ナイブズ・アウト グラス・オニオンのレビュー・感想・評価
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正月映画にふさわしい
こういうのを「伏線回収」と言っていいのかは微妙な気がするけど『カメラを止めるな!』的な、前半に散らばった違和感が後半(それも結構早い段階で始まる)どんどんつながって意味を持っていく感覚がとても楽しい。
ワクワクする感じはおそらく1作目よりも大きいし、観客もしっかり騙してくれる。
あまり重くならないこういう映画って、正月にピッタリだなぁ、とあらためて感じた。
敗北
試合に負けて死合に勝つような事かな。
前作に引き続き手玉にとってくれる。
ミステリーを読み漁った読者層がターゲットのような内容にニヤリとしてしまう。
最初からいる同居人の存在をそれなりに引きずってしまう。冒頭「無視してくれて構わない」と断言されてるにも関わらず、だ。
そして、彼は全く関係なかった。
観客の興味を散らす為だけに存在してた。
やはり中々に手が込んでいて…その構成もそうなんだけど、特出すべきは冒頭の引力か。
瞬く間に取り込まれる。
勿論、優秀な舞台装置やマテリアルのおかげではあるけれど、こうも引き込まれるものなのかと見終わった後に気づく。ラストまでアッという間だった。
かの名探偵は今回もあまり捜査をしない。
が、その切れ者の一面を遺憾なく発揮する。主賓が用意したトリックを数秒で言い当てる。気持ち良かった。
そして、第一の殺人が起こる。
コレは結構大胆な描写だった。
なんとなくのフォローはあるものの、誰の犯行かは検討がつくのだ。記憶の改竄や誘導になるのだろうな。実際あの場にいたのならとても有効な手法だと思う。
別にシリアスな事ばかりやってるわけでもなく、随所にユーモアも挿入される。なのだが、コレほぼほぼシュチュエーション的な笑いなので、全く物語を邪魔しない。どころか人物に厚みを付与してくれてる。
キャラとシュチュを踏まえた演出に好感度大だ。
種明かしになり「グラスオニオン」の意味がやっと分かる。確かにそうなのだ。
全てのパーツが彼を示してる。
そして1番被害を被るのも彼だ。
その事象を巧みに隠しミスリードの嵐が吹き荒れる。そんな大海原で迷う事なく灯台を目指す一隻の船。それこそが世界一の名探偵と呼ばれる彼だった。
彼にしてみれば盛大な茶番もいいとこなのだろう。
謎解きに際し、あろう事か彼は怒ってたw
正直、007のグレイグも好きだけど、名探偵のグレイグの方が好きだ。いきいきしてるように見える。
結局のところ、彼の推理は尽く当たるも、犯人を詰めるには至らず、冒頭の一言が浮かぶ。
まぁ、とはいえ、司法さえも薙ぎ倒せる犯人なので、彼と彼女の選択は最善だとも思う。
用意されたものは全て、その役割を完膚なきまでに果たす。
ラストカットのモナリザ風ショット。
だいぶ含みのあるカットではあるけれど、遊び心の表れなのかなぁと、最後の最後まで煙に巻かれる。
このシリーズが好きなのは、どこか品格を感じるからだ。ミステリーを嗜む時間としては大前提のモノがちゃんと用意されてるように思う。
ミステリー小説を手に持ちページを一枚づつめくる環境に必須なのは、まずは静けさではなかろうか?小説を読むのに欠かせないのは心の余裕だろうか?
