帰らない日曜日のレビュー・感想・評価
全74件中、61~74件目を表示
難解で繊細
純文学っぽくて難解。
過去の恋愛を思い出しながら語る形のため、事象の時間軸がポンポン飛んで前後する。
セリフ外に、含ませた意味もあって、わかりにくい部分もある。
「いつ、どこの話?」「それはなんのこと?」と読解するのに頭をつかう必要があります。
邦題もダブルミーニングでした。
絵画を観て、その意味を読み取るような知的な作品ともいえます。
そう、絵画的と言えば、1924年当時の屋敷や車、装飾品に衣服…「イギリスだぜ!」と主張しまくる美術が美しい。
さらには性行為の描き方が少しも官能的ではなく、宗教画に近い、荘厳な空気をまとわすような繊細なカメラワークと編集でした。
ゆっくりと心を揺さぶる
叙情的で美しい音楽と映像が流れるため、眠眠打破を注入したにもかかわらず、眠気が襲ってくる。ゴヤの『裸のマハ』を彷彿させる美しいオデッサ・ヤングの裸身で、多少は目がパッチリするが、絵画的美しさのヌードはα波を促すばかり。まぶたが落ちてくるよー。
ジェーンに訪れるとても辛い出来事。これは、見ていてこたえる。オデッサ・ヤングは、ジェーンと同一化してその感情を表現する。
名優のさすがの演技が見られます。
オリビア・コールマンは、つもりに積もった感情を爆発させる。まずはもらい泣き。そして、感情を押し殺そうとするコリン・ファース。押し殺せずに漏れ出た悲しみが仕草や顔に現れてしまう。思わず、涙がこぼれてしまう。
カフェインなしで鑑賞するのは大変だが、ゆっくりと心を揺さぶるドラマでございました。
芸術作品
イギリス人(欧州)の裸体はもはや、芸術だと思う。
屋敷を巡っている姿が自由な様子、部分部分、彫刻のようだった。
"生まれた時に何もかも失えば、もう失うものはない、それはgift"
身よりのないジェーンが叶わぬ恋とはいえ、愛するポールを失ったばかりの身で言われるこの言葉。授かった息子たちを失った奥様からすれば、彼女の境遇さえ羨ましいのかもしれないが、ジェーンの張り裂けそうな気持ちと、前を向いて自分の人生を生きていかないといけない覚悟が混ざった表情が印象的だった。
ジェーンの二度もの大切な男性を失う悲しみ、声にならない泣き声、心に来るものがあった
【一部ネタバレ】わかりやすくて具象的。ミディアムテンポで話もサクサク。古き良き英国「世界の覇者」からの変遷。女性の人生の変遷、ラブストーリー。背景描写もストーリーも良い。
文芸作品だけれども説教臭く無い。わかりやすい人生ストーリー。1924
テンポも良い「古き良きイギリス」「秘密の恋」「女性の生き様」映画。
性描写が(特に男性の・・・ムスコ)控えめなのだが、一部モロだしなので「R指定」
Paulの「P」もポイント。
でも上品かつ「誰でもわかる」佳作。
伏線回収に執念を燃やさなくても「自然に誰でもわかる良作」
イギリスのゆったりした描写が良い。自然の中の大邸宅。
孤独のメイドの「許されない秘密の濃密な恋」
第一次大戦で「士官レベルとか息子を失った」上流階級の悲哀、喪失、没落
「一人息子が嫌々レベルで持参金の多い資産家の一人娘と結婚=弁護士報酬と
合わせて豪華な古風なお屋敷を維持」
「主人公がメイドで仕える家は息子が大戦で全滅」
が押さえどころ。
それと英国女性の自立 メイド→書店員→作家→売れっ子作家
2人の男性との濃厚な恋。人生山あり谷ありだから・・・
古き英国の描写がコレまたイイ感じなのだ。
古風な家具調度品、大量の重厚な本の詰まった本棚、レトロ日本では大正時代の服飾
007のように曇天が強調されてない、自然と大邸宅
役者の人選もアクセントがあって物語をわかりやすくしている。
秘密の恋→人生いろいろ、作家もいろいろ、英国貴族も労働者階級もいろいろ。
カメラワークも堅実で的確、サクサク
セリフも短く「主人公の心情」を読み取るのに集中できる佳作
イギリス料理はマズさで定評があるが、この作品の主人公の貪り食う「古風な肉のパイ🥧」は
うまそうでした。上流階級の食卓ももっと映してもイイのに・・と思う食いしん坊のジジイでした。
女性監督ならではの官能性
予告編だけの事前情報で見たんだけど、見ているうちに、これは女性監督が撮ってるんじゃないかと思った。後で調べたらやっぱりそうだった。
