帰らない日曜日のレビュー・感想・評価
全59件中、41~59件目を表示
残念ながら、映画化は失敗だ。原作を読んだほうがいい。
朝日新聞夕刊の映画欄に、この作品が取り上げられ、観る気になった。原作はイギリスで有名な文学賞を取った小説だ。地元の公立図書館に翻訳本があったので、先ず読んでみた。
陰影に富み、繊細で良い小説だった。中篇小説なので集中すれば、半日で読めるだろう。純文学好きかつ小説家志望者なら、気に入るだろう。
映画化して成功した小説はそれほど多くない。6月から教育テレビの「100分で名著」で取り上げられる安部公房の「砂の女」は、勅使河原監督による成功例だ。原作も映画も面白い。
脚色で変更された箇所もあるが、原作の文章だと含蓄豊かな場面が映像化に失敗している。22歳と23歳の若者なのに、男性役は額のシワが目立ち、ちょっと歳を取りすぎている。それと、主人公が結婚する哲学者を黒人が演じている。今なら普通だけど、1940年代にはあり得ないと思う。
1920年代の英国上流階級が暮らす家や家具調度品、服装等を、私は具体的に想像できない。途中から、そちらの方に注目していた。原作では主人公がある事故を経て、創作活動に目覚める話だった。原作では作家のコンラッドが肝なのに、∨・ウルフに変えていた。おいおい。違うだろ!!
翻訳ではオランダ帽子を「子宮栓」と訳していた。たぶん、ペッサリーだろうなと勘ぐっていた。映像を見て確認した。
いきなり映画を見ても、この原作の良さは理解できません。是非、原作を読んでください。映画を鑑賞するか、どうかはあなたにお任せします。
芸術作品
映画を観た!!って感じです。
ストーリよりも、演出に引き込まれました。
予告で観た感じでは、もっとドロドロした禁断の恋だと思っていたのですが、全く違いました。
これは純文学ですかね?
賛否わかれそうですが、大人の映画ですね。
ただ一つだけ、どうしてもわからないことが…
ポールが着替えるシーンの全裸が全くのボカシなしでした。
個人的には、いやらしさもなく感じたので、問題なかったし、あれがボカシあった方がエロティシズムな感じがあったかもしれません。
しかし、これは映倫的には問題なかったのでしょうか?
どなたか分かる方、教えてくださいm(__)m
静かにたどる時間
1924年といえば、ジュネーヴ宣言(児童の権利に関する宣言)が国際連盟で採択された年。
第一次世界大戦で多くの若者が亡くなったと同時に、多くの民間人も犠牲になり、戦争孤児が増えたことが背景のひとつでもあります。
この映画は、子どもを亡くした親たちの喪失感と、寄る辺のない孤児が見出した光が一瞬で喪失に変わった一日とが、まったりとした時間の中で交錯して描かれます。
原作を読んでないのであくまでも推測ですが、このまったり感が、章と章を跨ぎながら、あれこれと想像しつつ味わう読書体験のように、うまく再現されていたのだと思います。
誰もいない静謐の中、ジェーンは本革製の背表紙を人肌をなぞるように優しく…
文章センスが無くて恥ずかしいのですが、そうやって実際に本を読んでいるような感覚で映画の中に入り込むことができました。
帰る場所は用意してあるのに、帰ってくる人がいない。
何かにすがれる場所を探しているのに、いつも失ってばかり。
結論めいたものを示さず、それぞれの人が抱える満たされない心を淡々と描く。まさに文学。
そんな静かな作品です。
構成だけが残念
そういう展開なのか、と正直意外に感じた
身分違いの恋がうまくいくわけのない時代のことだから、違う展開なのかと思っていた
その時のなにひとつ表に出せないジェーンのそれでも隠しきれない表情や雰囲気がむしろ苦しかった
ずっと自分だけで抱え続けるのだなと分かった時、その決意が、むしろ苦しかった
心に秘めたその想いがどれだけのものか伝わってくるから
そして、R15指定なので、とは思っていたけれど、そこまでですかと驚かされた
ただ、そこに不思議といやらしさやいやな感じはなく、とても自然に流れていく感じがすごいなと思った
ただひとつ、時間軸がいったりきたりする構成が、私には少し違和感を覚える形になっていて、そこだけ残念に思った
ゆっくりめくるページは寡黙で密かな愉しみ。
田園風景の美しさと共にそのゆったりとした時の流れまでも伝わる映像。
作品のペースや波長に合った時、のみ込まれた時、その内包する魅力を存分に味わえる。
