「嫌悪感全開の家族崩壊ホラー」ハッチング 孵化 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
嫌悪感全開の家族崩壊ホラー
来た来た。家族崩壊ホラー。上っ面だけ幸せそうな家族が壊れていく様をおぞましく描いてくれます。
『ミッド・サマー』の影響なのか、明るいシーンがやたら多い。鳥が窓にぶつかるシーンは、あの『ヘレディタリ』を思い出す。大好きなテイストだから、期待は高まるんだけど、どうなんだろうね出来は。
この監督やってくれました。最初は、ダークファンタジーと思わせておいて、徐々にホラーの方にシフトしていく。怖い方のホラーじゃなくて嫌悪感で吐きそうになる方のホラーだから精神的にやられる。
そして、この映画のテーマと言っていい毒母の存在。自分の見栄のために娘にスポーツ(体操)を半ば強制的にさせるのは序の口。愛人の存在を娘に内緒しておくようにするのはギリギリ許せる。だけど、愛人のことを娘であるソフィアにのろけたり、夫公認で堂々と娘を連れて不倫旅行に出かけるに至っては、不快感がマックス。最後には、ソフィアに対して酷い本音も口にしてしまう。
卵から生まれた怪鳥は、ソフィアの押さえつけられた自我のメタファーであることは明らかだが、ソフィアだけに見える生霊的な存在なのか、殺された鳥の怨念が生み出した物理的な存在なのかは、途中までハッキリしない。ソフィアと怪鳥が精神的に繋がっていることを窺わせるシーンもあってこの辺の描き方が上手い。
家族崩壊ホラーというジャンルは、ボディにくるね。早くもアリ・アスター症候群とも言える作品が世に出てきて嬉しい。しかも若手女性監督というから、今後が楽しみ。
ソールドアウトの上に、若い女性の割合が多い。北欧ホラーは、オシャレなジャンルになってしまったのか。
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