「オマージュとパロディに満ちたガイ・リッチー流スパイ活劇」オペレーション・フォーチュン 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
オマージュとパロディに満ちたガイ・リッチー流スパイ活劇
1960年代の英テレビシリーズを新たに映画化した「コードネーム U.N.C.L.E.」で監督を務めたガイ・リッチー監督が、「次はオリジナル脚本でスパイ映画を!」と思い立ったのか、同作でアシスタントを務めたアイヴァン・アトキンソンとの共同脚本で、盟友ジェイソン・ステイサムを主演に迎えてスパイアクションを完成させた。
ステイサムが演じるエージェント・フォーチュンの一流嗜好はジェームズ・ボンド的だし、チームを組んで作戦に臨むのは「ミッション:インポッシブル」シリーズ、ガテン系の肉弾戦は「ボーン」シリーズといった具合に、人気スパイ映画の要素を取り入れつつ、リッチー監督らしいジョークとユーモアでも笑える痛快な娯楽活劇に仕上がっている。
本作のマクガフィンとして機能する「ハンドル」と呼ばれる謎の装置が、本編の後半に至るまで正体不明のまま進行し、また具体的にどんなものかがわかったところで本筋にほとんど影響しないという点も、ステレオタイプなサスペンスのパロディのように思える。
ジョシュ・ハートネットが演じるハリウッド俳優がスパイミッションに巻き込まれ、裏の顔を持つ富豪の別荘に赴き作戦の片棒を担ぐことになる展開が、ニコラス・ケイジ主演作「マッシブ・タレント」に似てしまったのは偶然なのか、意図的か。
中盤、サラ(オーブリー・プラザ)とMI6コーディネーターのネイサンの通話で、"Ground control?""Can you hear me, Major Tom?"というデビッド・ボウイの「スペース・オディティ」の歌詞にかけたやり取りがあるのだが、字幕では「管制塔?」「聞こえるか?」と味気ない訳になっていたのは、文字数の制約があるとはいえちょっと残念。