劇場公開日 2022年6月17日

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「希死念慮を持つ私からみたplan75」PLAN 75 なさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0希死念慮を持つ私からみたplan75

2025年1月25日
iPhoneアプリから投稿

私は自殺未遂を何度も繰り返した経験がある。正直、今も死にたい気持ちは変わらない。外国で安楽死を認めている国があるが、それは身体的に問題がある人のみが認められており精神的な問題を抱える人には適用されない。

対して、この映画で出てくるplan75は75歳以上の人ならどんな人でも死を選ぶことの出来る制度だ。「死にたい」と思う人には良い制度だと思う。若者の負担になりたくない、これ以上生きていても明るい未来が見えない、身寄りがない、様々な理由がある。

全国で高齢者を憎む若者による高齢者を狙った事件が多発しようとも、その事件に支持者が現れようともその人達の意見はごく少数に思う。だが、plan75の制度が出来てからのこの映画に出てくる高齢者達は「私たち生きていていいのかな」と肩身の狭い思いをしている。肩身の狭い思いからこの制度を利用する人が必ず現れる。そうなれば国が、社会が人殺しをしているのと同じだ。

植松聖が起こした障害者を狙った大量殺人事件。あの事件にも賛否が生まれる時代。私も正直正解は分からない。辛い思いをするのは障害者本人でありその家族である。ならば障害を持って生まれそうな場合は子供を産むべきではないのでは無いか。この事件でもそのような考えが社会に生まれこの事件をきっかけに子供を持たない人もいるのだと思う。それが正解か不正解かは分からないが。

現在23歳の自分の祖父母は毎日のように自分も含め、子供や孫が家に訪れる。倍賞千恵子に比べれば祖父母は幸せなのかなと思ったりもしたが、本当にそうなのか。実際、祖父母が友人と出掛けるのは年に数回(友人を多く亡くしている)だし祖父は未だに現役で仕事を続けているが祖母はほぼ毎日家と近所のスーパーの往復だ。家に訪れて話や食事を共にするだけでなくボーリングやカラオケなどたまには祖父母と一緒に行ってみようかなと思えた。

「みんな歳とるのにね」というセリフがあった。その通りだ。みんな歳をとるのに新しい職が見つからない。新しい家が見つからない。雇う側にも家を貸す側にもしょうがない事情があるだけに難しい。

理論的に言えばplan75は正しい制度なのかもしれないが、人間的に見れば正しくない制度。

希死念慮を持つ私からすれば正直安楽死制度はあってもいいように思っていた。ただ、この映画を見た事でその制度が認められることで起こる様々な問題が見えてきた。

私は自分で死を選ぶことは決して悪手では無いと思っている。ただ、制度化してしまうとこの映画で出てきたような問題が起こるのなら、自殺する人はせめて他人に迷惑がかからないように死のう。

な