「虚構の権威をぶっ壊せ」ナイブズ・アウト グラス・オニオン N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
虚構の権威をぶっ壊せ
名探偵ブノワシリーズ第2弾。
富豪に群がるエセセレブたちの、密室系サスペンス。
果たして誰が犯人なのかを、二つ目の視点で時をなぞりなおしながら
突き止めて行く。
ただし予定調和はない。
人間関係のパワーバランスを読み解きながら、
明かされてゆく事実にどんでん返しが小気味よく、
そういえば犯人は単純明快なのに引きずり回されて二時間あまり、
誰が、どうなる? で楽しめた。
ラストは悪を倒して正義が勝つ、とも言い難い展開となるわけだが、
コロナ禍で世の中がモンモンとしていたせいか、
今回も最後は弱者が勝つ路線だからか、
徹底した「破壊者」ぶりにスカッとした。
それもこれもタイトルの「グラスオニオン」の破壊、
素晴らしいが空虚な物の破壊であるなら、
確かに世の中、虚構の権威はあふれているわけで、
スッキリするわな、とも思ってみる。
古き良きミステリーを現代風に。
座長ブノワ氏の出過ぎず、引っ込み過ぎずが完璧なエンタメ作品だった。
タバスコつけて泣くブノワ氏がなんだか可愛く、とんでもなく笑う。
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