なんか、そんなモノを想起させ、提供してくれてるようにも思う。
南国逃避型
(ややネタバレあり)
招待状、孤島、億万長者、謎かけ、すねに疵持つ者たち。
アガサクリスティみたいなフーダニットになっていて、じっさい原案を書いたライアンジョンソン監督もエルキュールポアロと地中海殺人事件などの「南国逃避殺人ミステリー映画」から発案した──と語っていた。(byWiki情報)
また、映画のタイトルGlass Onionをつけるにあたって、ジョンソン監督はありふれた風景の中に隠されているものとしてガラスを選び、ガラスが使われている曲をスマホで探した結果ビートルズのGlass Onionにたどりついた──とのこと。(byWiki情報)
なんか衝動的発想から、そらおそろしいものをつくっちまうんですねえあっちの人たちは・・・。
パーティ出席者役でヨーヨーマ。乗船者の咽喉に殺菌噴射するだけの役でイーサンホーク。悪友たちが島に着くとマイルズ(ノートン)がマッカートニーのギターでブラックバードを弾いている。ブオンという独特な時報はフィリップグラスの作曲。ボストンダイナミクスのBigDogみたいなのが荷物を運び、プールサイドにはジャレットレト監修の「ハード・コンブチャ」が大量に冷えていて、屋上には乗るあてもないポルシェスパイダーが展示され、壁には休館中のルーブルから寸借したモナリザ、オードブルにはジェレミーレナーラベルのホットペッパー、狂言殺人の筋書きはギリアンフリンに依頼してある・・・。
神は細部に宿るという言葉があるが前作ナイヴズアウトに勝るとも劣らない怒濤の細部。それらがすべて伏線として稼働・回収される緻密さ。に加えて惜しみない予算。南国気配、豪奢な調度と建造物、画の隅々一個のライターに至るまで、みみっちい見ばえor中が空洞のようなものは一つもない。に加えて不測の展開。回想でスリリングに明かされる意外な真実。に加えて数多の有名人のカメオ出演。・・・。
むかしとはいえよくもまあこんな映画つくる人たちとせんそうやったもんだ。
骨格は古典的な推理ミステリー。美しい舞台と饒舌な新時代人。──を用いてライアンジョンソン監督がカリカチュアしているのは今日的なインフルエンサー的生き方の形骸性についてだろう。
たとえばFilmarksやnoteで言うなら100本の映画レビューを1日1本づつ100日かけてしっかり書くよりも、10分間で1,000人のめくらフォローをするほうがSNS上のポピュラリティを稼ぐには効果的だ。形骸性とは(たとえば)そういうこと。
登場人物はみな泡沫的な素姓に支えられている一発屋たち。
モデルからデザイナーに転じたバーディー、醜聞と舌禍を怖れる州知事のクレア、Twitchストリーマーのデューク、アルファ社の主任ライオネル、アンディからアルファ社を乗っ取ったマイルズ。
気勢のようなもので稼げる時代。常用される炎上マーケティング。脆い立脚点にびくびくしながら、保身のためにオルグであるアンディを裏切る。
じっさいに、わたしたちはかれらのように不誠実な人物像を常日頃YouTuber政治家業界人経済人タレント・・・有象無象の有名人のなかに見ているはずだ。
『思いつきの発言を真実だと思うのは危険です。』byブノワブラン(クレイグ)
すなわち映画が隠喩しているのは今日的な著名人の傲慢についてだろう。
WikipediaによるとPoliticoの記者は映画を『遍在するイーロン・マスク、ドナルド・トランプ、ジェフ・ベゾスと共に生きる我々全員への寓話』と評したそうだ。笑。
映画の登場人物と筋書きは、現代社会のカリスマたちになぞらえられ、謂わば揶揄と共有が同時にできる風刺画になっていた。
なお映画はリモート画面にカメオ出演していたアンジェラランズベリーとスティーブンソンドハイムに捧げられている。ふたりとも公開前に亡くなった。
また情報によるとNetflixはさらに1本のKnives Out映画権を有し、ジョンソンはすでに3作目を書き始めているそうだ。
アンサンブルキャストの中でじぶん的にひときわだったのはJanelle Monáe。チョコレートのビロードのような照り肌!ガトーショコラかトフィかカラメルか、甘くて濃厚な食べ物に見えてしまう魅力的なひとだった。
とはいえ絵が燃やされるのは同意できず、その蛮行をマイナス0.5としたw。
──
ところで冒頭、宅配便を玄関先で受け取るとき、マスクをしていなかったKathryn Hahnが思わず服の襟首で口を覆う。
新型コロナウイルス禍。
Glass Onion: A Knives Out Mysteryでは、パンデミックという時事現象が、とくに概説されずに背景になっている。
将来、これが過去の仕草に変わるだろうか?
不可解な風習だと思える時がくるだろうか?
未来のGlass Onion: A Knives Out Mysteryのレビューで、あのころはみんなマスク付けてたんだぞ──ってヤフコメ民風マウントをとれる時代がやってくるのだろうか?
