「一部屋内での会話劇」ザ・ホエール ひよさんの映画レビュー(感想・評価)
一部屋内での会話劇
試写会にて鑑賞🎞
2023年のA24作品は熱い。
アカデミー賞も受賞しており、非常に期待値が高かったが、見事にその期待を超えてきた。
男が過去に逃げ出したものたちと、真正面から対峙するまでを描いた作品。
終始アパートの一部屋内での会話劇。
なのにも関わらず、全く飽きを感じることはなく、物語が進むほどその世界にのめり込むことができた。
主人公を演じたフレイザーがインタビューで、「自分の限界を越えて深く掘り下げ、私のすべてを見せたつもりだ。それがこの映画に焼き付いているよ。」と述べていたが、まさにその通りであった。
身も心も削り、全身全霊でこの作品を創り上げてくれたのだと感じられた。
登場人物について
初めはそれぞれかなりの癖者のように感じるかもしれないが、話が進んでいくうちに、誰しも共感できる部分が多く見つかるのではないかと思う。
とびきり善人がいるわけではないし、とびきり悪人が登場するわけでもない。
"グレーなゾーンで生きる大多数の人々"をとてもリアルに描いた、共感性の高い作品であったことも驚きの一つであった。
ストレンジャーシングスファンでもある私の超個人的感想としては、口の悪いセイディー最高に可愛かった。ブラックジョークが止まらないセイディー最高に可愛かった。
何はともあれ、私の乏しい語彙力でこの作品の魅力を語るには、あまりにも限界がある。
「とにかく観て。」もうこの一言に尽きるかもしれない。最高の作品。
『白鯨』を読み返したのち、もう一度映画館で鑑賞したいと思う。
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