「なんて善良な」ウォンカとチョコレート工場のはじまり キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
なんて善良な
前作『チャーリーとチョコレート工場』が、「憎たらしいクソガキをわざわざ呼びつけて大金持ちの大人が意地悪をする」という、当時でも毒気たっぷりのトガった映画(おまけに、拾ったお金を着服してチョコ買った男の子が幸せになる話)だったのに、あんなにヒットしたのは不思議だった。
まあ、確かにストーリーよりもギミックがすごかったのは印象強いね。
20年近い年を経て、その前日譚となる続編が公開?それもティモシー・シャラメ?
不安と期待を抱きつつ、映画館へ。
今年はハリウッドで俳優たちのストライキがあったからなのか、年末年始公開の洋画作品がかなり少ない印象。
そんな中ではおそらくトップクラスの話題作のはずだが、客入りはかなり寂しめ(字幕版だから?)。
映画業界はコロナが明けてもまだまだ厳しいな。
で、内容は。
念のため前作はあらためて観て行ったが、はっきり言って必要なかった。
虐待まがいの歯列矯正で歪んだ心を持った前作のひねくれ青年ではなく、非常に善良で素直で純粋で前向きな、まったく違う世界線の「ウィリー・ウォンカ」がそこにいた。(公式に「前作とは無関係」と発表されてるらしいね)
あらゆる世代が楽しめる、ファンタジーミュージカル。
(ミュージカル要素強め)
もちろん個人的趣味から言えば、前作ティム・バートン特有の「何かが始まる不穏感」も好きなんだけど、本作はそんなファンも多いはずの前作に寄せることをほぼ廃して、徹底してハッピームービーに仕上げた思いきりの良さをこそ評価したい。
セリフに言葉遊びの要素も多く、これが吹替版ではどう演出されてるのか、あらためて観に行きたくなった。
Double "Ha!"
このタイプの映画を嫌う人は少ないと思うので、クリスマスやお正月に、友達やカップル、家族、もちろんお独りでもぜひ楽しんで頂きたい。
【追伸】
持ち込みはルール違反。ということで、売店で何かチョコ系のドリンクやお菓子を購入されて、歌が始まったら食べると、ワクワクが増幅しますよ。