いけ好かないセレブを痛快にパロってみました
前作のテイストとはガラッと変わり、いけ好かないセレブ達が集うエーゲ海の孤島が舞台。イーロン・マスクをパロったエドワード・ノートンのクズっぷりが面白い。
ビッグ・テック企業で巨万の富を築いたマイルズが、コロナ禍の退屈しのぎのために友人たちをパーティに呼ぶのだが、なぜか名探偵ブノワ・ブランも招待されている。
徐々に明かされていくブランが招待された理由と、マイルズがもたらす蜜に群がる取り巻き達の悲喜こもごものドラマが繋がっていって痛快なラストへ。
『ホワイト・ノイズ』や『ほの蒼き瞳』は劇場公開だったのに、『ナイブズ・アウト: グラスオニオン』は劇場公開なしなんて残念。一番これが劇場で見たかったのに。
最初の設定と最後のあれ、物語全体に塗された社会風刺は映画「ザ・メニ...
最初の設定と最後のあれ、物語全体に塗された社会風刺は映画「ザ・メニュー」にも通じるものを感じる。
怒りに満ちたジャネールモネイが打ち上げる、反撃の狼煙。
自分が主役として振る舞うのではなく、被害者に寄り添い、あくまでも裁きは本人に委ねる、ブノワ・ブランの引きの美学。
エドワードノートン演じるIT業界の大富豪の、沽券のためだけに環境問題を都合良く利用する、見かけ倒しの浅ましさ。
悪戯に満ちた固有名詞の数々と、不意に訪れる、豪華な面々のカメオ出演も楽しい一作。
先回り×先回り×先回りでツイストした先に訪れた景色とは。
レビュー
ナイブズ・アウト2作目。Netflixらしい豪華絢爛な舞台で、億万長者の周りで起きる殺人ミステリー🦊
億万長者の孤島パーティ、招かれざる客、思惑を抱く参加者など、なにも起きないハズがない😇
ヨーヨー・マなど、一瞬の登場人物たちもすこぶるゴージャス✨
金がある所で渦巻くさまざまな思惑は、どれも現実を表してそうで説得力がありました!
楽しめる
最初から、1/3が謎かけ、1/3が謎解き、残る1/3が結末、というどうなんだろ?ちょっと変わった構成じゃない?
でも緊張感を切らさず観客の興味を引く流れになっていて、とても楽しめる。
今回は劇場公開なしで配信のみだけど、それも踏まえてテレビでも気を散らさないようになっている。
役者は演技巧者ばかり。ジャネル・モネイの熱演もデイヴ・バウティスタの意外な好演も良かったが、なんといってもエドワード・ノートンの糞野郎ぶりには脱帽。流石です…
あと、ヒュー・グラントね。無駄遣い…ww
前作同様のざまぁwwww感
この映画は探偵ものと言いつつも、名探偵感が全然ない。どちらかと言うと人間関係をざまぁwwwwしていく感じの映画です。前作は上辺だけで見下していた移民の少女が富豪の財産を全て受け継ぎ、ドロドロした人間関係をざまぁwwwwしていましたが、今回は金持ちの権力もちをざまぁwwwwしていくタイプで店舗も良くて面白かった。最後に権力が崩れていくのが、スカッとしてイエス!とガッツポーズ決めちゃうタイプの映画です。
今の時代、何よりも炎上が怖い
なんでNetflixでしか公開されないんだよ!本国みたいに、1週間でもいいから劇場公開してくれよ!と、文句タラタラ言いながらも、めちゃくちゃ楽しみにしていた本作。劇場で見れないことは悔やまれますが、それは次作以降のNetflixの心変わりに期待して、本作は家でゆったり鑑賞。かなり期待値が高かったんだけど、流石ライアン・ジョンソン。想像以上の質の高さで、大満足の作品でした!
