「馬鹿ども狂宴とモナリザの焼失」ナイブズ・アウト グラス・オニオン bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
馬鹿ども狂宴とモナリザの焼失
『007シリーズ』でジェイムス・ボンド役でお馴染みのダニエル・クレイグが、風変りな名探偵・ブノワ・ブランに扮して事件を解決する、ミステリー・シリーズ『ナイブズ・アウト』の第2弾。今回の事件現場は、ギリシアのエーゲ海に浮かぶ孤島が舞台。こうしたクローズド・サークル・ミステリーでは鉄板となる、曰く付きの個性豊かなメンバー・通称『馬鹿ども』が、ミステリー・ツアーと称してその島に集う。そこで起きた殺人事件の真相に、ブランが挑む物語。
IT企業を立ち上げ大富豪となったマイルズは、自分の別荘のあるプライベート・アイランドで、ミステリー・ツアーを開催しようと、嘗ての友人を招いた。その島には、タイトルともなっているガラス張りで玉ねぎの形をした、マイルズ自慢のグラス・オニオンが光り輝く豪邸が聳え立っていた。
招かれた友人というのは、州知事、科学者、ファッション編集長とその付人、インフルエンサーとその恋人、等、若い頃から共にそれぞれの夢を目指して歩んできた仲間。しかし、その招待客の中に招かれざる客として、探偵のブランと共に、マイルズと共に起業したが、マイルズに裏切られて会社を追放されたアンディーも含まれていた。何故この2人は、現れたのか…、最初の謎が浮かび上がる。
当初は、華やかな中に、和気藹々としたバカンスを楽しんでいたが、パーティーの飲み物を飲んだ後、マッチョマンのインフルエンサーが殺されてしまう。そして、その殺人事件のゴタゴタの中、第2の殺人事件が発生する。果たして、これらの連続殺人の犯人は…という第2の謎に、ブランの名推理が冴えわたる。実は、今回の事件は、数日前に起きたある女性の自殺事件に関わりのあり、ブランとアンディーが島を訪れた理由も明らかになって行く。
本作の物語の特徴は、前半部分では、事件に関わる様々に布石が散りばめられ、正直、それだけ観ていると辻褄が合わなかったり、良く展開が呑み込めなかったりして『?』が浮かんでくる。しかし、後半部分の謎解きシーンとなって、それまでの物語に隠されていた裏のシーンが映されて、全ての布石を回収していくと、「なるほど、そういうことか」と納得させていく演出が、ミステリーとしての面白さを高めていく。
出演者も、主演のダニエル・クレイグの脇を固める『馬鹿ども』役は、『インクレディブル・ハルク』のエドワード・ノートン、『ムーンライト』のジャネール・モネイ、テレビシリーズ『GOT』に出演したジェシカ・ヘンウィック、『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』のデイブ・バウティスタ等に加え、チョイ役でイーサン・ホークやヒュー・グラント、テニスプレイヤーのセリーナ・ウィリアムズも顔を出しているのでお見逃しなく。