「コレで伝わってます?」カラーパープル たっつん P子さんの映画レビュー(感想・評価)
コレで伝わってます?
今回の映画って…1985年版映画カラーパープルとミュージカル版カラーパープルのミックスで、ファン向け作品になってないか心配。僕はファンだから大丈夫だけど、他人におすすめするとなると大丈夫かな?って出来だった。
ミュージカルは前編〜後編で3時間近い舞台、スピルバーグの映画では2時間ギチギチに効果的に演出され描かれた人物や心情の描写…それを2時間でミュージカルパートありで描くには無理あったのでは?それでいて原作の中でセリーやソフィアを通して描かれてる人の尊厳や強さに美しさなどのメッセージ性もこぼれてしまってる感。
映画を観てるだけではキャラクターの深掘りが難しく、この人たちになんかそういう事が起きたのねって感じでカラーパープルの中にある物語が伝わったのかな?
1985年版カラーパープルもミュージカル版カラーパープルも、もっと力強いメッセージがあって感動したんだけど…
観た方、大丈夫でしたか?
良かったとこ
1985年版を懐かしめるとこ
ペイジの歌唱力が想像以上で良かったとこ
ミュージカル舞台カラーパープルからキャストが入っていて、ミュージカルカラーパープルを感じられるとこ
メッセージ性が消えて軽くポップに観れるとこ(皮肉)
悪かったとこ
旧映画とミュージカルの良いところどりをした為に人物の物語が寸断され伝わりづらい
人物や心情描写の深掘りするシーンが少なく、カラーパープルを知らない観客は置いてけぼりではないか?
カラーパープルの中にあるメッセージ性が消えてしまっているんじゃないか?
ここからはカラーパープルファンの愚痴…
自分の中でスピルバーグの1985年映画は、当時の時代の中で映画の中にカラーパープルを描いた傑作だと思う。
で、ミュージカルは原作から映画で当時描ききれなかった被差別社会の中にある差別や女性の尊厳に性的な自立や尊重と言ったウーマンリブのメッセージパートを今の時代に補完してくれた作品だと思う。
ミュージカルもサントラでヘビロテして、劇場でも一緒に歌っちゃうくらいカラーパープルが好き!そりゃ最後は良かったねって心揺さぶられるけど、カラーパープルはこんなもんじゃね〜んだよ!
で、以降はカラーパープルファンからのわがまま
1985年版を見て欲しい セリーは自分を虐げるミスターにも父親とか一部分では同情してる部分がある、そういう痛みを知る人だからこそ溢れる優しさを僕はセリーの美しさと思う。
そしてミュージカルでシュグ(シャグ)がセリーに歌う「too beautiful for words」(言葉に出来ないほど美しい)と言う曲があって、2016年リバイバル版ではドリームガールズなどで有名なジェニファー・ハドソンがシャグを演じて歌ってるんだけど、そこに美しいシャグがセリーの美しさを歌う感動的な歌があってYouTubeで聴いてほしい。
この曲は今回の映画では1985年版のエッセンスを残す為に「sister(ミスセリーズブルース)」に挿げ替えられて、ラジオから薄ら流れてるだけで終わったけど…その他の素晴らしい曲もミュージカルサントラがApple MUSICでもあるから聴いて欲しい。push da button とか、女性の性的な喜びを理解しろよ男たちは自分だけ満足すんな的な原作からのメッセージとかあって好きなんだけど。
あと原作は今の時代なら割と軽い読み物なので、読んで欲しい。