少し不安な前半パート。
前作が面白かったのは密室で起こる殺人事件だったから?欲にまみれたキャラの濃ゆいお金持ち一家だったから?と焦りを覚えたけど、「いやいや、今回だってその面白さは健在ですぞ」と言わんばかりに、ダニエル・クレイグ演じるブランが大活躍。あのキレは今回も変わらずだったし、面白さが時間を経つ度に増していく設計もシリーズの定番展開に。アガサ・クリスティぽさがありつつも、よくある探偵ものに一蹴り入れるストーリー。原作が無いことに驚かされます。
前作よりもキャラクターの魅了は半減しているのだけど、逆にミステリー部分は前作よりも深化していて、より見応えのある作品に仕上がっている。ミステリーとは言っても、そこまで難しい訳ではなく、肩の力を抜いて楽しめるのが本作の好きなところ。伏線回収も美しいし、何よりミステリーの裏に隠れた人間の闇みたいなのも、相も変わらずキレッキレで最高に面白い。
007を見てから本作を見ると、ダニエル・クレイグは実はこういうちょっと陽気なキャラクターの方が演じていて楽しんだろうなぁって感じる。他の演者も、いやらしい役を見事に演じているんだけど、セットや仕掛けに盛り上がっている舞台裏が、どことなく想像できてニヤニヤ。そういう普段とは一風違う名役者が楽しめるのも、本作の好きなところなのです。
「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」みたいに、名探偵の主人公があらゆる難事件を解決する、みたいな作りだから、シリーズ感は全然しないんだけど、これぞ映画って感じがするし、今後も追いかけ続けたい作品だなと思った。でも、今度は劇場で頼みますよ?
人間関係を面白おかしく
ナイブズ・アウトシリーズ2作目です。
ダニエル・クレイグが憎めない探偵を引き続き演じています。
面白い内容になっていてますが、推理モノって感じじゃないですね。
人間関係を面白おかしく観ることがこの作品の見どころ。
ラストは気分爽快にさせてくれました。
この時期はやはり豪華オールスター出演のサスペンスだよねと「ナイブズ...
この時期はやはり豪華オールスター出演のサスペンスだよねと「ナイブズ・アウト:グラス・オニオン」孤島に集められたVIP と探偵、そして起こる殺人と王道の設定なんだけど、そのあとのドンデン返しが犯人探しと別のところにあるというのが面白かったのと、金の名声を得ることによって、ゴミみたいなエゴと偏見を増大させてしまう人々を描いているというところも注目ですね。あと個人的に俳優としてもミュージシャンとしても推しのジャネール・モネイが素敵だったのが嬉しかったです。
最後は破壊
第2弾!
誰もが怪しい中淡々と謎解くダニエル
皆、長いものに巻かれてきたけど最後は解き放たれましたね(笑)
また第3弾観たいです♪
エドワードノートンって大体同じような役(^_^;)
今回は犯人じゃないだろうな~って思って観てました。
最後に破壊されて破滅(..)
【”モナリザと共に・・”ナカナカ面白い、クローズド・サークル・マーダーミステリー。第一作と比べると、どちらが面白く感じるかは、貴方次第である。私は(以下、自粛)】
ー 一見、重厚なミステリーと思わせておきながら、随所にコミカルさを塗したライアン・ジョンソン監督の遊び心ある、クローズド・サークル・マーダーミステリーー
◆感想
・名探偵、ブノワ・ブランを演じるダニエル・グレイグの軽みを微妙に塗した探偵ぶりや、エドワード・ノートン演じる科学者で大富豪だが、実は中身のない軽い男、マイルズ・ブロン。
ー 絶妙な、キャスティングである。-
・孤島に集められた”破壊者たち”の偽りと真実を抱えた姿。
・なによりも、マイルズ・ブロンの島の豪奢な別荘の仕様がお金が掛かって居そうで、ゴージャス感満載である。
・マイルズ・ブロンのビジネスパートナーだった、アンディ(ジャネール・モネイ)が実は双子で、実際に島に来たのは、ヘレンだったという設定なども面白きかな。
ー やや、ありがちだが・・。-
<一見、複雑なクローズド・サークル・マーダーミステリーと思わせておきながら、実はシンプルなミステリー映画である。
今作、ヤッパリ、映画館で観たかったかな・・。>
そして誰もいなくなった
こんな探偵ミステリーが見たかった!…と心底堪能させてくれた新たなる名探偵ブノワ・ブランと、彼が解決した難事件『ナイブズ・アウト/刃の館の秘密』。
前作で「Netflixからオファーがあった」なんて台詞があったが、奇遇かそれを見越していたか、熾烈な続編権争奪戦を勝ち取ったのは、Netflix。続編2本で4億ドル以上という破格のオファー額で。
世界中で大ヒットしたエンタメ・ミステリーの待望の続編が配信でしか見られない事に疑問や不満の声が上がっているのも分かる。今回もすでに高評価を獲得し、劇場公開されたら大ヒットしていたであろう。
しかし個人的に、この作品を“今”見れた事が有難い。
と言うのも私、遂にコロナに感染してしまって…。12月29日まで自宅療養。
今年の劇場鑑賞は先日の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』でラストで、そもそも外出も出来ず、レンタル店にも行けない。後何本か見たいのあるのに…。
そんな時こそ、配信。暇を持て余しそうな一週間のコロナ療養時に、待ちに待っていた本作!