キツネ狩で落馬して亡くなったアンソニーを思い出した。(キャンディ・キャンディ)
イギリス女子の裸を観る映画。
予告編で裸の女子の後ろ姿があったので、どのタイミングだろうと思っていたら、何十分も素っ裸でボカシもなし!相手のポールなんてポール全見せだ。ビックリだわ。
第一次世界大戦後、メイドをしているジェーンが主人公。ある日、お世話になっている夫婦が仲良しの2家族とピクニックに出かける事になり、その日彼女はお休みになる。で、何をするのかと思ったら、その2家族の1つのウチに行って、もう1つの家族の娘と結構する予定のポールとヤリまくり。ずっと素っ裸なのよ。途中から裸が衣装に見えて来たくらいだ。
裸だけが印象に残っちゃって、内容がイマイチ入ってこなかった。皆んな同じ俳優さんで、過去と現在をやってるんで、ちょっと混乱。ん?キーワードをメモしてる?もしかして、この話、執筆中の小説を映像化してるだけ?で、途中からジェーンが小説家になって黒人の婚約者といる事が分かる。最後はカリスマ小説家婆さんだ。
自分、このエロ悲劇がフィクションだったのか、実体験の小説化だったのか、判断できずモヤモヤ。しっかり伏線回収して欲しかったです。
難解で繊細
純文学っぽくて難解。
過去の恋愛を思い出しながら語る形のため、事象の時間軸がポンポン飛んで前後する。
セリフ外に、含ませた意味もあって、わかりにくい部分もある。
「いつ、どこの話?」「それはなんのこと?」と読解するのに頭をつかう必要があります。
邦題もダブルミーニングでした。
絵画を観て、その意味を読み取るような知的な作品ともいえます。
そう、絵画的と言えば、1924年当時の屋敷や車、装飾品に衣服…「イギリスだぜ!」と主張しまくる美術が美しい。
さらには性行為の描き方が少しも官能的ではなく、宗教画に近い、荘厳な空気をまとわすような繊細なカメラワークと編集でした。
ゆっくりと心を揺さぶる
叙情的で美しい音楽と映像が流れるため、眠眠打破を注入したにもかかわらず、眠気が襲ってくる。ゴヤの『裸のマハ』を彷彿させる美しいオデッサ・ヤングの裸身で、多少は目がパッチリするが、絵画的美しさのヌードはα波を促すばかり。まぶたが落ちてくるよー。
ジェーンに訪れるとても辛い出来事。これは、見ていてこたえる。オデッサ・ヤングは、ジェーンと同一化してその感情を表現する。
名優のさすがの演技が見られます。
オリビア・コールマンは、つもりに積もった感情を爆発させる。まずはもらい泣き。そして、感情を押し殺そうとするコリン・ファース。押し殺せずに漏れ出た悲しみが仕草や顔に現れてしまう。思わず、涙がこぼれてしまう。
カフェインなしで鑑賞するのは大変だが、ゆっくりと心を揺さぶるドラマでございました。
芸術作品
イギリス人(欧州)の裸体はもはや、芸術だと思う。
屋敷を巡っている姿が自由な様子、部分部分、彫刻のようだった。
"生まれた時に何もかも失えば、もう失うものはない、それはgift"
身よりのないジェーンが叶わぬ恋とはいえ、愛するポールを失ったばかりの身で言われるこの言葉。授かった息子たちを失った奥様からすれば、彼女の境遇さえ羨ましいのかもしれないが、ジェーンの張り裂けそうな気持ちと、前を向いて自分の人生を生きていかないといけない覚悟が混ざった表情が印象的だった。
ジェーンの二度もの大切な男性を失う悲しみ、声にならない泣き声、心に来るものがあった
【一部ネタバレ】わかりやすくて具象的。ミディアムテンポで話もサクサク。古き良き英国「世界の覇者」からの変遷。女性の人生の変遷、ラブストーリー。背景描写もストーリーも良い。
文芸作品だけれども説教臭く無い。わかりやすい人生ストーリー。1924
テンポも良い「古き良きイギリス」「秘密の恋」「女性の生き様」映画。
性描写が(特に男性の・・・ムスコ)控えめなのだが、一部モロだしなので「R指定」
Paulの「P」もポイント。
でも上品かつ「誰でもわかる」佳作。
伏線回収に執念を燃やさなくても「自然に誰でもわかる良作」
イギリスのゆったりした描写が良い。自然の中の大邸宅。
孤独のメイドの「許されない秘密の濃密な恋」
第一次大戦で「士官レベルとか息子を失った」上流階級の悲哀、喪失、没落
「一人息子が嫌々レベルで持参金の多い資産家の一人娘と結婚=弁護士報酬と
合わせて豪華な古風なお屋敷を維持」
「主人公がメイドで仕える家は息子が大戦で全滅」
が押さえどころ。
