーティー”を開催。
自身が殺され役となり、招待客の誰かが犯人。模擬殺人ミステリー。
からくり仕掛けの招待状を解き(ブランにとっては子供のおもちゃ)、招待されたのは…
クレア。州知事。
ライオネル。マイルズの部下の科学者。
バーディ。元スーパーモデルのファッション・デザイナー。(アシスタントのペグも)
デューク。Twitchの人気者。(恋人でアシスタントのウィスキーも)
彼らは正式な“招待客”。実はブランは招待客じゃない。マイルズ曰く、そもそも招待状を送っていない。
誰が、何の為に、ブランに招待状を送った…?
招かれざる客がもう一人。…いや、正確には招待状は送ったが、来るとは思っていなかった。
アンディ。マイルズの元ビジネス・パートナー。
マイルズとアンディの間には、何かあり。
招待客皆、マイルズと訳あり。マイルズに恨みを持っていたり、彼に助力して貰ったり、彼のお陰でおこぼれに与ったり…。
周囲を海に囲まれた孤島。外界と完全に切り離された“密室”。
前作も王道ミステリーの設定だったが、今回もまた王道中の王道設定。
訳あり、一癖二癖ある人物たち。
様々な思惑が交錯する。
マイルズが殺され役となり、さあ、舞台が整った…!
KYなんだか探偵の血が騒いだのか、ゲーム開始前にミステリーと犯人を暴いてしまうブラン。
マイルズはこの日の為に、各業界の大物に協力して貰って、大金も注ぎ込んで、たっぷり謎解きに数日要すると自信満々だったが…、
それをブランはゲーム開始前に、あっさりと。
さすがにおかんむりのマイルズ。金持ちのお遊びとは言え、まあそりゃそうだ。
マイルズは一見人生の成功者だが、孤独や苦悩を抱えている。成功の為に失ったもの、寄ってくる者は金づる目当て。
億万長者の戯言か、本音か。
何はともあれ、良くも悪くも、何事も起きなかった。
これがリアルだったら安心する所だが、“映画”としては肩透かし。何か起きてこそ、いよいよ始まる。
そう。“本番”はこれから。
“殺人ゲーム”が本当の“殺人事件”に…。
殺されたのは、デューク。しかも、皆の前で。
飲み物に何か毒物でも入れられたのか、痙攣を起こし死亡。そのグラスは、マイルズのものだった。
デュークが間違って…? つまり、誰かがマイルズの命を狙っている…?
動機は皆に充分にある。
“殺人ゲーム”の一環で、島中が停電に。その暗闇の中、第二の殺人。
アンディ。
しかし、アンディが殺される理由は…?
実は、ある。そもそも“事件”は、皆がこの島に来る前から始まっていたのだ。
ブランも招かれざる客ではなかった。
“アンディ殺し”の犯人を探す為、ある人物から雇われていたのだ…。
マイルズと、クレア、ライオネル、バーディ、デューク。
今彼らは常識をぶち破った“破壊者”として各々名声や成功を手にしているが、ほんの数年前までは挫折中の若者たちであった。
そんな彼らに可能性を見出だし、道を切り拓かせたのが、アンディ。実業家として手腕を振るっていた。
皆の友情の始まり、思い出のバー“グラス・オニオン”。そしてアンディがアイデアを書き記したナプキン。
最初は友情で結ばれていた。が、今の地位に酔いしれると、友情より欲の方が勝ってくる。
マイルズはある燃料への投資に躍進。それに反対するアンディ。その燃料は使われたら、各家庭で“ヒンデンブルク”を起こす危険性がある。
ビジネス・パートナーを解消。裁判で争う事になるも、他の4人はマイルズ側に。
恩を仇で返され…。
これで引き下がったりしないアンディ。“秘密の封筒”を暴露すると、皆にメール送信。
その直後、死体となって発見され…。
アンディの死はまだ公にされていない。知っているのは犯人と、依頼されたブランと、依頼主。
ブランに依頼したのは、アンディの双子の妹、ヘレン。
ブランとヘレン。実は裏で結託していた二人の作戦。
ブランは招かれざる客として、ヘレンも“アンディ”として島へ。
ブランの奇人変人な言動で皆を煙に巻く中、ヘレンが探りを入れる。
姉を殺したのは、“破壊者”と豪語する“バカ頭”ども。
そもそもの発端の殺人。そして島で起きた殺人。
絶対、犯人と真相を暴き出す…!
