劇場公開日 2024年2月9日

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「あなたがもし今、不安と恐怖に悩んでいるのなら…」カラーパープル おひさまマジックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あなたがもし今、不安と恐怖に悩んでいるのなら…

2024年2月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

楽しい

スピルバーグの手による85年の名作は、私は見たと言っても遠い過去の記憶。よって本作は、ほぼゼロ知識のような前提で見させてもらったことになる。

そのため両作品を比較することはできないが、鑑賞後の感想としては『これは別モノ』ではないかと容易に推察することができた。

悲しみ・苦労・つらさ、、、
そういった気持ちを抱えながら、またそのような状況から出られずに今を生きているひとは、いるだろうか。

本作はそんな方にこそ贈られるべき、讃美歌だ。
これを見てほんの少しでも、ミリ単位でも、気持ちが救われたら良いのではないかと思う。

これは完全なミュージカルであり、元の物語はあくまでも下敷きで、まったく新しい「カラーパープル」と言えるのではないか。

楽曲はどれも明るく、現代的でソウルフル。

そのため、陰鬱なストーリーであるのに鬱な鑑賞後感にはならず、多くの観客は主人公の結末に勇気づけられ、何とも幸せな気持ちで帰路につくことだろう。

大いなる苦難の時節を経て、自分を取り戻した女性のストーリーだ。

クライマックスの、主人公サリーによる“I'm here”、
「私は美しく、そして、ここにいる!」

人によっては当然の、当然の事実を力強く叫ぶセリー。人として持つべき誇りを再生し認めるまでの時間、なんと半世紀。苦役に耐え、それでも他人を思いやる心を見失わずいたセリー。

その解放の歌声は、たった2時間ほどだが共に辛い気持ちに苦しんだ、この映画の観客の心も解放してくれるに違いない。(少なくとも私は解放された!)

人生は帳尻合わせ。
お天道様は見ているのである。

おひさまマジック