この12月、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』より楽しみにしていた作品かもしれない。
病院から薬を貰って、発熱・悪寒・だるさもだいぶ落ち着き、さあ再び極上ミステリーの世界へ。
前作は著名な名家の屋敷で起きた遺産相続絡む、横溝ミステリーをも彷彿させるTHE王道ミステリー。
ハリウッド作品でありながら、アガサ・クリスティーへのオマージュと本格英国ミステリーの味わいもたっぷり。
現代が舞台だったが、クラシックな雰囲気漂う。
今回は前作以上に“現代感”が出ている。と言うより、“現在”。
マスクを付け、リモートで顔を合わせ…。
ブランもホームステイ中。リモートで友人たち(“名探偵”アンジェラ・ランズベリー他カメオ出演の大物たち!)とゲームに興じるが、冴えない。
古今東西の名探偵然り。不謹慎な言い方だが、名探偵は難事件があって生き生きとする。
事件が無くしかもホームステイ中の名探偵は廃人同然。
ずっと風呂に浸かったまま、アルコールを飲み、ゲーム三昧…。引き籠りか!
そんなブランの探偵魂が再びたぎる“招待状”が…。
IT億万長者のマイルズ。
ゲームやミステリー好きで、所有するプライベート・アイランドで“マーダー・ミステリー・パーティー”を開催。
自身が殺され役となり、招待客の誰かが犯人。模擬殺人ミステリー。
からくり仕掛けの招待状を解き(ブランにとっては子供のおもちゃ)、招待されたのは…
クレア。州知事。
ライオネル。マイルズの部下の科学者。
バーディ。元スーパーモデルのファッション・デザイナー。(アシスタントのペグも)
デューク。Twitchの人気者。(恋人でアシスタントのウィスキーも)
彼らは正式な“招待客”。実はブランは招待客じゃない。マイルズ曰く、そもそも招待状を送っていない。
誰が、何の為に、ブランに招待状を送った…?
招かれざる客がもう一人。…いや、正確には招待状は送ったが、来るとは思っていなかった。
アンディ。マイルズの元ビジネス・パートナー。
マイルズとアンディの間には、何かあり。
招待客皆、マイルズと訳あり。マイルズに恨みを持っていたり、彼に助力して貰ったり、彼のお陰でおこぼれに与ったり…。
周囲を海に囲まれた孤島。外界と完全に切り離された“密室”。
前作も王道ミステリーの設定だったが、今回もまた王道中の王道設定。
訳あり、一癖二癖ある人物たち。
様々な思惑が交錯する。
マイルズが殺され役となり、さあ、舞台が整った…!
KYなんだか探偵の血が騒いだのか、ゲーム開始前にミステリーと犯人を暴いてしまうブラン。
マイルズはこの日の為に、各業界の大物に協力して貰って、大金も注ぎ込んで、たっぷり謎解きに数日要すると自信満々だったが…、
それをブランはゲーム開始前に、あっさりと。
さすがにおかんむりのマイルズ。金持ちのお遊びとは言え、まあそりゃそうだ。
マイルズは一見人生の成功者だが、孤独や苦悩を抱えている。成功の為に失ったもの、寄ってくる者は金づる目当て。
億万長者の戯言か、本音か。
何はともあれ、良くも悪くも、何事も起きなかった。
これがリアルだったら安心する所だが、“映画”としては肩透かし。何か起きてこそ、いよいよ始まる。
そう。“本番”はこれから。
“殺人ゲーム”が本当の“殺人事件”に…。
殺されたのは、デューク。しかも、皆の前で。
飲み物に何か毒物でも入れられたのか、痙攣を起こし死亡。そのグラスは、マイルズのものだった。
デュークが間違って…? つまり、誰かがマイルズの命を狙っている…?
動機は皆に充分にある。
“殺人ゲーム”の一環で、島中が停電に。その暗闇の中、第二の殺人。
アンディ。
しかし、アンディが殺される理由は…?