昨年惜しまれつつスパイから卒業したが、この探偵だけでも暫くは安泰。シリーズ3作目までとその高額ギャラもあるが、でもそれ以上に、ダニエル・クレイグの新たな当たり役である事は前作から一目瞭然。完全に役を自分のものにし、そのハマりぶりは勿論、スパイの時とは違うコミカルさやユーモアを大変楽しそうに演じているのが分かる。
今回ダニエル以外皆、新キャスト。
いけ好かないエドワード・ノートンを始め、セレブを謳歌するケイト・ハドソンや今の時代に皮肉的な男尊女卑のデイヴ・バウティスタらクセ者を演じる。
中でもジャネール・モネイが一人二役を巧演。キーとなる人物で、前作で言うとアナ・デ・アルマスの立ち位置。
前作で名ミステリーを魅せてくれたライアン・ジョンソン。
続編ともなると前作超えのプレッシャーを課せられるが、前作とはまた違う引き出しに唸った!
前作は言わば、王道ミステリー。今回は一見そうでありながら、定石を覆す。作品に掛けて言うなら、壊す。
“密室孤島”の場合、犯人に追い詰められていくのが大抵だが、ブランやヘレンが犯人を追い詰めていく。
しかしその犯人もかなりの面の皮の厚さ。追い詰めようとも、動じない。皆の前で堂々と証拠を消そうとする。
複雑に入り組んで見えて、実際は非常に単純なもの。
思い込みと派手なパフォーマンスに騙される。
犯人は、天才的なバカ。…いや、ただのバカだ。
本当に犯人も単純過ぎる人物だが、そのクズっぷりは秀でるほど。
だからこそ、最後の最後、遂にギャフン!…と言わせた時の痛快さ。
恩を仇で返し、そして誰もいなくなった。
自分が恩人にした事が、皮肉にも自分へのしっぺ返しとなった。
前作は古き良き英国ミステリーのオマージュに溢れていたが、今回はより自由自在、オリジナル色が出ていた。
今回もたっぷりと堪能。完全に地位を築いた“ライアン・ジョンソン・ミステリー”と言っていい。
3作目も楽しみ。次のミステリーは…?
屋敷内の遺産相続殺人、孤島の殺人…またまた王道で来るとすれば、船とか列車とか乗り物系かな…?
何にせよ、名探偵ブノワ・ブラン、次回作でまたお会いしましょう!
スカッとはしない
名探偵ブノワ・ブラン
今回、ブラン(ダニエル・クレイグ)は双子の姉を殺された妹(ジャネール・モネイ)から、犯人を見つけてほしいと頼まれる。
そして怪しい大富豪(エドワード・ノートン)から招待された、ミステリーゲームに参加する。
果して大富豪に勝てるのか、となるが、活躍が不足気味なのが残念。
王道なのにありがちではない
小ネタが👍
ダニエルグレイク演じる名探偵第二弾。
前回は古典的な展開だけどしっかり作り込まれてて面白かったのに対して、今回は斬新だけどちょっと雑な感じが。。。
いや、面白かったんだけどね。
ジェレミーレナーのホットソース、めっちゃ欲しい!小ネタが最高でした🤣
"破壊"
ライアン・ジョンソン×テクノロジー=ネット民の次は、内実は薄っぺらいくせに自分はオニオンみたいに何層にもなった複雑な人間だと思い上がってはまるで自分が固定観念をブッ潰す"破壊者"ぶってる連中をネタにこき下ろす?