それと英国女性の自立 メイド→書店員→作家→売れっ子作家
2人の男性との濃厚な恋。人生山あり谷ありだから・・・
古き英国の描写がコレまたイイ感じなのだ。
古風な家具調度品、大量の重厚な本の詰まった本棚、レトロ日本では大正時代の服飾
007のように曇天が強調されてない、自然と大邸宅
役者の人選もアクセントがあって物語をわかりやすくしている。
秘密の恋→人生いろいろ、作家もいろいろ、英国貴族も労働者階級もいろいろ。
カメラワークも堅実で的確、サクサク
セリフも短く「主人公の心情」を読み取るのに集中できる佳作
イギリス料理はマズさで定評があるが、この作品の主人公の貪り食う「古風な肉のパイ🥧」は
うまそうでした。上流階級の食卓ももっと映してもイイのに・・と思う食いしん坊のジジイでした。
女性監督ならではの官能性
予告編だけの事前情報で見たんだけど、見ているうちに、これは女性監督が撮ってるんじゃないかと思った。後で調べたらやっぱりそうだった。
情事のシーンの印象から女性特有の感性を強く感じて、このような演出は男ではできないなと思った。
情事のシーンから溢れてくる質感がとても深く官能的。描写が繊細で、体温や体臭、吐息や肌の触れ合う触感なんかが伝わってくる。ベッドシーンのある作品は珍しくないけど、これほど繊細に体感に直接来るような作品は初めて。
撮影の美しさも特筆すべき点。英国の田園風景の美しさもあるけど、それ以上にカメラによって切り取られたひとつひとつシーンが絵画のように美しい。オデッサ・ヤングの着る赤いジャケットをはじめ、配色が厳密に計算されているし、光と闇のコントラストも息をのむほどの強い印象を残す。
演出や撮影だけでなく、女性の自立や子供の死など作品全体に強い意志を感じる主題もあって、このエバ・ユッソンという女性監督は一筋縄ではいかないと思った。
この人は今後もフォローしていこう。
今ひとつ入り込めず
登場する3つの「家」の面々の関係性と家族構成(亡くなった方も含む)を把握するのに時間が掛かり展開するストーリーが頭に入ってこない。
その間にもスクリーン上では主人公が時間を行ったり来たりしていて、置いてきぼり感が強くなった(ラストに向かうに連れ「あ、あのシーンはここに繋がったのね!」となるのですが)
激動の人生なのでしょうが、それほど感情移入できず。
ただ、第一次世界大戦後の時代のメイドさんにしてはコリン・ファース演じる家主が優しい方で教育をきちんと受けられていたのだろうな、であるとか、当時のファッション、車などを知ることができたのは良かったです。
冒頭部分がもう少しわかりやすければもっと入り込めたかな。
珍しく原作読んでから鑑賞 意外とエロいんだけど、風景やファッション...
珍しく原作読んでから鑑賞 意外とエロいんだけど、風景やファッションが綺麗で抑えられている感じ 何となくどんな事が起こるのか読めてしまう。摩訶不思議なことが起こる日って稀にあるよねーとは思ったけれど 戦死のように急過ぎて気持ちの整理が出来ないことや、何故?と思っても説明されない事って多い それでもしぶとく逞しく生きてヒロインは孤児だったのに作家になれたんだろう
あと真っ赤と煙草がやたらと出てきます。
アドラー心理学のような重低音が常に響いていた。
孤児院で育てられた彼女に、
メイドである彼女の雇主の夫人は、
産まれた時に何も持っていなかったことを祝福をした。
なぜなら、
夫人は先の大戦で子息三人を亡くし、
気が飛んでしまっていたからだ…
そして、彼女自身はこの不幸な孤児であることを
「この身ひとつ。これから手に入れてゆくだけ。
失うものは何もない。」と、幸運と自覚した。
この自覚が有名作家へとなる秘密のベールが幾重にも、時期を過去と現在と、美しい英国のカントリーと屋敷に未舗装の道路、川に運河が広がる光景を転回する。
英国の田園は美しい!!!
おっと、忘れてならないのは、
そうするとあの事故は、…
馬の四本目の脚が自分のものとは、…
そう、彼女の作品はミステリーなのだ。
すっかり、
全裸と逢瀬に騙されてはいないですかな?
久し振りに、大人の映画を堪能いたしました。
私小説
ノーベル賞作家の「カズオ・イシグロが褒めた小説」を原作としたメロドラマ。「全米が泣いた」や「たけしが絶賛」な謳い文句だが、そんなフックはいらないのではないか?良い作品なのに、余計にアングルがついてしまうだろうに。
全59件中、41~59件目を表示