劇場公開日 2024年2月9日

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「パワフルすぎる女性「三英傑」。」カラーパープル ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0パワフルすぎる女性「三英傑」。

2024年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

こんなに力強さにあふれたミュージカルは見たことがない。セリー、シュグ、ソフィアの3人の女主人公は、見た目もパワフルだが、生き方もパワフルだ。そして歌とダンスに最初から最後まで圧倒される作品だ。。
簡単に言ってしまえば、セリーが人としての誇りを勝ち取る物語である。前半のセリーの状況はあまりに過酷である。義父から性加害を受け、見も知らない中年男の妻として家畜の様に売り飛ばされ、夫からは暴力的に扱われる。唯一の心の支えだった妹のネティとは生き別れてしまう。セリーもこれが自分の生きる定めだと半ば諦めているような所がある。それがソフィアとシュグという強くて自立した女性達と付き合っていく中で、変わっていくのを見るのがとても楽しい。彼女にとってソフィアとシュグは憧れる存在ではあるが、自分とは違うと思って、なかなか自分を変えようとはしない。しかし交流を深めるにつれて、彼女の内から本来の自分を取り戻したいという気持ちがどんどん強くなっていくのが分かる。その原動力になった3人の友情というか、結びつきは本当に心地よくて力づけられる思いがする。
あることをきっかけに、セリーは生まれ変わる。自分を肯定し、自分の意志で生きていくことを決意する。それはタイプは違うがソフィアやシュグと対等な存在になったということでもある。
「神の赦し」のような、キリスト教的なにおいは少し気になるが、人間の尊厳みたいなものを、こんなにも力強く分かりやすく表現した映画はあまりないだろう。
個人的には、リトルマーメイドのアリエル役、ハリー・ベイリーが出ていたのが嬉しかった。

ガバチョ