情事のシーンの印象から女性特有の感性を強く感じて、このような演出は男ではできないなと思った。
情事のシーンから溢れてくる質感がとても深く官能的。描写が繊細で、体温や体臭、吐息や肌の触れ合う触感なんかが伝わってくる。ベッドシーンのある作品は珍しくないけど、これほど繊細に体感に直接来るような作品は初めて。
撮影の美しさも特筆すべき点。英国の田園風景の美しさもあるけど、それ以上にカメラによって切り取られたひとつひとつシーンが絵画のように美しい。オデッサ・ヤングの着る赤いジャケットをはじめ、配色が厳密に計算されているし、光と闇のコントラストも息をのむほどの強い印象を残す。
演出や撮影だけでなく、女性の自立や子供の死など作品全体に強い意志を感じる主題もあって、このエバ・ユッソンという女性監督は一筋縄ではいかないと思った。
この人は今後もフォローしていこう。
【”身分違いの儚い恋・・”1924年の英国を舞台にした、優雅な衣装、重厚な意匠、エロティシズム溢れる数々のシーンに魅入られる哀しくも切ない作品。映倫の英断に驚いた作品でもある。】
ー 1924年の英国が舞台が。「母の日」母の日に当たる日曜日、名家ニブン家でメイドとして働くジェーン(オデッサ・ヤング)は孤児故に帰る家がない。
そんな彼女の姿を以前から見ていた同じくシュリンガム家の、三兄弟の中で只一人、第一次世界大戦で戦死しなかったポール(ジョシュ・オコナー)は、密かに彼女を逢瀬の誘いに誘う・・。
その頃、ニブン家、シュリンガム家、そしてポールの婚約者エマのホブディ家は、恒例のガーデン・パーティを行っていた。-
◆感想
・英国歴史映画らしい、優雅な衣装、重厚な意匠が、見事である。
だが、恒例のガーデン・パーティ葉何処か、重い雰囲気に包まれている。
ポールがなかなか来ない事に苛立つエマ。
それを取りなすように振舞うニブン家のゴドフリー。(コリン・ファース:個人的に、英国俳優としてはトップ3に入る位好きである。そして、この俳優さんが出演しているだけで、”ウーム、英国映画・・、と感じてしまう程の、品性の良さが漂う英国が誇る、稀有な名優である。)
だが、夫人は浮かない顔である。夫人を演じたオリヴィア・コールマンの憂愁の表情から事情が徐々に分かって来る。
- ニブン家の二人の息子は戦死していたのだ。シュリンガム家の兄弟も又・・。且つて、彼らが幼かった時には、各家の子供たちはガーデン・パーティ時には、池に入って遊び興じていたのだろう・・。と言うことが、名優オリヴィア・コールマンの笑顔一つ見せない表情からも伺える。-
・一方、ポールとジェーンは誰もいない広大なシュリンガム家で、愛を交わす。白いシーツに残された情交の後。ポールは寂しそうな笑顔を浮かべて言う。”種を残さないようにね・・。”
そして、彼はガーデン・パーティに出席するために、服を着始める。
- この一連のシーンで、暈しは私が視た限り、入っていなかったと思う。
ポールの男性器はそのまま映されていた。「ROMA/ローマ」の様に。
可なり昔、大島渚監督が撮った「愛のコリーダ」など、揉めていたよなあ・・。
芸術か、猥褻か・・。
断言するが、私は、このシーンで猥褻感は全く感じなかった。映倫の英断を指示したい。
只一つ言うとすれば、ポールを演じたジョシュ・オコナーのモノが、ナカナカ立派であった事であろうか・・。(ホント、すいません・・。男って、”比べたがる”おバカな生き物なんです・・。) -
・ポールが去った後、広大な屋敷の中をジェーンは全裸で歩き回る。立派な書棚に並べられた本の背表紙を指先で触れていくシーンや、ケーキを食べるシーンなどは印象的である。
- 最早、自分とは違う世界になるだろう名家の肌触りを確認し、訣別する事を決めているように私には見えた。-
・そして、ニブン家に戻ったジェーンに、慌てた様子のゴドフリーが言った言葉。
”ポールが車で事故に遭ったらしい・・。”
ジェーンは、一度ニブン家の台所に戻り、泣き崩れる・・。
- これは、私の勝手な推測であるが、ポールはもしかしたら只一人生き残ってしまったことに対し、そして身分違いの恋を成就させることが出来ずに幼馴染のエマと結婚する事に抵抗感を持ってわざと事故を起こしたのではないか、と思った。
