「病気で助からない人を殺してあげるという国があるみたいだけど、もしかしたらこの映画みたいなことをする国も出てくるかもしれない。」PLAN 75 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
病気で助からない人を殺してあげるという国があるみたいだけど、もしかしたらこの映画みたいなことをする国も出てくるかもしれない。
倍賞千恵子さんのインパクトが凄かった。
この役は妹の美津子さんでもいいと思うけど、美津子さんはいつも同じような役をしていて『護られなかった者たちへ』でも同じような役をしているからあえて千恵子さんにしたのかもしれない。
倍賞千恵子さんは昔美人女優でならした人だし、山田洋次監督作品のイメージが強い。
代表作は『寅さん』で、『幸せの黄色いハンカチ』とか『家族』にも出演している。
妹さんと違っておばあさん役はあまり見たことがなくて、個人的なイメージでは今でも若い頃の美人女優のまま。
その人がいきなりおばあさん役なので驚いた。
更に凄いのが声とか喋り方とかの演技の感じが昔のままのこと。
人間は年をとってくると「わたしゃおばあさんだよ」みたいになってくると思っていたけど違うと思う。
そうなったとしてもそれは演技的なもので、経験値は増えるけど中身は若い頃と変わらないと思う。
人によって違うと思うけど、青年期で完成するみたいな時があって、あとは死ぬまでそのままいく感じじゃないのかな?
自分もたぶんそうだと思うし、アイドルの人とか見ていても、若くして完成してしまって、後はこのままおばあさんまでいくんだろうという人がけっこういる。
そういうことを、倍賞千恵子さんの昔と変わらない演技を見ていて考えた。
それに加えて昔見た作品と重なってしまって、あまり金持ちの役はなかったし、あのキャラクター達の最後はこんな感じなのかなと思った。
内容的には以前松田翔太さんの主演で映画化された『イキガミ』とか星新一さんのショートショートで最近NHKでドラマ化された『生活維持省』みたいなことだと思う。
やっぱり人間は、必要以上に生物を殺しまくり、食いまくり、貴重な地球の資源を使いまくって地球環境を破壊するから、地球環境にとってはいない方がいい生物かもしれない。
人間同士でも争いあって、自然界の掟なのかもしれないけど、弱肉強食で、強い人が弱い人から巻き上げるみたいなことばかりやっている。
このままいくと結局、この映画みたいに、最終的にはまた『楢山節考』的なことになっていくのかもしれない。
個人として考えてみても、生きるのは非常にめんどくさいから、死ねばめんどくさくないし、何もいらないので、死ぬのが一番効率がいいような気がしないでもない。
頭ではそう思うけど、本能的には、周りに迷惑かけまくって、非常に情けない状況になったとしても、生きていたいというのが本音かな?
あといやなのが死ぬ時期がわからないこと。
明日かもしれないし、何十年先かもしれない。
永遠に生きるみたいな気分で生きているけど、人生で確実なのはいつかは死ぬということだけ。
わかっていれば、いろいろ準備をしてやりたいことやってサヨナラできるけど、明日どこかで突然死ぬというというのは勘弁してほしい。
死んでしまえばわからないからどうでもいいんだけど、死んだ後も多少生きているみたいな変な妄想がある。
その辺のところでいろいろ揺れているのに、この映画のように「政府がお手伝いするので死にませんか?」と言われたら本当にやってしまうかもしれない。
病気で助からない人を殺してあげるという国はけっこうあるみたいだけど、もしかしたら期間は長いかもしれないけど助からないという意味では同じなので健康な人も希望者は殺してあげるという国も出てくるかもしれない。
最後の「リンゴの木の下で」は黒澤監督の『生きる』の「ゴンドラの唄」パロディー的なことなんだろうけど、比べたらコメディーか?と思うくらいいろいろ情けない映画ではあったけど、個人的には面白かった。