何があったか見たろ?往年ミステリー作品の形式に倣いながらも、あくまで中身は現代らしい要素で構築されていて、ミステリー"謎解き"それ自体が必ずしも肝心ではないところがいい。そのことであれこれと露呈しブツかり合う人間の滑稽さこそ醍醐味。金持ちのゲームに振り回されるクソ頭たちを見てご満悦な私たち。この復讐劇、お見事!主人公が男キャラということもあるかもしれないけど、前作の嘘をつくと吐いちゃうアナデアルマスの次は酒を飲むと大活躍する女性キャラ?! それによって見え方の変わる後半。温故知新で物申す本シリーズを見ていると、ライアン・ジョンソンが自分に似て、モノの見方曲がってそうだなと思えて勝手に親近感。
"内満たし"てくれるもの、それは極めて退屈な明白さの裏に隠れている。舞台はコロナ禍当初の2020年5月、ロックダウン最中。観察力に富み、ウェス・アンダーソン的ファッションを好むブラン in ブロン?ジェームズ・ボンドをやり遂げ有終の美を飾ったダニエル・クレイグの次なるシリーズ。頭がすごく良いかはさておき、時事ネタも交えた小粋なセリフのやり取り・掛け合いから映画ファンが熱狂するような気の利いた"謎解き"を今日撮らせたら右に出る者はいないライアン・ジョンソン監督オリジナルシリーズ待望の2作目。なのにもうフォーマットができてきているかのような安定感。成功した前作と同じ作りをなぞりながらも、やっぱり真実は眼の前にある。時間はかからない、あっという間にその面白さに魅せられる。
今度は招待されて"集められた〜"モノ。メソッド俳優エドワード・ノートン演じる大富豪マイルズ・ブロンの金の乳房をくわえている有名人たち。彼に名前を出されるセレブリティは同じくメソッド俳優でやり過ぎ伝説残しているジャレッド・レト、本当は同じくMCUで活躍していたかもしれないジェレミー・レナー、そしてサスペンス/ミステリーと言ったらこの人なギリアン・フリン。最後はスカッとする!腕をクロスさせて中指突き立てるの流行りそう。モナリザのように皆が話題にするようなことに関わりたい不滅の精神は、作品を彩る名曲たちとして出ているわけだけど、まさか最後に本当に"グラス・オニオン"で終わるなんてね、粋だ。
友人、破壊者
This is a smokeless garden.
P.S. サプライズ・イーサン・ホークにヒュー・グラントも
胡散臭い奴らへの一撃 ぶっ壊せー
言葉を大切に使い芸術を謙虚な思いで愛し良識を持つ人達が、金と名声とチヤホヤに絡みとられた成り上がりにくだす一撃。この映画、安っぽそうな出だしでどうなるんだろう、と心配しましたが大丈夫でした。ダニエル・クレイグ演じる探偵ブノワは知的でありながら前作より軽やかな雰囲気で楽しかった。アンディ役のジャネール・モネイ素敵ですごく上手い!
「ウォーホール、マティス、モンドリアン、マネ、リヒター、リキテンシュタイン、ダリ、アルプ、モナリザなどの作品」と音楽がとても上手く使われていました。愚鈍で保身しか頭にない人達を皆さん素晴らしく演じてました。本物のヨーヨーマがバッハの小フーガについて語るシーンが何気なくあってびっくり!美しい海、邸宅、衣装含めて映画館で見たかったなあ。縞縞男!2回見て玉ねぎの意味をよく味わえました。
おまけ
3回目鑑賞の今日(2023.1.8.)は、バッハと玉ねぎそれぞれのテーマが追いかけ追い越し戯れる様子を映像と台詞と音楽で楽しめました。言葉誤用と事実誤認だらけの(内満たす?確定した?造反点?イオニア海?)お馬鹿マイルズ、ノートン適役!よくできているいい映画だと思います。タイトルは邦題も「グラス・オニオン」だけにして前作とは分けた方がすっきりして美しい。とにかく映画館でやってくれぃ!
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