「高齢社会と自殺容認という議論が多いテーマの中で貧困孤独高齢者にフォ...」PLAN 75 とまちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
高齢社会と自殺容認という議論が多いテーマの中で貧困孤独高齢者にフォ...
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高齢社会と自殺容認という議論が多いテーマの中で貧困孤独高齢者にフォーカスした脚本で、最近の日本、そして世界を蔓延しつつある能力主義からくるいわゆる「自己責任論」を突き詰めたものと私は感じました。高齢者があのように苦しむ世界にしてはいけないと思わされました。
映画としての完成度もとても高かったです。冒頭の銃のシーン、極端な排他主義や国家論、そして激しい発砲音や、カメラ目線というよりむしろ「目があった」状態を感じさせられた倍賞千恵子さんの目線のカット。作品を観ている側の、思考から五感までを一気に引き込む監督の技量に圧巻でした。
外国人労働者を話に入れたもの良かったと感じました。合作のようですのでそういった前提で作られていたかもしれませんが、シーンにメリハリが出ました。
また、日本的な要素を非常に丁寧に描いてくれたことにとても好感が持てました。ことあるごとに感謝し、モノも大切にする姿に我が国の美を感じました。理不尽に職場を去る羽目になっても、ロッカーを拭いて、感謝を述べて。死ぬ間際まで色々な人に感謝し続けて。これは世界に伝われば良いなと思います。是枝さんが万引き家族で描いた日本の貧困像とは違う、日本の誇るべき価値観がこの作品には描かれていたと感じました。
音楽、映像、演技、全てが一級品の作品でしたが、一方で脚本の余白が少し大きすぎた様にも感じました。PLAN75というとても具体的かつ直球な設定に対して、言葉数が少なく解釈が必要なシーンが多かった様に感じました。監督の意見がもっと分かりやすく描かれても良いのかもと思いました。
それでもこれはオススメです。
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