何故ならば、彼がジェーンと情を交わした後に、数回口にした”種を残さないようにね・・。”と言う言葉が気になっていたからである。
■少し、残念だった点。
・途中、作家として独り立ちしつつある、この事件から24年後のジェーンが恋人と暮らすシーンが差し込まれたり、老年期に賞を取った彼女(グレンダ・ジャクソン)が取材を受けるシーンが映し出されるが、作品の全体構成が少し勿体ないなあ、と思ってしまった。
<自由恋愛が認められなかった時代に、身分違いの恋を経験したジェーンが“Once Upon a time・・”と言う冒頭のシーンから始まる、一人の身寄りのない女性が且つて経験した悲恋及びその後名だたる作家になる過程(上記の様に、ここは少し残念。)を、見事に可視化したエロティシズム溢れる作品。
イギリスの天気の様に・・”晴のち曇り、そして急な雷雨・・”と言うストーリー展開も見応えある、哀しき作品でもある。>
今ひとつ入り込めず
登場する3つの「家」の面々の関係性と家族構成(亡くなった方も含む)を把握するのに時間が掛かり展開するストーリーが頭に入ってこない。
その間にもスクリーン上では主人公が時間を行ったり来たりしていて、置いてきぼり感が強くなった(ラストに向かうに連れ「あ、あのシーンはここに繋がったのね!」となるのですが)
激動の人生なのでしょうが、それほど感情移入できず。
ただ、第一次世界大戦後の時代のメイドさんにしてはコリン・ファース演じる家主が優しい方で教育をきちんと受けられていたのだろうな、であるとか、当時のファッション、車などを知ることができたのは良かったです。
冒頭部分がもう少しわかりやすければもっと入り込めたかな。
珍しく原作読んでから鑑賞 意外とエロいんだけど、風景やファッション...
珍しく原作読んでから鑑賞 意外とエロいんだけど、風景やファッションが綺麗で抑えられている感じ 何となくどんな事が起こるのか読めてしまう。摩訶不思議なことが起こる日って稀にあるよねーとは思ったけれど 戦死のように急過ぎて気持ちの整理が出来ないことや、何故?と思っても説明されない事って多い それでもしぶとく逞しく生きてヒロインは孤児だったのに作家になれたんだろう
あと真っ赤と煙草がやたらと出てきます。
アドラー心理学のような重低音が常に響いていた。
孤児院で育てられた彼女に、
メイドである彼女の雇主の夫人は、
産まれた時に何も持っていなかったことを祝福をした。
なぜなら、
夫人は先の大戦で子息三人を亡くし、
気が飛んでしまっていたからだ…
そして、彼女自身はこの不幸な孤児であることを
「この身ひとつ。これから手に入れてゆくだけ。
失うものは何もない。」と、幸運と自覚した。
この自覚が有名作家へとなる秘密のベールが幾重にも、時期を過去と現在と、美しい英国のカントリーと屋敷に未舗装の道路、川に運河が広がる光景を転回する。
英国の田園は美しい!!!
おっと、忘れてならないのは、
そうするとあの事故は、…
馬の四本目の脚が自分のものとは、…
そう、彼女の作品はミステリーなのだ。
すっかり、
全裸と逢瀬に騙されてはいないですかな?
久し振りに、大人の映画を堪能いたしました。
描き方が中途半端
女性作家が作家になるターニングポイントの一日だったのだろうけど、裸の逢瀬のシーンが多すぎて、薄っぺらな作品になってしまった。
良家の息子との恋は、もっと人間的な結び付きや彼女の中での葛藤やその熟成が描かれないと、後に思い出して作品になるほどの厚みが見えてこない。
後の結婚生活にも深みがない。
上流階級の生活も役者はよく演じていたが、こちらも第一次世界大戦後の社会の全体像も彼らの代わりゆく立場も見えてこない。
最後に、良家の息子は自殺ではなかったのかしらと思ってしまった。部屋を出ていくときの「さようなら」がもう一生会わないという感じを漂わせていた。
私小説
ノーベル賞作家の「カズオ・イシグロが褒めた小説」を原作としたメロドラマ。「全米が泣いた」や「たけしが絶賛」な謳い文句だが、そんなフックはいらないのではないか?良い作品なのに、余計にアングルがついてしまうだろうに。
全74件中、61~74件目を表示