劇場公開日 2023年12月8日

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「シュールさと毒気ナシのよい子仕様ウォンカ」ウォンカとチョコレート工場のはじまり ニコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5シュールさと毒気ナシのよい子仕様ウォンカ

2023年12月9日
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鑑賞方法:映画館

 「『チャーリーとチョコレート工場』の始まりの物語」と言われるとティム・バートン版と比べたくなるが、マルチバースの別ウォンカかな、と思ってしまうほどウォンカのキャラが違う。それもそのはず、バートン版と本作では彼の親との関係性の描写がかなり異なっているからだ。
 バートンのウォンカは、虫歯の原因だからとチョコレートを忌み嫌う歯科医師の父親への反骨心が根底にある。ショコラティエになることを大反対した父親とは絶縁状態で、母親は登場せず、ウォンカはparentsという言葉を口にすることさえ出来ない。そういった親子関係が、ウォンカの性格や工場の内装のセンス、見学に来た子供たちへの接し方にも影響を及ぼしている。
 一方、本作で登場するのは美味しいチョコレートを作ってくれる優しい母親だ。ウォンカは、母親の思い出を繋ぎ止めるかのように夢のあるチョコレートを作り出す。
 このように主人公のキャラクターの核心部分が全く違うので、「ウォンカらしさ」も必然的に違うものになる。

 だが観ている最中は、おもちゃ箱のような夢のある物語や歌やダンスを素直に楽しむ気持ちの片隅で、ずっとジョニー・デップが演じたウォンカ像の萌芽を探している自分がいた。ティモシーウォンカが名乗る時の口調や、彼のショップや工場の内装など、ぽつぽつと前作を踏襲した描写があったせいでもある。主人公がチョコレートを作る動機という要の部分に大きな違いがあるのだから、前日譚ではなく別物と思って観た方がバートン版の記憶がノイズになることを避けられそうではあるのだが、上記のようなリンクが見えるとそういう割り切りもしづらい。
 そんなわけで、ついつい「あの」ウォンカにどう繋がるのか?という視点で見てしまいつつも、どこか別物感が残ったまま終わった。
 2作品のクオリティは優劣をつけられないが、どちらがクセになるかと言われれば個人的にはバートン版に軍配が上がる。並べてみると、本作は優等生的、よい子向けに毒なしで作られたという感じ。ウンパルンパの集団ダンスがないせいか、シュールさがないというのも大きな違い。バートン版は、不器用なまま大人になった人向けの、かすかな毒がたまらないアクセントのチョコレート。

 ティモシー・シャラメとヒュー・グラントという新旧イケメンが拝めたのは満足ポイントだった。しかしそんな共演で、ヒューがウンパルンパとは……腐女子をざわつかせる美青年、ロマコメの帝王だった彼がこの転身(?)……とてもいいと思います。「ジェントルメン」の悪役でも見せた性格俳優としての路線でこのまま行ってほしい。
 愛嬌あるおっさん率の高いミュージカルシーン、オリビア・コールマンの振り切ったコメディエンヌぶりもよかった。

ニコ
humさんのコメント
2024年1月10日

マルチバースの別のウォンカ!
そうに違いない👏

hum
満塁本塁打さんのコメント
2023年12月9日

返信お気遣いありがとうございます。ホントのホントに個人営業の歯医者さんで 偶然見ました 当時で言うところの衛星放送なのか何なのかわかりませんが?ジョニデさんのテイスト期待していったのに正直、無念でした。
こんな綺麗な絵面の良い子のファンタジー・・ガッカリ😞でした。

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2023年12月9日

こんばんは おっしゃるとおりですね。故に夢のない私 ファンタジー&ハリーポッター嫌いの私は最後の時間帯眠かったです。絵は綺麗でしたけど。イイねありがとうございました😭。

満塁本塁打
talismanさんのコメント
2023年12月9日

子ども向けの映画なんだなーと思いました。でもオリビア・コールマンの凄さは子どもにはわからない!

talisman