実は、ある。そもそも“事件”は、皆がこの島に来る前から始まっていたのだ。
ブランも招かれざる客ではなかった。
“アンディ殺し”の犯人を探す為、ある人物から雇われていたのだ…。
マイルズと、クレア、ライオネル、バーディ、デューク。
今彼らは常識をぶち破った“破壊者”として各々名声や成功を手にしているが、ほんの数年前までは挫折中の若者たちであった。
そんな彼らに可能性を見出だし、道を切り拓かせたのが、アンディ。実業家として手腕を振るっていた。
皆の友情の始まり、思い出のバー“グラス・オニオン”。そしてアンディがアイデアを書き記したナプキン。
最初は友情で結ばれていた。が、今の地位に酔いしれると、友情より欲の方が勝ってくる。
マイルズはある燃料への投資に躍進。それに反対するアンディ。その燃料は使われたら、各家庭で“ヒンデンブルク”を起こす危険性がある。
ビジネス・パートナーを解消。裁判で争う事になるも、他の4人はマイルズ側に。
恩を仇で返され…。
これで引き下がったりしないアンディ。“秘密の封筒”を暴露すると、皆にメール送信。
その直後、死体となって発見され…。
アンディの死はまだ公にされていない。知っているのは犯人と、依頼されたブランと、依頼主。
ブランに依頼したのは、アンディの双子の妹、ヘレン。
ブランとヘレン。実は裏で結託していた二人の作戦。
ブランは招かれざる客として、ヘレンも“アンディ”として島へ。
ブランの奇人変人な言動で皆を煙に巻く中、ヘレンが探りを入れる。
姉を殺したのは、“破壊者”と豪語する“バカ頭”ども。
そもそもの発端の殺人。そして島で起きた殺人。
絶対、犯人と真相を暴き出す…!
昨年惜しまれつつスパイから卒業したが、この探偵だけでも暫くは安泰。シリーズ3作目までとその高額ギャラもあるが、でもそれ以上に、ダニエル・クレイグの新たな当たり役である事は前作から一目瞭然。完全に役を自分のものにし、そのハマりぶりは勿論、スパイの時とは違うコミカルさやユーモアを大変楽しそうに演じているのが分かる。
今回ダニエル以外皆、新キャスト。
いけ好かないエドワード・ノートンを始め、セレブを謳歌するケイト・ハドソンや今の時代に皮肉的な男尊女卑のデイヴ・バウティスタらクセ者を演じる。
中でもジャネール・モネイが一人二役を巧演。キーとなる人物で、前作で言うとアナ・デ・アルマスの立ち位置。
前作で名ミステリーを魅せてくれたライアン・ジョンソン。
続編ともなると前作超えのプレッシャーを課せられるが、前作とはまた違う引き出しに唸った!
前作は言わば、王道ミステリー。今回は一見そうでありながら、定石を覆す。作品に掛けて言うなら、壊す。
“密室孤島”の場合、犯人に追い詰められていくのが大抵だが、ブランやヘレンが犯人を追い詰めていく。
しかしその犯人もかなりの面の皮の厚さ。追い詰めようとも、動じない。皆の前で堂々と証拠を消そうとする。
複雑に入り組んで見えて、実際は非常に単純なもの。
思い込みと派手なパフォーマンスに騙される。
犯人は、天才的なバカ。…いや、ただのバカだ。
本当に犯人も単純過ぎる人物だが、そのクズっぷりは秀でるほど。
だからこそ、最後の最後、遂にギャフン!…と言わせた時の痛快さ。
恩を仇で返し、そして誰もいなくなった。
自分が恩人にした事が、皮肉にも自分へのしっぺ返しとなった。
前作は古き良き英国ミステリーのオマージュに溢れていたが、今回はより自由自在、オリジナル色が出ていた。
今回もたっぷりと堪能。完全に地位を築いた“ライアン・ジョンソン・ミステリー”と言っていい。
3作目も楽しみ。次のミステリーは…?
屋敷内の遺産相続殺人、孤島の殺人…またまた王道で来るとすれば、船とか列車とか乗り物系かな…?
何にせよ、名探偵ブノワ・ブラン、次回作でまたお会いしましょう!
スカッとはしない
うーん。雰囲気は良いのだが、なんか全体的にドキドキやスカッとしない展開。前半1時間20分は、かなり退屈。後半になって物語が動き始めるが、どうも乗り切れない。映画館の大きなスクリーンと雰囲気じゃないとのめり込めないオイラが悪いのかもだわな。
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