「信じる者たち」ビリーバーズ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
信じる者たち
宗教の影響・・・まざまざと驚く映画でした。
この映画の公開初日に「安倍晋三襲撃事件」が起きた。
2022年7月8日である。
城定秀夫監督は一番に公開延期にならないかを、心配したと言う。
そして思ったそうだ、
「宗教が原因で実際に社会を震撼させる事件が起きた」と。
本当にこの映画、よく完成して公開されたと内心で思う。
過激な社会問題及び、教義という名で、精神を支配して心を歪める。
それはやがて性的強要にも利用される。
1999年に山本直樹が描いた漫画が原作。
現実には「オウム真理教事件」や「連合赤軍事件」をモデルとしていて、
旧統一教会の事件以前に書かれているので関連はない。
しかし多くのカルト教団の歪つさは、存分に描かれている。
そして現実もまた不穏で過激なのだから、
驚く私の方が平和ボケしているのだろう。
カルト宗教の「孤島プログラム」とかで、無人島に暮らす3人の男女。
議長・・・宇野祥平
副議長・・・北村優衣
オペレーター・・・磯村勇斗
先の読めない展開。
議長・副議長・オペレーターの3人が共同生活をしている。
毎朝起きてミーティング。
議題は「昨日の見た夢」
それを各々が告白する。
毎日規則正しく教祖(先生と呼ばれている)や教団からの
指示を仰ぎ真面目でストイックな生活を送っている。
そのうち船で規則的に送られて来た食糧が遅配になる。
水も残り少なくなり、3人は海で貝やら雲丹やら蟹やらを
調達して飢えを凌ぐ。
届いた紫色の饅頭のような食品を食べた議長は病に倒れる。
相当な重病で生死を彷徨う。
そのうち副議長に淫らな気持ちになるオペレーター。
そして2人で海で泳いでいたとき、副議長がスッポンポンの裸になる。
若いふたりだからごく当然の成り行きだが、
ふたりの行為に気が付いた議長の宇野祥平は
宗教プログラムに託けて副議長の北村優衣に
性的な行為を強制するのに悪用する。
この手口は汚いと思った。
宗教的な教義と洗脳はとても似通っていて区別がつかない。
しかしそこに私情が挟まると恐ろしい事態を引き起こす
《ニコニコ人生センター、これが教団名》
《ニコニコ人生センター》の本部では、カルト教団として
危険視され、信者は激減して、先生(教祖)は、島で
《集団自殺》を図ろうとしていた。
そしてヘリコプターが空を舞い、機動隊が大挙して押し寄せて、
ニコニコ人生センターの信者たちと衝突する。
第三本部長(毎熊克也)に先生=教祖=(山本直樹=原作者のカメオ出演)
は殺される。
副議長も殺される。
ラストでオペレーターは殺人罪で入獄している。
海外では議長(宇野祥平)が空港を占拠してオペレーターの解放
を目的にテロを決行している。
(実際にも、そんな事件があった・・・)
テロリストの議長たちはオペレーターの奪還を人質解放を
交換条件にしている。
その提案にオペレーターは答える。
「自分はこの刑務所の部屋に閉じ籠る」と、答える。
洗脳は解けていた。
現実と似通っているのに「全くの非現実世界」に見えるのは、
不思議である。
カルト教団とそれを信じる人の暴走を描いたカルト的作品。
全くこと映画を知らなかったが、興味深かった。
琥珀糖さん、コメントありがとうございました。ビリーバーズもコンビニエンスストーリーも、レビューしていませんが、配信で視聴済です。ビリーバーズは、山本直樹も、城定秀夫も好きなので、とても楽しく観ました。いい意味で、「安っぽさ」が印象に残ってます。コンビニエンスストーリーは、前田敦子と六角精児の怪演が非現実的な世界と親和性があってよかったなぁという印象です。第三の男の「闇」は、心の闇というのではなく、本当に物理的な闇が深い作品でした。アマプラで観られますのでよろしければご覧ください。
長いコメント失礼しました。
コメントありがとうございます。前半はまだ大丈夫でしたが、後半は意味不明な世界でしたね。日本の映画は宗教を扱うと、ちょっとつまらなくなります。城定監督も色々な映画を撮ってますね。
あれま。すごい映画観ちゃってるんですね。などと感じながら読んだこのレビューの、それはそれは凛々しくカッコいいこと。恐れ入りました。
俺も真面目な気持ちでまた観なければなりませぬ。